植物学雑誌
Online ISSN : 2185-3835
Print ISSN : 0006-808X
ISSN-L : 0006-808X
58 巻, 687 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 1944 年 58 巻 687 号 p. Cover_687-
    発行日: 1944年
    公開日: 2023/10/21
    ジャーナル フリー
  • XXIV. 葉緑體の“緑螺旋”について
    湯淺 明
    1944 年 58 巻 687 号 p. 53-61
    発行日: 1944年
    公開日: 2007/06/18
    ジャーナル フリー
    シダ植物の葉緑體は, 基質とその中に充ちた“緑螺旋”とから成り, 基質の外圍は薄い原形質膜で包まれてゐる。前報 (1940a, 1940b, 1940c) において網状構造であるとしたが, さらに詳しく生體のもの, 固定したもの, 固定染色したものについて觀察すると, 實は“緑螺旋”の集りであり, これについて檢討が加へられた。
    “緑螺旋”は不規則に廻旋し, 多くはその上にふくらみをもつ絲で, この中に葉緑素が含まれてゐる。いはゆる“Grana”はシダ植物については,“緑螺旋”の曲り目か, 光學的斷面か,“緑螺旋”のところどころのふくらみまたは緻密に卷いた部分であり, 從來, 葉緑體が纎維状, 膜状または網状構造であると見られてゐるものは, 螺旋構造の見誤りである。ときに基質中に一樣に葉緑素が含まれてゐるやうに見える場合もあるが, これは“緑螺旋”の一部が見えにくくなつた状態であらう。電子顯微鏡による葉緑體の膜状構造は,“緑螺旋”構造がさらに纎維状構造から成ることを意味するものであらう。高等植物におけるHEITZ (1936, 1936) の“Grana”については, さらに檢討の機を他日にゆづる。
  • 服部 新佐
    1944 年 58 巻 687 号 p. 62-73
    発行日: 1944年
    公開日: 2007/06/18
    ジャーナル フリー
    本號に於ては本邦産ムチゴケ屬 (Bazzania) 中未だ圖示せられず, 又その記載も原記相交の外殆ど見るべきものゝない種若干を報告する。本研究に使用した標本は總て吉永虎馬氏 (高知市) の所藏せられるものである。今囘筆者の乞ひに應じて貴重なる標本全部を貸與された同氏に深く謝意を表する。
    22) ムカデゴケの原記相文は極端な形に基いて與へられたがその後種としての範圍を擴げられたものである。相當に變化に富む種であつて中部以南の山麓地帶に普通に分布する。
    23) フタバムチゴケは亞高山地帶の樹皮に普通である。莖上部の葉は屡ゞ脱落して腹葉のみを殘す。小形の明瞭な種である。
    24) サケバムチゴケの原記載は部分的に見られる特徴が一般的なものとして而も幾分誇張されてゐるやうである。日本の高山乃至亞高山の岩場に稍普通に見られる種で非常に變化に富むものである。
    25) ホソムチゴケ (新稱) はSTEPHANI未發表の1種であるが, 筆者は之を前述サケバムチゴケの細長なる一變種とした。本邦の高山に於て同種を多量に採集研究したが, 基準種と本變種間には種々の中間的な形が存在するやうである。
    26) モエギムチゴケの原標本はSTEPHANIの原記載文末尾にInouë 59とある通り本研究に使用したものゝ一半であるが, STEPHANIは之を Bazzania semiconnata STEPH. と同定してゐる。多分初め該種に含め, 後之を新種と認めたものであらう。この事實は吉永虎馬氏も既に氣附いてをられ筆者に綿密なる書簡を賜はつた。茲に厚くその好意を謝する。
    27) ヤマトムチゴケは本邦の中部以南に普通なる一種である。本號に扱つたムチゴケ中既に圖のある唯一の種であるが, SANDE LACOSTEの原記相文及び同圖共に極めて不滿足のものであつてその正體を確實にする事は困難である。よつて本研究に於ては主としてSTEPHANIの記相文に頼つた次第である。
    28) ヒメムチゴケは主に山麓地帶に生育する小形の苔である。一體ムチゴケ屬の分類には腹葉の構造並びに形状が大いに手掛りとなるものであるが、本種及びシロムチゴケは腹葉の細胞が薄膜透明なる一群に屬し, 腹葉の細胞が葉細胞同樣に葉緑粒を含み不透明にして角隅の肥厚せる他の一群に對するものである。
    尚本種は一方ではシロムチゴケ, 他方では B. ceylanica (MITT.) NICHOLS. なる2個の大きな種の中間を占める小さい種と考へられる。
    29) ヨシナガムチゴケは本邦の深山に生ずる強大なるムチゴケである。STEPHANIの原記相文に於て本種及びサケバムチゴケは吉永氏採集となつてゐるが, 實は田村氏が採集して吉永氏に送附し, 吉永氏が之をSTEPHANIに送つたものである。
  • 1944 年 58 巻 687 号 p. 74-82
    発行日: 1944年
    公開日: 2013/05/14
    ジャーナル フリー
feedback
Top