植物学雑誌
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72 巻, 850 号
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  • 井上 浩
    1959 年 72 巻 850 号 p. 131-136
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    本報ではウロコゼニゴケの胞子発芽の形式とともに, 現在までに報告されているウロコゼニゴケ属の他の種類の発芽形式と合わせて, ゼニゴケ目の植物が行なう発芽形式との関係について論じた。ウロコゼニゴケ属では基本的には胞子が発芽すると短い糸状の原糸体をつくり, この原糸体の頂端細胞が縦分裂することによって原糸体頂端部に数細胞の集塊形成を始める。(今回の研究で見られた糸状とならない原糸体は, この細胞の集塊と考えられる)。この集塊から新たに幼植物が形成される。このような発生のパターンはゼニゴケ目のそれと基本的な点で一致している。このことは最近だされた Mehra 説を裏づける一事実と考えられる。
    幼植物の葉縁には mucilage cell と呼ばれる特殊な細胞が分化している (これは成熟した植物体にも見られる)。この細胞は仮根細胞と同様に neutral red で赤色に染められる。また, この細胞内では葉緑体が細胞の分化とともに次第に消失するが, 油体はずっと後の時期まで変形されずに残っている。ゼニゴケ目の油細胞も発生初期にはかならず葉状体周縁部に形成され, かつ葉緑体を含むことと考え合わせて注目すべきことがらと考えられる。
  • I. 暗期前の光の強さと質
    滝本 敦, 池田 勝彦
    1959 年 72 巻 850 号 p. 137-145
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    アサガオ子葉に16時間の暗期を一度与えると花芽形成が見られるが, 暗期前10ルックスの白熱電灯光を8時間与えると花芽を形成しなくなる。
    1) 暗期前弱光の花芽形成抑制に対する有効波長を調べると, 近赤外光がもっとも抑制効果強く, 赤色光がもっとも弱い。
    2) 近赤外光をほとんど含まない昼光色螢光燈光 (10ルックス) を暗期前に与えても抑制効果は非常に弱く, これに近赤外光を混ぜると抑制効果がいちじるしくなる。
    3) 近赤外光の強い光を暗期前に与えると, 大変いちじるしい花芽形成の抑制が見られる。
    4) 10ルックス白熱電燈光の花成抑制効果は暗期直前に1~5分間赤色光を与えることによって消却される。しかし赤色光と同時に近赤外光をも与えると消却効果はいちじるしく減ずる。
    白熱電灯弱光の花芽形成抑制効果はそれに含まれている近赤外光の働きによるところが大きいものと考えられる。
  • アミノ酸, アデニル酸, コルヒチンおよびジベレリンの影響
    山段 忠
    1959 年 72 巻 850 号 p. 146-151
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    フラスモの遊離節間細胞の生長•成形は, 適当濃度のアデニル酸やジベレリンあるいはロイシン, メチオニン, アスパラギシ酸, グルタミン酸, アルギニンなどのアミノ酸をそれぞれ加えるととによって促進される。その場合アデニル酸は細胞よりの出芽•出根に, ジベレリンは新生した芽の伸長に, またアミノ酸は芽と仮根の新生とその伸長に強い効果を及ぼす。
    コルヒチンはある濃度範囲で新生した芽と仮根の伸長生長をわずかに促がすことができるが, 出芽•出根に対する促進効果はみとめられない。
  • 柴岡 弘郎, 八巻 敏雄
    1959 年 72 巻 850 号 p. 152-158
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    植物組織より寒天片中に拡散されるオーキシンは, 生長運動などと密接な関係をもっていると考えられる。しかしそのオーキシン量がわずかなためこれについての研究はあまりなされていない。このような研究を容易にする方法の一つとしてオーキシンの検出法をより感度の高いものにすることが必要と考えられる。その試みとしてアベナ幼葉鞘切片, エンドウのエピコチル切片の生長に対し, またこれらにおよぼす生長素の作用に対し, 促進的に働らくことが知られている金属イオンを応用して見た。FeSO4は0.025mg,/l.のIAAによっておこるアベナの屈曲に対し, 濃度3×10-3~10-2Mて約200% (最大) の促進作用を示す。またIAAを0.025, 0.050, 0.100mg./l.とすると, 5×10-3MのFeSO4はそれぞれ約200, 100, 33%の促進を示す。同じようなFeSO4の促進作用はNAAによっておこる屈曲についても見られた。したがって5×10-3MのFeSO1を用いることにより, 屈曲試験による生長素検出の感度を高めることができる。そこでこの感度を高めた屈曲試験を使用しアベナ幼葉鞘先端より寒天片中に拡散される生長素の同定をペーパークロマトグラフィーを利用して行なった。約600本の幼葉鞘先端を2%の寒天片上に立て, 3時間拡散を行なわせた。まず拡散された物質のうちアベナ屈曲試験に働らきを示すものがすべてエーテル可溶であり, またこの物質による屈曲もFeSO4により増大されることをたしかめた。つぎにこのエーテル可溶な部分をエタノール-水 (7:3, v/v), イソプロパノール-水-アンモニア (10:1:1, v/v), 水飽和n-ブタノール-酢酸 (200:1, v/v) を用いて展開し, 3種類のクロマトグラムを作った。その結果FeSO4を用いたアベナ屈曲試験に働らきを示す場所はどの場合でも, 対照とした濾紙上のIAAの場所と同じであった。アベナ幼葉鞘先端にはIAA以外の生長物質も存在しているが (Raadts 等, 1957), 上に述べたわたくしたちの実験結果は幼葉鞘の生長運動などに直接関係している物質はIAAだけであることを示している。
  • 豊田 清修
    1959 年 72 巻 850 号 p. 159-168
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    1. 種子の中に緑色の物質を有するものがあるが, これらのうち, ハス, エンドウ, ダイズ, ミカン属の数種, キンカンおよびカボチャについて実験した。緑色の物質はハスでは幼芽に, エンドウ, ダイズでは子葉に, ミカン属, キンカンでは胚に, カボチャでは種皮の内側の組織に認められた。
    2. これら緑色の物質を抽出してペーパークロマトグラフ法によって分析した。またこれらの数種については分光光度計を用いて吸収曲線を調べた。
    3. ハス, エンドウ, ヒラミレモン, Citrus Keraji var. Kabuchii, タチバナ, キンカンではクロロフィルabを明らかに認めた。また C. Oto, アマダイダイ, クネンボおよびダイズでもクロロフィルabを有することが吸収曲線によって明らかにされた。しかし, カボチャではクロロフィルbのみが見いだされた。
    4. これらの種子のうち, エンドウとダイズの果皮および種皮はうすく, やや半透明で, ある程度日光を透過すると思われるが, ハスとカボチャではおそらく光から遮断されていると考えられる。しかし, これらの種子内の緑色の物質として明らかにクロロフィルabとを認めることができた。
  • ウシグソヒトヨの交配系
    武丸 恒雄
    1959 年 72 巻 850 号 p. 169-176
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    The mating system of Coprinus macrorhizus f. microsporus was analyzed, using two stocks X and d. As shown in Table 1a, in matings between monosporous mycelia having unlike incompatibility factors at both loci, clamp-bearing hyphae are observed not only in the contact zone between two mated mycelia but also on both sides of it (complete dikaryotization). Clamps are also found in all matings where theB-factors but not the A-factors are identical (common B-factor mating). In the latter case, however, the formation of clamps is restricted only to the contact zone (limited dikaryotization). Therefore, when only the contact zone is examined for the presence or absence of clamps, a bipolar mating-pattern is obtained. However, when the mycelia on either side of it as well are tested for clamps, tetrapolarity is unmasked. Such tetrapolarity may be called “masked tetrapolarity”.
    All matings where hyphae with clamps had been observed were tested for their capacity to produce fruit-bodies under the same culture conditions. As shown in Table 1b, perfectly developed fruit-bodies with abundant basidiospores were obtained not only in all matings showing complete dikaryotization but also in some pairings showing limited dikaryotization. Fruit-bodies from the former matings produced spores of all four mating types ; whereas, from fruit-bodies formed in the latter pairings, only spores of the two parental types were produced (Table 2). Pairings between the monosporous mycelia of illegitimate origin show bipolar pattern, where only limited dikaryotization, but never complete dikaryotization, regularly occurs (Table 3a).
    In common B-factor matings, when two mycelia are inoculated 1-2cm. apart, a clear line of demarcation which is called “barrage” always appears between them, as shown in Fig. 1; whereas, when the two inocula are brought into contact with each other, a sector composed of dikaryotic mycelium develops occasionally in some matings, as shown in Fig. 2. Barrages develop with regular manner in all common B-factor matings, but the sectoring dikaryons are rather of haphazard occurrence.
  • 尾形 英二
    1959 年 72 巻 850 号 p. 177
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
  • 橋本 徹, 八巻 敏雄
    1959 年 72 巻 850 号 p. 178
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
  • 1959 年 72 巻 850 号 p. 179
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
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