薬学図書館
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65 巻, 4 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
≪令和元年度日本薬学図書館協議会 関東地区協議会≫
  • —「薬学雑誌」「科学」「医学のあゆみ」を中心に—
    小林 力
    2020 年 65 巻 4 号 p. 140-147
    発行日: 2020/10/31
    公開日: 2022/04/13
    ジャーナル フリー

    太平洋戦争中,雑誌は経済統制と物資不足で統廃合,廃刊が続いた。「薬学雑誌」は抄録だけのものが定期発行を許され,昭和20年にはガリ版刷りとなり,戦後の発行もなかなか正常化しなかった。「科学」は,戦争が終わると原爆,原子力の時代を告げる一方,登呂遺跡や昭和新山など戦時中の発見を遅れて掲載している。そしてローマ字書きの巻頭言が現れ,国語はなるべく簡潔にしようという運動を支持する。また,戦後すぐに創刊された「医学のあゆみ」は海外雑誌の翻訳記事が主体で,紙不足に苦しみながらも,戦争中に進展したサルファ剤の研究,また新たに発見されたペニシリン,ストレプトマイシンの情報を,世界から取り残されていた我が国の読者に紹介していた。

連載
「闘病記」という物語⑳
≪特集:2019年度日本薬学図書館協議会 中堅職員研修会≫
≪特集:日本薬学会第140年会シンポジウム≫
  • 田中 智之
    2020 年 65 巻 4 号 p. 177-181
    発行日: 2020/10/31
    公開日: 2022/04/13
    ジャーナル フリー

    研究評価における数値指標(Metrics)への偏重は,ミスコンダクトや疑わしい研究活動の要因である。学術論文数は急増しているが,その一方で,捕食出版や,論文工場といった問題も生じている。Retraction Watchのような科学ジャーナリズム,PubPeerのような出版後査読,盗用検出ソフトウェアといったツールによる監視は,個々の研究者による告発とあわせて,不健全な研究活動に対抗するものである。Covid-19の世界的な流行は,査読システムの欠陥や,社会と学術出版との未成熟な関係性を浮き彫りにした。研究コミュニティを構成する各人の研究公正を推進する責務はますます大きなものとなっている。

  • —化学系学術出版の新潮流—
    生長 幸之助
    2020 年 65 巻 4 号 p. 182-187
    発行日: 2020/10/31
    公開日: 2022/04/13
    ジャーナル フリー

    現代におけるプレプリント投稿とは,査読前論文をインターネット上に公開する学術出版形態を指す。現行査読システムが内包する諸問題の解決や,オープンサイエンス潮流の後押し,コロナ禍における成果共有の迅速化などから,昨今,特に大きな注目を集めている。ChemRxiv(ケムアーカイブ)は,2017年に運用が開始された化学系プレプリントサーバである。2019年には日本化学会も運営サポートに関わり,我が国の化学分野でもプレプリント活用の活発化が期待される。本稿ではプレプリントの概論を紹介したのち,化学領域におけるプレプリント時代の学術出版スタイルについて論じていく。

  • 玉川 恵理
    2020 年 65 巻 4 号 p. 188-193
    発行日: 2020/10/31
    公開日: 2022/04/13
    ジャーナル フリー

    大学図書館コンソーシアム連合(JUSTICE)は2011年の設立以降,会員館を代表して,出版社との電子リソース提案交渉を行っている。近年,電子ジャーナルの購読契約が困難になってきていることや,研究成果をOA論文として出版することを推進する動きが世界的に広がってきていることを受けて,JUSTICEでは,従来の購読モデルの交渉と並行して,OA出版モデルの交渉も開始した。本稿では電子ジャーナル購読の現状と,OA出版モデル移行に向けた世界的な動きを概説し,日本においてOA出版モデル移行を検討するうえで,考慮すべき点や,検討が必要な課題について確認する。最後にJUSTICEが提案合意した移行契約の事例を紹介し,COVID-19による影響が続くなかでの,JUSTICEの2021年向け提案交渉についても言及する。

  • 小林 心
    2020 年 65 巻 4 号 p. 194-197
    発行日: 2020/10/31
    公開日: 2022/04/13
    ジャーナル フリー

    クリエイティブ・コモンズ(CC)は,米国で始まった,文章,音楽,写真,動画などの作品の自由な利用を促進するライセンス運動である。CCは,その目的を達成するため,主に「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」(CCライセンス)と「CC0」の2種類のツールを提供している。CCライセンスは,作品の作者が,著作権等を保持しつつ,他人に作品の自由な利用を許諾するためのツールである。一方,CC0は,作者が著作権等を放棄することにより,その作品の完全な自由利用を実現するツールである。本稿では,CCが学術論文のオープンアクセス化で重要な役割を果たしていることを述べるとともに,オープンアクセスとCCとの関係において,よくある質問とその回答例も解説した。

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