古代中国で生まれた中国医学は, 韓国を通してあるいは直接海を渡って日本に伝わってきたのち, 独自の発展を遂げ日本の伝統医学としての漢方医学となった。明治以後の西洋医学偏重でしばらくの間冬の時代を過ごしていた漢方医学も, 1976年以降に医療用漢方エキス製剤の本格的な薬価基準収載により保険診療で使えるようになった。現在では, 70%以上の医師が漢方製剤を処方しており, 漢方医療はなくてはならない医療となった。近年, 漢方薬は近代医 (薬) 学に基づいた“Evidence Based Medicine”であるべきであり, 有効性をより科学的に明らかにしようという試みが基礎薬理試験や臨床試験において積極的に行われるようになった。
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