植物学雑誌
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72 巻, 852 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 造精器壁細胞および精細胞の吸水力
    伊倉 伊三美
    1959 年 72 巻 852 号 p. 231-237
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    ミゾシダ (Leptogramma totta J. Smith) を主な材料とした外, 2種のシダを材料として,それらの前葉体上に発育した退精器の壁細胞, すなわち帽細胞, 環細胞, 底部環細胞の吸水力を Ursprung and Blum などの “平衡法” を適用してしらべた結果は次のように要約できる。
    1. 造精器の壁細胞の吸水力は大きく, ミゾシダでは庶糖の0.98モル水溶液の浸透価, すなわち33.6気圧に相当する。
    2. この値は高い浸透価を有する海岸植物の浸透価より高い。そして退精器の壁細胞の浸透価は前葉体細胞のそれよりも高く, この事実は開閉能ある気孔孔辺細胞の浸透価が表皮細胞のそれよりも高いという事実に似ている。
    3. 精細胞の吸水力も比較的大きく, ミゾシダでは庶糖の0.74モル水溶液 (23.1気圧) に相当する吸水力がある。この値は海岸植物の浸透価とほとんど同じであるといえる。
    4. 造精器の壁細胞や精細胞の吸水力の大きいことは, それら細胞の activity の高いことを示すものであり, 造精器裂開や, 精細胞からの精子の脱出の主要な一因子であると考える。
  • 窒素源の影響, とくに培地中におけるアンモニウム塩と硝酸塩のイオン比について
    伊藤 太郎
    1959 年 72 巻 852 号 p. 238-246
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    本報は Neurospora crassa の被子器形成におよぼす種々のアムモニウム態窒素源の量的影響についての研究報告である。 被子器形成は, 用いられた種々のアムモニウム態窒素源のうち, 酒石酸アムモニウムを微量 (0.5×10-3M以下) 添加の合成子実体形成用培養基上でいちじるしい。特に前者の場合 NH+4と NO-3の濃度比が8:10, 6:10 および 1:10 の時に顕著である。
    この添加窒素源の特定量添加の際にみられる形成作用は, NH+4 と NO-3 の特定濃度比を有する合成培養基中で, A(+) 系および a(-) 系がそれぞれその反対性型系すなわち a(-) 系および A(+) 系菌糸に原被子器 (protoperithecium) 形成を誘起する性ホルモン様物質のはたらきによることが明らかとなった。そしてA(+) 系の NH+4 濃度が低い場合, a(-) 系の NH+4 濃度が高い場合に著るしい原被子器形成の誘起作用をあらわし, A(+) および a(-) 混合系では両者の中間的効果がみられる。
  • 田崎 忠良
    1959 年 72 巻 852 号 p. 247-254
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    栽培クワにおける “夏切り” 後の生長を, 総生産量と同化生産物の分配の面から解析した。 また夏のはじめにまいた実生苗の生長経過も対照として解析した。 分配側は葉•茎•根の生長と茎•根の呼吸からなっている。 生長は直接測定し, 呼吸は切りとった茎からの炭酸ガス発生量から計算した。 生産側は総生産量の積算値であり, 葉の純同化量と夜の呼吸量から計算した。 実生苗の夏の生長では,同化時間を11時間として純同化量6mg.CO2/50cm.2/hr.で分配側を満たすことができる。 ところが “夏切り” 後の栽培クワの生長では, 6mg. CO2/50cm.2/hr.という高い能率の純同化量でも, 少なくとも初期の生長は満たすことはできない。 生長の後期には積算総生産量がふえ分配側を満たす可能性がでてくる。初期において総生産量に比較して生産量が大きいことは, この時期においては貯蔵物質を使っていることを示している。
  • 八ケ岳•秩父の半月形縞枯について
    岩城 英夫, 戸塚 績
    1959 年 72 巻 852 号 p. 255-260
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    1. 前報では長野県縞枯山にみられる, シラビソ•オオシラビソの立枯れからなる縞枯現象について報告したが, この縞枯の発生初期にあると思われる半月形のものは, 北八ケ岳の蓼科山, 横岳, 雨池山, 中山,稲子岳などに, また奥秩父の三宝山, 甲武信岳, 木賊山, 雁坂山などにもあることがわかった。
    2 線状トランセクトによる調査の結果, これらの半月形縞枯はよく発達した直線形の縞枯に似た内部構造をもっていることが明らうふにされた。 またその発生は山の南側 (南東-南-南西) 斜面のシラビソ•オオシラビソの優群集に限られ, 発生の高度は海抜2100-2500m. の間であることがわかった。
    3.これらの半月形縞枯が時間と共に直線形の縞枯に発達する過程について考察をおこなった。
  • I. アミジグサ, エゾヤハズ, オキナウチワの四分胞子発生
    西林 長朗, 猪野 俊平
    1959 年 72 巻 852 号 p. 261-268
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    The germination of the tetraspore in Dictyota dichotoma (Huds.) Lamour., Dictyopteris divaricata (Okam.) Okam. and Padina japonica Yamada has been observed. It shows certain differences among three species. In Dictyota dichotoma the upper segment which is formed by the first division of the spore becomes the apical cell of the thallus. In Dictyopteris divaricata and Padina japonica the germinating spores first produce a multicellular oval body. Thereafter the oval body produces a projecting cell, which becomes the apical cell of the new plantlet. In Padina japonica a projecting cell is made, but in Dictyopteris divaricata 1-3 protrusions are produced at first and many later.
    The occasional liberation and germination of the entire sporangial contents were observed in Padina japonica. There are some differences in germination between tetraspores and liberated tetraspore mother-cells. Those differences are attributed to the fact that the liberated tetraspore mother-cell is the aggregation of four tetraspores.
  • 宮脇 昭
    1959 年 72 巻 852 号 p. 269-271
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    Das Internationale Symposion fÜr Vegetationskartierung wurde von der Internationalen Vereinigung fÜr Vegetationskunde vom 23. bis 26. März 1959 in Stolzenau/W., Deutschland, als bisher gröBter pflanzensoziologischer KongreB durchgeführt. Es ist daher angebracht, einen kurzen Bericht zu geben über einige Ergebnisse dieser Zusammenkunft der bedeutendsten Fachgelehrten aus dem Bereich der Vegetations-kartierung, die aus vier Erdteilen nach Stolzenau gekommen waren. Mehr als 40 Fachvorträge und eingehende Diskussionen, die während des Kongresses gehalten wurden, brachten einen so gut wie erschöpfenden Überblick über den Stand der
    Vegetationskartierung, ihre Grundlagen und Methoden, ihre wissenschaftlichen Ergebnisse und ihre Anwendung in der Praxis der meisten Länder Europas und auch in Übersee.
    Wir hoffen, daB dieser kurze Bericht für unser Land, das in diesem Teilgebiet der Botanik weniger fortgeschritten ist als Europa, Anregungen zu geben und zum Fortschritt auf diesem Gebiet der Naturwissenschaft beizutragen vermag.
  • 1959 年 72 巻 852 号 p. 272-274
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
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