植物学雑誌
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73 巻 , 859 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 伊倉 伊三美
    1960 年 73 巻 859 号 p. 1-6
    発行日: 1960年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    ミゾシダ (Leptogramma totta J. Smith) を主な材料として用いた外, シダ類2種を材料とし, それら前葉体上に発育した退精器の壁細胞, すなわち主として環細胞, 底部環細胞の尿素及びグリセロルに対する透過性についてしらべた結果, 次のことがらがわかった.
    1. 壁細胞質はつねに凸型原形質分離をなし, 原形質分離個所は壁細胞の外膜の角にある. そして,ついにその内膜に接して “Plasmasystrophe” の現象がおこる. このことは, 単一の壁細胞にも生理学的極性の存在することを意味し, 極性方向は外から内に向う.
    2. 尿素とグリセロルの透過比から得た壁細胞の透過性の型はグリセロル型である.
    3. グリセロル型であることは activity の高い, 若い細胞に特徴的の型と考えられ, 壁細胞は高いactivity をもつものと推定され, このことは退精器裂開に都合のよいことであると考えられる.
  • 手塚 泰彦
    1960 年 73 巻 859 号 p. 7-13
    発行日: 1960年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    栽植密度による個体あるいは群落の生長のちがいと養分要因の関係を明らかにするため, 密度を変えたカラシナ (Brassica cernua) の水耕実験およびソバ (Fagopyrum esculentum) の圃場実験を行なった後者は岩城, 門司, 黒岩, 翠川等との共同研究として行なわれた7,8,9. 主な結果は次のようである. カラシナの水耕実験: 濃度1/1, 1/10, 1/100の培養液10,11)700ml. を容れた, 径18cm. のペトリ皿に, 液を更新することなく5, 17, 41個体のカラシナのめばえを水耕した. 同一密度では養分供給量が大きい程, 個体及び群落全体の生長量は増大する. 同一養分供給量では密度が大になるにつれて個体の最大生長量は減少し, 群落の最大生長量は密度に関係なく大体一定になる. この現象は養分が欠乏する時にのみ見られ, 養分要因に関するせり合が主な原因と考えられる. ソバの圃場実験: 5, 10, 20cm. 間隔に圃場に播種したソバの群落の最大生長量は密度に関係なく大体一定の値に達した. 養分要因の作用を明らかにするために, 群落内での養分の吸収量と, 単位乾物量あたりの濃度をN, P, K, Ca, MgおよびFeについて追求した結果, 特に密な群落では生長の後期に窒素の欠乏が認められ, これが光要因と共に群落の最大生長量を制限していると推論された.
  • 戸塚 績, 門司 正三
    1960 年 73 巻 859 号 p. 14-21
    発行日: 1960年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    1. The water economy of plants was studied in water-cultured tobacco plants reported in a previous paper3) by means of abrupt changing of culture solution level.
    2. Equations 2 and 3 were formulated quantitatively to elucidate the water economy of plants, and they could clarify the main effective factors as follows: a) The active root/leaf area ratio (the ratio of mg. fresh weight of root active in water absorption Cw to leaf area of plant in sq. cm. F), which well indicated the grading of a water level lowering, had the direct effect on the water economy of an entire plant, and remained almost constant under normal conditions of the plant growth. b) The transpiration rate kept a constant value of 5-6mg./sq.cm./hr./cm. Hg in the range of 4.5-.7 of the Cw/F ratio, but below 4.5 of Cw/F, the transpiration rate decreased linearly with the depression of the active root/leaf area ratio. c) The water amount absorbed through 1mg. of submerged fresh roots was assessed to be 1mg./hr. under the given conditions (25°, ca. 1cm. Hg of saturation deficit). d) The water amount in leaves was expressed on leaf area basis, and designated in terms of leaf water index (LWI, mg. H2O/sq. cm.). The index represents the water condition of leaves more clearly than the water content expressed on dry weight basis does.
    2) By substituting the above factors in Equation 3, the leaf water deficit of the tobacco leaves accompanied with lowering the culture solution level was calculated. The trend of the calculated curve was fairly similar to the observed. This may prove that the obtained equations will be applicable to the general discussion of water enocomy of plants with variously developed root systems.
  • 島袋 敬一
    1960 年 73 巻 859 号 p. 22-29
    発行日: 1960年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    イネの根端の組織の基本的構造, 特に前分裂組織における始原細胞群の行動, ならびにそれに由来する細胞の分裂方向について観察し論議した. 多くの場合, 前分裂組織は縦断面で中心柱, 皮層•表皮, および根冠の3始原細胞群として区別でき, その構造はイネ科に普通にみられる型に属する. しかし, 少数例ではあるが, 始原細胞群が4層-中心柱, 皮層, 表皮, 根冠-にわかたれ, おのお の独立の始原細胞群に由来していると考えられる場合がある. 1個の種において,このように根の前分裂組織の構造が2型を示すことは興味ある問題であり, このことについては従来観察例が極めて少く, 殆んど論議されてない. 近来, 根の前分裂組織の細胞分裂の頻度, ならびに始原細胞群の分裂能力等について種種論じられている. この研究での観察例は, 始原細胞群が分裂能力を持つことを示し, 特に皮層•表皮始原細胞群は縦断面の anticlinal division を行うのが普通のようであるが, 時に periclinal division の能力を発現することによつて皮層•表皮の共通の始原細胞群が分離し, おのおの独立の起原より生じ4層となったと考えるのが至当であろう. 内皮の分裂能力についても観察した. 皮層のすべての細胞は分裂帯の内皮細胞の periclinal division に
    よつて形成される. しかし, 各部位, すなわち内皮, 薄膜柔細胞層の内, 中, 外層, 厚膜細胞および外皮の各細胞はその形, 大きさ, 内皮細胞より分離した後の分裂能力ならびに分裂, 伸長の方法が異なる.
  • 三木 寿子, 山岸 秀夫
    1960 年 73 巻 859 号 p. 29-36
    発行日: 1960年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    1. 凍結乾燥法により, Spirogyra ellipsospora および Lilium longiflorum の子房を処理した, 前者については形態学的研究を, 後者については 組織化学的研究を行なった.
    2. 本研究では, 上記の材料を-150゜以下で凍 結した後, -50゜附近で, 減圧乾燥した.
    3. 凍結乾燥法により処理し, 真空中でグリセ リンに包埋したSpirogyra ellipsospora では, 細胞容積の増大がみられたが, 細胞壁の破壊は少 なく, 葉緑体の鋸歯状突起はよく保存され, その 切断もみられない. しかし, 細胞を包埋している グリセリンを水で除いた後に, 染色•脱水•バル サム封入などをほどこしたものでは, しばしば葉 緑体の切断がみられる.
    4. Lilium longiflorum の組織化学的研究に おいて, 凍結乾燥法で処理した材料では, 10%ホ ルマリンで固定した材料で検出できなかった反応 が検出でき場合, また10%ホルマリンで固定 された材料で検出できるものとくらべても, 凍結 乾燥法で処理した材料の方が反応が強くあらわれ る場合, なお新鮮材料や凍結乾燥法で処理した材 料とくらべて, 10%ホルマリン固定した材料で は, 染色される範囲が狭くなつている場合などが ある.
    5. (3)•(4) の結果から考えると, 本方法は藻 類の形態固定にすぐれていると考えられる. Specia chromo-acetic-osmic solution や, 組織 化学的研究の際によく用いられるホルマリン固定 液のいずれよりも, 形態学的•組織化学的にすぐ れた植物細胞の処理方法である.
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