植物学雑誌
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72 巻, 856 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • II. 緑葉の光電反応に及ぼす光の強さの影響
    西崎 友一郎
    1959 年 72 巻 856 号 p. 377-383
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    1. Phaseolus vulgaris の葉を用い, 種々な強さの光を照射した場合に起こる光電反応の変化を, 前照射の影響をも含めて研究した。
    2.光電反応は, 強い光では1つの成分からなり, 光が弱くなると反応は小さくなると同時に2つの成分に分離する。その移行過程から推して, 強い光による反応は2つの成分が重なって現れたものであることが分る。
    3. 強い前照射によって光電反応は大きくなり, 逆に弱い前照射によって反応は小さくなる。
    4. 前照射の光エネルギーが一定でも, 次に起こる光電反応は一定にならず, 前照射の強さ, 照射時間の変化に従って増大あるいは減少がみられる。すなわち前照射に関しては, reciprocity-law が成立しない。
    5. 光電反応の第2の成分の peak があらわれるまでの時間と光の強さとの関係は1つの直角双曲線で示され, この反応には刺戟量法測に従がうようなある過程が含まれていることが推論される。
  • 西尾 康三
    1959 年 72 巻 856 号 p. 384-387
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    リグニン化における, コニフエリル型とシリンギル型の両者の中間に位すると思われる植物について,モイレ反応を検した。これらの植物は, しばしば赤色から黄色にいたる種々の程度の色合を呈した。Podocarpus macrophylla の木質部では, 赤色と橙黄色の細胞が縞をなして存在し, Illicium anisatum においては, 木質部の細胞の中に, 赤色部と橙黄色部をもつものが見出された。
  • III. 暗期反応初期段階の光感受性
    滝本 敦, 池田 勝彦
    1959 年 72 巻 856 号 p. 388-396
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    1) 暗期前近赤外光をほとんど含まない10ルックス程度の昼光色螢光燈の光を8時間与えると, 限界暗期は6~8時間短縮される。
    2) 上記の光に近赤外光 (120erg/cm2./sec.)をまぜた場合, および近赤外光のみ(200erg/cm2./sec.)を与えた場合は, 限界暗期は約4時間短縮されるに過ぎない。
    3) 暗期反応の最初の6時間は10~25ルックスの昼光色螢光燈下で充分進行し得るが500ルックスではほとんど進行し得ないようである。
    4) 昼光色螢光燈, または近赤外の非常に弱い光を16時間与えた場合, 開花を阻止する最低限の光の強さは, 前者で5~25erg/cm2./sec.(1~5ルックス),後者で50~200erg/cm2./sec.である。
    5) 暗期の前後に6時間づつ10ルックスの昼光色螢光燈の光を与えると, わずか4時間の暗期で開花するようになる。
    開花に必要な暗期の初期段階は, 10~25ルックス程度の弱光, または近赤外光の下で進行し得るものと考えられる。たゞ近赤外光は, 同時に其後の暗期反応を抑制すると考えられるので2, 暗期前に近赤外光を与えた場合の限界暗期の短縮はそれ程顕著でない。
  • 吉田 吉男
    1959 年 72 巻 856 号 p. 397-403
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    細胞の正常代謝期における核の機能およびその他の細胞要素との相関性の問題について何らかの知見を得んがために, 原形質分離によつて得られたオオカナダモの葉の細胞の分割原形体中の葉緑体におよぼす数種代謝毒の影響を核の存否の影響と比較検討した。そして色々な考察の結果から結局次のような事柄が推論せられた。すなわち;
    1. 核というものはおそらく原形質分離というような異常な強制的条件下では微妙な病変に罹りやすいものであって, そのような病変核は葉緑体の正常代謝平衡を害し数種の代謝毒の影響と類似の病的退萎にそれを傾けるものである。
    2. 葉緑体はかなりの自律性を有するもので, そのような異常条件下でも核の影響外にある限り強くその機能を保持し得るものである。しかしその異化過程は恐らく核の作用による何か必須の補助要因の供給に依存しているものである。
    3. 原形質分離的条件による光合成能の低下は従来いわれたような葉緑体機能への直接的影響のせいではなくて, 病変核を介しての間接的な影響のせいである。
  • 佐伯 敏郎
    1959 年 72 巻 856 号 p. 404-408
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    生育初期のヤエナリ (Phaseolus viridissimus) とソバを材料として,葉令による光合成の能力変化を調べた。前報に示したケヤキその他木本の測定結果と比較した場合, これら草本における光合成能力の時間的推移の形はほぼ同じであるが, 葉の寿命が短かく, 光合成能力の最高値もごく短時間しか持続しない。ケイトウの葉で示されたように, 草本群落では光合成能力の高い若い葉が上部に, 老令でかつ陰葉化した葉が下部につく。森林の場合には葉令は同じでも樹冠は陽葉と陰葉に分化するから結果的に同様な光合成能力の垂直こう配が成り立つ。このことは群落内の光の垂直分布と結びついて群落全体としての生産に有効に働らく。また密な植物群落全体の光合成を見積るためには上部の元気のよい葉でえられる真の光合成曲線と全葉の平均呼吸を代表にえらぶだけでよい。
  • 渡辺 光太郎
    1959 年 72 巻 856 号 p. 409-412
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    ダイコンの根の肥大初期には, おそらく周辺部の生長に中心部の生長が追いつかないため, 中心にある一次木部の近辺に破生間げきに由来する小さな孔が生じる。この孔はまもなく, その周壁から生じた多くのカルス細胞の生長, 分裂, ゆ合によってできた柔組織でうずめられる。カルス組織の介在, 発達の結果,一次木部に接してその両側に発達した二つの二次木部道管群は, 巨視的にたがいにはなれて位置するようになる。
  • III. シラビソ, オオシラビソ林における種内競争と林分構造の発達
    黒岩 澄雄
    1959 年 72 巻 856 号 p. 413-421
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    すでに報告された縞枯山のシラビソ, オオシラビソの各林分について, 樹木測度の度数分布と立木密度を調べ, さらに若い林分について階級分けされた林分生産構造も調べた。
    林分の発達に対して, 樹高度数分布はL型からN型化する傾向, 幹直径分布はL型が維持される傾向が見られた。個体重と葉重との幹直径に対する関係式から評価されたこれらの重さの度数分布はともに極端なL型であった。さらに標準木 (幹断面積に対する平均木) の幹直径, 葉重, 個体重はこれら測値のそれぞれに対する平均値よりも小さいことが証明された。
    過熟木林分をのぞいて, 各林分における枯損率は一定 (年当り7.5%) でこの半分は被圧木階級における枯死木で占められた。標準木の幹直径や樹高は半対数式で, 地上部重は両対数式で立木密度に対して直線関係を示した。林分の幹断面積合計はその発達とともに単調な増加を示さず, 成木林分において少し減少した。
    若い林分で得られた生産構造図では, 共通して, 同化器官の大部分は優勢木階級によって, 非同化器官のほとんどが優勢木と中級木との両階級によって占められていた。林分の発達にともなって, 非同化器官の林分当りの重さは大いに増大し, 同化器官のそれはいくらか増加したが, 葉面積指数(5.0)はほとんど変らなかった。
  • 宝月 欣二, 坂本 充, 澄川 沢
    1959 年 72 巻 856 号 p. 421-422
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
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