植物学雑誌
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72 巻 , 849 号
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  • 奥野 春雄
    1959 年 72 巻 849 号 p. 61-67
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    海産珪藻6種類 Coscinodiscus Wailesii, Rhizosolenia styliformis var. latissima. Chaetoceros affinis, Eucampia zoodiacus, Biddulphia sinensis, Achnanthes longipes の珪殻につき, それぞれ電子顕微鏡立体写真を撮影し, その微細構造を立体的に解明した。登載した電子顕微鏡立体写真観察用の立体鏡は同一倍率 (約2倍位が適当) のルーペ2箇を両眼の距離にはなし, 支持枠に固定して作ることができる。(枠で固定せず2箇のルーペを両手にもち両眼にあてて立体鏡として使用してもよい。) 立体写真を挿図1のように, 眼•立体鏡•立体写真の位置を正しく調節して見るとレンズによって拡大された立体像を見ることができる。図版説明文中に inside view または outside view と記したのはこのように両眼の視軸が平行になるよう設計された立体鏡を用いた場合の視方向である。もし立体鏡を, 左右の視軸が交叉するように作ると, 視方向は前の場合の反対となる。このように1対の立体写真は, その見方を変えるだけで(または写真の左右位置を変えるだけで), 被写体の内外 (裏表) 両面よりの立体観を見ることのできる都合のよいものである。また立体鏡を用いず裸眼のままでも立体写真から立体像を見ることができる。すなわち, 裸眼のまま1対の立体写真を見つつ, 両眼の視線を鼻の方へ少しく寄せると, 両写真がそれらの中間で重なり合い立体像を見ることができる。裸眼の場合も眼の調節変化 (両眼の視軸を平行あるいは交叉させる) を工夫練習することによって (または写真の左右位置を反対に変えることによって) 1対の立体写真から内外両面観を見ることができる。
  • 田崎 忠良
    1959 年 72 巻 849 号 p. 68-76
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    栽培グワの葉令•開葉期と炭酸同化能力の変化を調べた。成熟葉の光-同化曲線は一般の広葉樹とおなじである。春の開葉期には光飽和下でも純同化量はマイナスであり, 4月下旬から5月上旬にかけてプラスに転ずる。
    純同化量が小さい原因としては, 呼吸量が大きいこと, クロロフィルが少ないこと, 気孔の運動が活発でないことなどが考えられる。
    春に開いた葉の純同化量は季節の進むにつれて増大し, 6月中旬には最大値に達し, 8月下旬にはふたたび減少する。初夏からあとに開いた葉では, 開葉時の純同化量は大きく, すでにプラスであり, その後すぐ最大値に達する。
    葉位に伴なう純同化量の変化には, 葉令の関係がよく反映されている。春から初夏にかけては, 下部の古い葉ほど純同化量が大きいが, 夏には葉位による変化は少なく, すべての葉の純同化量は大きい。秋には下部の葉から小さくなり, 落葉前には上部の葉におよぶ。クワの生理から見ていちばん不自然な夏切りグワでは, 秋に純同化量がはやく落ち, また生長もわるく葉も小さく, 気孔の水能動反応もほかのしたてかたをした時よりはやく活発でなくなる。
  • 渡辺 成美
    1959 年 72 巻 849 号 p. 77-86
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    螺旋菌 (Spirillum) の研究は, 従来, 淡水産種についてのみ行なわれており, 海水産種についての知見はまだない。前者についても, その分離培養は一般に困難とされ, 現在まで正確な種として記載されたものは10種にすぎない。筆者は千葉市寒川海岸産の二枚貝, アサリ, ハマグリ, シオフキ等の内臓内に, 好塩性螺旋菌が生育していることを確認した。本菌の培養を集積培養と分離培養とに区別し, 前者には海水成分要素にペプトンを添加した培地を, 後者には食塩•ペプトン•乳酸カルシウム等を主成分とした培地を使用した。二枚貝の腐敗浸出液より, 有効的な平板分離法により純粋培養にみちびいた。
    分離された螺旋菌4種は, 形態的所見のほかに, 培養的に生理学的に検討し, 本菌が(1)分離用固上で特異な集落を形成すること。(2)きわめて好塩性で, 高い食塩濃度に耐性を有するとともに, 海水と同程度の食塩濃度培地に良好な発育を示し, 食塩無含有培地上では発育が絶無であること。(3) 淡水産の既知種より低温度において正常発育を示す事実を認めた。以上によって問題の菌4種は, 淡水産種から明らかに区別されるべきものと認定し, 従来正確な記載なしに海水産螺旋菌として命名された種と比較研究した。この結果,ここに好塩性螺旋菌4種を新種として同定し記載した。
  • 井口 昌一郎
    1959 年 72 巻 849 号 p. 87-90
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    酵母類の染色体数は確定していないので, それが胞子をつくるか, または接合するかにより, それぞれ二倍体または半数体ときめられている。それゆえ胞子もつくらず接合もしない Torula 属の酵母では, その倍数性を定めがたいこととなる。Torula 属のものは細胞の形状などから半数性 Saccharomyces 属のものがその接合能力を失なって生じたものと考えられていたが, 栄養関係の性質からはむしろ二倍体と考えられるふしもあった。Multitarget 説によれば, 片対数グラフ紙に書いた生存曲線(Survival curve) の対数滅衰部分の外挿からその倍数性を推定しうるので, 単色紫外線 (2618Å) を用い, この方法を Torularubra Saito の倍数性の検査に試みたところ, 半数性と推定されるような結果をえた。なお比較に用いた半数性酵母では, 照射後それがまかれる培地の組成により生存曲線はちがってくることが明らかとなった。
  • 米山 穰
    1959 年 72 巻 849 号 p. 91-100
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    東大の服部教授の研究室で, ルチンを分解する菌が分離されたので, その同定を行なった。本菌は酵母に非常によく似ているようだったが, 培養条件により Pullularia の特徴の片鱗を示したので, 長尾研究所からの Pullularia pullulans と比較してみて, Pullularia に属させるべきものとわかった。
    Pullularia は従来 P. pullulansP. werneckii の2種だけ知られていたが, Wynne (1956) はホジキン氏病患者の病巣から Pullularia を分離し, それがある炭水化物から酸を生成するので Pullularia fermentansという新種をもうけて Pullularia 属の定義を修正するよう提唱した。その修正の基礎は Pullulariaの分類のを規準として炭水化物からの酸形成能を採用することにある。東京からの本菌は, その形態とWynne の提唱による分類規準とからみて P. fermentans var. fermentans にもっとも近縁であった。しかしたいていの培地上で Pulluaria の特徴である暗色色素を形成しないこと, 巨大コロニーの様相が特異であることから新変種とし, Pullularia fermentans var. candida とした。なお本菌は高張培地にもかなりよく耐えるが, それは比較に用いた P. fermentans var. fermentans や長尾研究所からの菌 so-labelledP. pullulans とも異なるので, この新変種の天然のすみかは, 従来しられている Pullularia のすみかとは異なったものと思われる。
    この研究では Pullularia の四つの菌株について, 暗色色素の形成とコロニーの様相が種々の条下件で比較されたが, Pullularia の暗色色素形成と生長の速度とが, ある場合には, 簡単な化学物質によって支配されることがわかった。それで Pullularia のある菌株は microbioassay の研究材料としてもよいのではないかと思われる。
  • 手塚 泰彦
    1959 年 72 巻 849 号 p. 101-107
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    シュンギクを水耕し, その生長 (乾燥重量の増加) と物質生産に及ぼす燐およびカルシウム欠乏の影響を調べた。
    燐の実験では, 培養のはじめから燐をまったく与えないもの (O-P), 培養をはじめてから30日間燐を じじゅうぶんに与え, その後燐をまったく含まない培養液に移したもの (-P), 培養期間中 (60日間) じゅうぶんに燐を与えたもの (+P) についてその生長を測定した。また附加的な実験で培養液中の燐の濃度変化と生長の関係を調べた。
    またカルシウムの実験では,0,2,5,15p.p.m. の濃度 (培養液は更新しない) で培養し生長を追跡した。
    燐とカルシウムの両方の実験で, 培養後の一定の時期に光合成能力, 呼吸等を測定し, 生産量を理論的に計算した。
    これらの実験の結果をまとめると:
    1. 最大生長量は, 硝酸イオンの場合と同様に, 燐酸イオンやカルシウムイオンの濃度には左右されず, 絶対量によって決定されるものと考えられる。
    2. 燐酸欠乏は葉の葉緑素含量の増加, すなわち暗緑色化をひき起こすが, これに対し, カルシウム欠乏の徴候は特徴的で, 頂芽の枯死となってあらわれる。
    3. 燐酸欠乏は光合成と呼吸のいちじるしい低下をひき起こす。カルシウム欠乏は単位面積あたりの光合成能力には影響を与えないようであるが, 単位重量あたりの光合成能力を低下させる。
    4- 燐酸欠乏によっておこる生長の低下は光合成, 呼吸の変化による物質生産の変化をもとにして説明された。
  • 高見 亘
    1959 年 72 巻 849 号 p. 108-113
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    The effects of alcohols on the pollen tube growth, the germination percentage and the plasma streaming in the hair of the stamen of Tradescantia reflexa Rafin. were observed. Alcohols tested were as follows: Methyl, ethyl, n-butyl, sec-butyl, tert-butyl, iso-butyl, amyl, iso-amyl, n-propyl, iso-propyl alcohols and cyclohexanol. Various promoting and inhibitory effects were obtained, as shown in tables and figures. Especially, methanol and ethanol of 0.05% were effective as activators in many cases.
  • 板垣 史郎, 木下 祝郎
    1959 年 72 巻 849 号 p. 114-119
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    Electron-microscopic observations were made on M. glutamicus. 1. Polar granules which appear at some stages of incubation are thought to be volutin or metachromatic granules.
    2. Very small volutin granules were also observed in the cells which were cultured in glucose bouillon. Size of these granules were 100mμ-150mμ in diameter.
    3. Size of volutin granules increased to 300mμ-400mμ in diameter after 1.5h 7h culture in the synthetic medium.
    4. The thickness of the cell wall is less than 10mμ and its density is lower than that of cytoplasm.
    5. There are a few large vacuoles in cytoplasm.
    6. Low density part which was slightly fibrous was observed in cytoplasm, and may be considered to be the nuclear site.
    7. Usually, there are one to two vacuoles which contain a volutin granule of high electron density.
    8. Volutin granule is consisted of many small vesicles whose diameters are 5 mμ-20mμ.
  • 山中 二男
    1959 年 72 巻 849 号 p. 120-125
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    Subalpine coniferous forests mainly dominated by Abies mariesii and A. veitchii develop widely in the northern and middle Honshu. In Shikoku, however, the subalpine region is limited, and the climax forest occurs on a rather small scale. The mountains where the subalpine coniferous forest is found in Shikoku are Mt. Tsurugi, Mt. Sasagamine and Mt. Ishidzuchi, and the climax forest of the subalpine region is characterized by the dominance of Abies sikokiana (A. veitchii var. sikokiana). The floristic composition and the structure of this Abies sikokiana forest are presented in Table 1. Abies sikokiana dominates in the tree layer usually attaining to 6-10m. in height. Betula ermani, Pinus pentaphylla var. himekomatsu, and Sorbus commixta occur frequently but are not always abundant. The shrub layer is constituted by Sasa spp., Menziesia pentandra, and others, but Sasa spp. are mostly dominant. The major species in the herb layer are Oxalis acetosella, Dryopteris austriaca, Cacalia adenostyloides, Majanthemum dilatatum var. nipponicum, and Oplopanax horridus var. japonicus. The forest-floor, where Sasa spp. are absent or are not abundant, is predominated by mosses such as Hylocomium splendens, Pleurozium schreberi, etc.
    The floristic composition mentioned above has distinct resemblances to that of the Abies veitchii forest occurring in the Pacific side of Honshu. Though the forests of Abies veitchii and A. sikokiana may be included in one and the same association, a provisional name, the Abietum sikokianae, is given here. Abies sikokiana often comes down to an elevation of about 1500m. above sea-level.
    But the climax subalpine coniferous forest is of course not found in such an altitude, and Fagus crenata is still predominating. It is assumed that the area of the Abies sikokiana climax forest is at least higher than 1700m. altitude. The lower limit of this forest usually comes in contact with the Abies homolepis forest or the Fagus crenata forest, and the Tsuga diversifolia forest is seldom found in the lower part of the subalpine region of Shikoku.
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