植物学雑誌
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73 巻 , 861 号
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  • 門司 正三
    1960 年 73 巻 861 号 p. 81-90
    発行日: 1960年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    植物の物質生産はその生態学的, また社会学的生活の基礎をなすが, それは物質再生産によってはじ めて維持される. 再生産過程は光合成系による物質生産過程と, その生産物が再び新しい生産系に転形さ れる過程とにわかれる. 一般に植物が生長を増加させるには光合成系の増大による拡大再生産が必要であ る.
    葉の寿命, 種子あるいは塊茎•地下茎などの形成, 非光合成系の増大, およびその呼吸などについて 考察して, 草本系 (一年生, 多年生, 永年生) および木本系 (一年生葉, 多年生葉) の5基本模式を得た (表1). この模式に, Stålfelt の光合成曲線などを適用して, マツとトウヒの生長曲線を作成し (図1,2), 葉の光合成特性のほかに, 葉の寿命, 非光合成系の呼吸などが, 耐陰性に強く影響する要因であることを 明らかにした.
  • 滝本 敦, 池田 勝彦
    1960 年 73 巻 861 号 p. 91-97
    発行日: 1960年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    1) 16時間の暗期後に与えた近赤外光または弱光 (10lux) は, アサガオの花芽形成にあまり影響を 与えない.
    2) 8-12時間後に与えた近赤外光を含まない弱光 (10lux) は花芽形成をかなり促進する. しかし近 赤外光はこの促進効果を持たない.
    3) 上記弱光の花芽形成促進効果は, 弱い近赤外光 (120erg/cm.2/sec.) を同時に与えることによっ て妨げられる.
    4) オナモミでは暗期後5分間赤色光を与え, それに続いてさらに第2の暗期 (8時間) を与えると花 芽形成が抑制されるといわれているが3), アサガオではこのような現象は見られず, 第1の暗期が11時 間の場合には逆に花芽形成が促進される.
    5) 花芽形成に有効な暗期の最後の段階は比較的光に安定で, 弱光下でもある程度進み得, また短時 間の赤色光照射に対しても安定だと考えられる. しかし暗期の初期段階程光に安定ではない.
  • 豊田 清修
    1960 年 73 巻 861 号 p. 98-103
    発行日: 1960年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    1. ハスの果実内の幼芽および他の数種の植物の種子内に含まれるアスコルビン酸 (還元型と酸化型) の量をインドフェノール法によって測定した.
    2. ハスの幼芽に含まれるアスコルビン酸の量はかなり多い, そして多くは酸化型で存在する. その 量は数年たった古い果実でもほとんど変らない.
    3. ハスの幼芽に含まれるアスコルビン酸の量は温度によりわずかの影響を受け, 25°, 50°では少し 増加し, 0°ではやや減少する.
    4. 果実が発芽すると, 幼芽1個あたりのアスコルビン酸は増加し, 酸化型アスコルビン酸はかなり 減少する. また明所で発芽した芽生えは暗所で発芽した芽生えより多くのアスコルビン酸を含む. ハスの 普通の葉はかなりの量のアスコルビン酸を含み, その多くは還元型である.
    5.ミカン属, キンカンの胚, カボチャ属の種皮の緑色の組織, エンドウ, ダイズの子葉に含まれる アスコルビン酸を測定した. これらの種子においても酸化型アスコルビン酸の量は比較的多い, アスコル ビン酸の量は種類によっても違うが, 一般に古い種子では新らしい種子より少ない. また緑色の組織では 非緑色の組織よりアスコルビン酸の量は多い.
    6. ハスの果実内の幼芽にかなり多くの量のアスコルビン酸を含んでおり, この物質の量が永年の間 ほとんど変化しないことは注目すべきことである. それはハスの果実が長寿を保つことと関係がありそう である.
  • 纐纈 理一郎
    1960 年 73 巻 861 号 p. 104-106
    発行日: 1960年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    植物体内で行なわれる生理作用と環境要因との関係の攻究に当って必要な体内環境要因とその在り方 の合理合目的な表示への関心に立脚したいわゆる組織粉末法の効果的利用から出発して, 生理作用の行な われる場としての体内舞台の概念を構成し, この舞台上で行なわれる生理作用は, 舞台の構造的要因, 理 化学的要因および生物的環境要因としての同時に行なわれている他の生理作用などによる綜合的影響の下 にあるのだから, 生理作用の自然における現実の現われの追究には, 作用と体内舞台との関係を生態学的 に取扱う態度が必要であり, したがってここに体内生態学の成立分野があることを説いた.
    なおこの概念とその運用は植物に限らず, 動物ないし人間の場合にも適用され得るはずである.
  • 星川 清親
    1960 年 73 巻 861 号 p. 107-112
    発行日: 1960年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    普通小麦 (コムギ) において, 一つの胚嚢内に2組の卵装置を有するものが約1000箇の胚嚢観察の うち3例見出された. この胚嚢は正常のものに比してやや幅が太く, 珠孔側に相同形の2箇の卵細胞が隣 接して存在し, その周囲に4箇の助胎細胞 (うち最も珠孔側の2箇は小型で退化している) が認められる. また極核は境界の核膜が消失し, なかば融合の様相を呈している.
    一般の正常な胚嚢形成に際しては, 胚嚢細胞の初回の核分裂で珠孔側に位置した1の核がさらに第2, 第3回の核分裂を行なった後, 分裂は停止し細胞膜形成が行なわれて1組の卵装置が形成される. これに 対し珠孔側でさらに第4回目の分裂が行なわれたために核が倍増されて複卵装置になったものと推察され る. また極核においては第4回目の核分裂が弱く不完全で, 核膜消失の過程で留まってしまったものと解 釈されよう.
    従来, 双胚種子の起因としていろいろの説明がなされているが, 1つの胚嚢内に2つの卵細胞が存在 するという事実から考えて, 2卵細胞がともに発生して双胚を形成することもまた, 1つの双胚の起因と して考えられるであろう. 因に, 小麦においては双胚種子の頻度は約1/1000であるが二組の卵装置をも つ胚嚢の頻度は約1/300であった.
  • 高見 亘
    1960 年 73 巻 861 号 p. 113-119
    発行日: 1960年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    Surveying the relation between the acid (citric, gluconic and oxalic acid) production and the osmotic pressure of the mycelium in many cases, the following results were obtained.
    1. In good acid production, the initial osmotic pressure is as high as 1.6-1.7M.
    2. The initial osmotic pressure of the old strain, not pre-cultured and of the nitrogen-mustard treated strain is low.
    3. When the osmotic value decreases to about 1.3-1.2mol, the acid production is accelerated and then increases gradually during the period when the osmotic value is 1.0-0.9 M.
    4. Optimum concentration of sucrose in basal medium is 10-14%. At the growth stage 10% of sucrose is preferable, while at the stationary stage, 14%.
    5. Effects of deficiency and excess of N and K are remarkable, as compared with those of Mg and Fe. It may be said that as in the case of sucrose, a lower concentration of N is preferable at the grwoth stage and a higher concentration of it at the stationary stage.
    6. If 1-3% methanol is added in basal medium, the irregular forms of hyphae are observed at the growth stage and in many cases more citric acid is produced. In such cases, citric acid production is more promoted than at the ordinary osmotic value. If we add agar and starch moreover we have much more citric acid production.
    7. As an application of this observation, we can have more citric acid production, when the initial concentration of NH4NO3 in basal medium is 1% and increases to 2% on the 3rd day.
  • 柴田 治
    1960 年 73 巻 861 号 p. 120-124
    発行日: 1960年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    1)The experiments were undertaken to study the influences of certain enzyme inhibitors on the photoperiodic responses of a water fern, Salvinia natans.
    2) Plants were subjected to 8-hour photoperiod for 5 days. KH2AsO4, NaF and malonic acid were added to the nutrient solution throughout the light and the dark periods. KCN and NaN3 were applied during the light or the dark period, and CO only during the dark period.
    3) KH2AsO4 and NaF inhibited the development of sporocarp in lower concentrations, and the initiation of sporocarp in higher concentrations. The inhibitory effect of KH2AsO4 was removed by the simultaneous application of KH2PO4.
    4) KCN and NaN3, either being an aerobic inhibitor, inhibited sporocarp initiation especially when given to the plant during the light period. These enzyme inhibitors, however, promoted photoperiodic responses when supplied together with glucose.
    5) CO and malonic acid considerably promoted sporocarp initiation.
    6) It is considered that the interception of citric acid cycle promotes photoperiodic response, and that the inhibitors of heavy metal-containing enzyme inhibit photoperiodic response by preventing photosynthesis or related processes, but promote it if the sufficient carbohydrates are given to the plant.
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