Rh酸化物系触媒 (RhGaZrAlO
x)のSO
x被毒解析を行った。触媒表面上には硫黄化合物としてSO
2(またはSO
32-) およびSO
42-が存在することがXPSの解析から明らかとなった。そこで, NO
x浄化率を低下させている硫黄化合物を調べるため, 被毒処理雰囲気を変えることにより各々の硫黄化合物の濃度を変化させてNO
x浄化率への影響を検討した。その結果, SO
2処理とSO
2+O
2処理において, SO
2, SO
32-濃度には変化は見られなかったがSO
42-濃度は酸素共存により著しく増加した。一方, SO
2処理に比べSO
2+O
2処理ではNO
x浄化率は著しく低下した。したがって, 硫黄化合物の濃度変化とNO
x浄化率の低下の関係から, SO
x被毒の主な原因はSO
42-であることが明らかになった。
SO
42-によるNO
x浄化率低下の原因をNO酸化反応およびC
3H
6酸化反応から検討した。その結果, SO
42-はNO酸化活性に影響を与えなかったが, C
3H
6酸化活性を著しく低下させていることがわかった。さらに, 反応温度に対するC
3H
6酸化活性の低下とNO
x浄化率の低下との相関関係から, SO
42-によりC
3H
6の酸化活性が抑制されるためにNO
x浄化率が低下することが示唆された。
各触媒成分上 (Rh, Ga, Zr) のSO
42-がNO
x浄化率に与える影響についても検討を行った。Rh上のSO
42-はHe流通下750°Cで2時間処理することにより除去できたが, NO
x浄化率は回復しなかった。この結果から, Rh上のSO
42-はNO
x浄化率の低下に影響していないことが示唆された。一方, GaおよびZr上に存在するSO
42-はともにNO
x浄化率の低下に影響を与えていることがわかった。Ga/Al比の増加によりRhGaAlO
x上のSO
42-濃度が減少し, NO
x浄化率はほとんど低下しなかった。また, Zr/Al比を増加させても高温域でのNO
x浄化率が向上した。このようなGa, Zrの添加効果を考慮して調製したRhGaZrAlO
xでは, 被毒処理によるNO
x浄化率の低下を大幅に抑制できた。
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