近代医学は解剖学研究に始まったとされるが,その端緒は16世紀の解剖学者ヴェサリウスの著作『ファブリカ』に始まる。中世のメメント・モリという死生観に基づく擬人化図像の流布,活版印刷術と版画芸術の誕生が,その創成期の解剖学研究に寄与している。19世紀の解剖学書の古典『グレイの解剖学』へ至る歩みを解剖学的表現主義という芸術史的観点から論じる。
カーリルはChatGPTを活用した蔵書検索サポーターを開発し,図書館が提供する蔵書検索サービス(Web-OPAC)と連携させる実証実験を行った。この取り組みは,図書館のウェブサービスにおける汎用AI・生成AIの活用が今後ますます進むことを見据え,課題や可能性,運用コストの検証を目的としている。本稿では,この実証実験の成果,最新の開発状況,そして今後AIの活用が進展する中で図書館に求められるインターフェースについて検討する。
2018年度から持続的に行っている城西大学薬学部薬学科4年生のプロジェクト基盤型学習科目のコミュニケーション体験演習(必修科目)は,授業のテーマである「自分ごと化 城西・薬学」として各プロジェクトチームが活動をしている。この授業では,生活者の多様な考え方を理解したうえで,薬剤師として地域社会に貢献できるようになることを目指し,より実践的なコミュニケーション能力を培い,対象者に寄り添い,課題解決に向けた方策や活動を考える能力を養うことを目標としている。学生たちは苦悩しながらもチーム内のメンバーと議論や練習を重ね,主体的に活動する。科目履修当初は,協働する経験の少ない学生にとっては,難しい科目でどうなるだろうと不安である。しかし,学生間で色々な活動を通じて,会話だけでなく相手の気持ちに共感しながら,企画思案し,振り返りをしながら,一歩一歩,小さなチーム形成が芽生える。個々の学生にとっても何らかの気づきを得る機会になり,このような体験を通じて,座学では得られないような課題解決のための能力を培うことを目的に実施している。本稿は,この科目の立ち上げから現在までの経験を記載し,学生支援の一助となればと思う。
ChatGPT他の生成系AIの発展により国内外の図書館界では現在,レファレンスサービスへのAIの活用が研究されている。紀伊國屋書店は図書館業務アウトソーシング事業を行っているが,受託している図書館業務へのAI活用を研究しており,AIを使ったセマンティック検索エンジンKanda Searchを採用して実験を行った。国立国会図書館のレファレンス協同データベースや日本版Wikipediaの内容をKanda Searchに学習させた実験結果は,通常のキーワード検索とは異なる検索結果を表示するものであり,人間が行うレファレンス業務への補助的役割が期待できる。人間とAIとのチームレファレンスという考え方が,これからの図書館サービスとなることが展望される。