植物学雑誌
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73 巻 , 865-866 号
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  • 田崎 忠良
    1960 年 73 巻 865-866 号 p. 269-277
    発行日: 1960年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    この報告ではクロマツ苗の乾燥抵抗を考察し, ほかの植物の乾燥抵抗との関係を論議した.
    1. 乾燥抵抗に関する簡便式はクロマツ苗において, すべての場合に適用できることがわかった.
    2. 一定のクチクラ蒸 散bull;致死飽差の下で, 乾燥抵抗に対する最初の蒸散量•蒸散減少度の影響を調べた結果, その影響は少なくともクロマツ苗の場合には想像されるより著しく少ないことがわかった.
    3. クロマツ苗と栽培グワの乾燥抵抗の差は, クチクラ蒸散に原因する.
    4. クロマツ苗と栽培グワの乾燥抵抗•クチクラ蒸散量•最初の蒸散量•蒸散減少度および致死飽差を, ほかの高等植物と比較した.その結果クロマツ苗は乾燥抵抗が最も強い植物の一つであり, 栽培クワは最も弱い植物の一つであることがわかった.
  • 土井田 幸郎
    1960 年 73 巻 865-866 号 p. 278-282
    発行日: 1960年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    ハルタデの花粉形成過程を形態形成の面から観察した. 本種の葯は4室の花粉嚢をもっているが, おのおのの花粉嚢は, それぞれ4個の花粉粒を含むにすぎない. このことは葯発達の初期に (葯の横断面で) 四に隅生じた1個の胞原細胞が分裂せず, そのまま花粉母細胞としての機能を有するようになるためである.すなわち花粉嚢中にただ1個の花粉母細胞が生じ, それの減数分裂で4個の花粉粒が生じるのである.
    タデ属植物の花粉形成過程の研究により, 花粉嚢あたり形成される花粉粒の数をもとに本属を5型に分けたが, 本研究によりハルタデはそのいずれにも属さないことが解った. -ハルトラノオは他の1型を示す-以上のことより本属は7型に分けうることになる. すなわち, 一花粉嚢あたり4, 8, 16, 32, 64,128および256の花粉数を有する場合である. 一方花粉形態をもとに, 本属は2型に大別できるが,この点と花粉形成の7型との間の関係についても論じた.
  • 萩本 宏, 小西 通夫
    1960 年 73 巻 865-866 号 p. 283-287
    発行日: 1960年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    1. 著者等は子実体生長ホルモンが存在することをすでにツクリタケその他の担子菌子実体を用いて間接に証明した. この論文では子実体生長ホルモンの存在を拡散や抽出操作により一層確実に証明し, さらにホルモンの単離のための予備実験として, 若干の性質を明らかにした. 2. この生長ホルモンはヒダから寒天塊に容易に拡散し, またセロファン透析が可能である. 3. この生長ホルモンはエーテル, アセトン, エタノールおよび水に可溶, 石油エーテルおよびベンゼンに不溶である. 4. この生長ホルモンは熱のみならず,酸およびアルカリにも安定である. 5. この生長ホルモンは Avena テストにかからない. 逆に 0.1, 1, 10,
    100 および 1000ppm の濃度のインドール酢酸 (IAA) は Agaricus テストにかからない. したがって子実体生長ホルモンはIAAあるいはその類縁化合物ではないと考えられる. 6. ウシグソヒトヨ, ニガクリタケおよびマツタケのカサあるいはヒダからの抽出物も Agaricus テストにかかった. 子実体生長ホルモンの存在は普遍的であると考える.
  • 小山 鐵夫, ストーン B.C.
    1960 年 73 巻 865-866 号 p. 288-294
    発行日: 1960年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    ハワイ諸島のホタルイ属については今迄にまとまったものはなく, 1888年刊行のヒレブランドのフロラには2種が記載されているに過ぎない. 私達は今回主としてホノルルのビショップ博物館所蔵の標本をもとにしてハワイ諸島のホタルイ属全部をまとめた. ハワイには結局4種2変種を産し, このうち2種1変種は米国西岸から南米に分布し, 2種は太平洋諸島に広く分布する. ホタルイの1変種 var. Rockii はハワイの山地に生ずるエンデミックであるが, その産地はカウアイ島の山地でアジア温帯要素の植物の見られる高地に限られる.
  • 桃谷 好英
    1960 年 73 巻 865-866 号 p. 295-299
    発行日: 1960年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    属特異性や, 各蛋白成分の遺伝や環境などによる変化について知る上に役立つと考えてこの研究を行なった.
    種子蛋白の溶液 (蛋白量 0.001%, NaCl1% を含み, 硫酸アンモニム 25%飽和) に硫酸アンモニウム溶液(75%飽和) を滴下しながら塩析された蛋白質の量を (Turbidometry によって)記録する.硫酸アンモニウムの種々な濃度 (C) で塩析された蛋白質の量の変化 (ΔTC)は, 一見, 電気泳動図に似た曲線になるので, この図形から Brassica rapa group の各純系の種子から抽出されたグロブリン中の構成分画を比較した (電気泳動では図のような多くのピークは得られなかった). 図の曲線には多くのピークが見られるが, 各ピークはグロブリンの中の一成分に対応すると見てよい1,2). 種子グロブリンは各純系ごとにほぼ一定の構成をもち, 品種内では互いによく似ているが, 品種間では
    差が認められた. なお, この濁度滴定法によって種子以外の蛋白質試料 (例えば, アルブミン, 組織蛋白あるいは血清など1)) の分画もしらべることができた.
  • 黒岩 澄雄
    1960 年 73 巻 865-866 号 p. 300-309
    発行日: 1960年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    種内競争の解析1-3) を縞枯山のAbies 針葉樹林で行なったがこの解析をより充分にするため, 種子重につき正規分布をもったヒマワリ種子の正方形播きで4密度区 (400,200,100,25本/m2) を作って種内競争を研究した.
    個体重や草丈の順位は播かれた種子の重さの順位のままであることは Spearman の順位差法15) による計算で得た高い相関度から推定し, 高密度区の生育後期には小個体階級のみにおいて枯死体を観察した.
    Abies 森林での全階級にわたる枯死体の出現は, 密度効果の解析結果11,12)から群落構成個体の間隔の不規則性によると推論した. 生育初期に個体重について階級分けされた各階級の平均個体の重さや草丈についての生長曲線を追跡し, 重量生長率では高密度区ほど, また生育後期ほど大個体が小個体より大きく,草丈生長率では大差なかった. 重量度数分布はN型からL型6)へと移行し, それは生育後期ほどまた高密度区ほど顕著であったが, 草丈度数分布はほぼN型を維持していた. 他方, このような度数分布の時間変化を各階級の平均個体の重量生長を用いて, 簡単な作図法で図示し, 度数分布の変化は階級間での生長率の差によって引起されることを証明した. 同化能や呼吸能それに同化器官と非同化器官との量的関係についても階級間で大差なかったが, 大個体ほど葉層の位置は高くその受光率は非常に高かったので階級間での重量生長率の差はこの受光率の差によると推論した. この推論をたしかにするためヒマワリの生長に対する光要因の影響を庇陰格子を使って調べたら, 庇陰度の増加とともに重量生長は急激に低下し, 伸長生長は極端な庇陰の場合をのぞぎ大差なかった. また, 実測された生産機能と. 観測された光•温度要因とを結びつけて算出した重量生長は生長の実測から得られた値と一致して小個体ほど非常に小さかった. これらのことから, 群落内における同種間競争において光要因が一つの決定的役割を果すことを確証した.
  • 奥野 春雄
    1960 年 73 巻 865-866 号 p. 310-316
    発行日: 1960年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    つぎの4種類の海産現生種珪藻殼の電子顕微鏡的立体微細構造について記した.
    Rhizosolenia alata f. indica: 蓋殼 (Calyptra) の孔房は円形または楕円形で縦列にならび, 中間帯 (Intercalary band) の孔房は六角形で, 60°に交わる3直線列にならぶ. 孔房は蓋殻, 中間帯のいずれのものも外閉内開型で, その外膜は篩孔をもつ篩膜となり, 内膜はせまく, 中央に大きい内孔をもつ. Rhizosolenia imbricata var. Shrubsolei: 中間帯の孔房は前種と同じく外閉内開型であり, 外膜には対角線の方向に線形の篩孔が1つある. 篩孔はときに数個の小孔に分たれている場合もある. 外膜は篩孔近くでうすく, 孔房周辺に向ってやや厚さを増す. 篩膜に電子線の不透な不定形小粒子の散在する場合も見られた. 内膜は不顕著である. Mastogloia angulata: 立体写真により孔房が外開内閉型であることが判明した. 著者の前報文 (植雑, 70: 222) では平面写真から推定して孔房が外閉内開型であると記したが, それは誤りであった. 孔房は六角形を基本形とし, 横列にならび, その外膜はきわめてせまく, 孔房は外へ広く開く. 内膜は中央部がドーム状に外方へ隆起し, そのふちに環状にならんだ篩孔群がある. 珪殼の左右緑では各孔房列はさらに小さい2列の孔房群に分れている. これら2列ずつの小孔房は共通の横側膜をもつ集合孔房となる. Mastogloia apiculata: 孔房は外閉内開型で, しかも二層孔房となる. 一次孔房 (大孔房)は横走する溝状孔房で, その外側は1列の二次孔房 (小孔房) 層で閉じ, 内側は全開する. 二次孔房は光学顕微鏡的に Areolae または Alveoli と記載されたもので, その外側は四隅に1個ずつの篩孔をもつ篩膜でとざされ, 内側は内膜なく一次孔房に全開する.
    第17報 (植雑, 72: 61-67) では電顕写真図版 (Pls. I,II) を網目写真版としたので, ルーペ式立体鏡で見た場合に印刷網目が見え, 珪殼微細構造とまぎらわしい結果となった. それらは裸眼による方法で見て, 微細構造を理解されたい.
  • 板垣 史郎
    1960 年 73 巻 865-866 号 p. 317-325
    発行日: 1960年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    The effect of biotin-concentration on the growth and morphological character ofMicrococcus glutamicuswas studied, using seven strains of this organism.
    1) Effect on the growth.
    M. glutamicus requires biotin for its growth in the synthetic medium. However, some differences of the biotin requirement were observed among seven strains used.
    Generally, at lower level of biotin-concentration (less than 1r/l), the cell growth of these strains was suppressed. On the other hand, at higher level of biotin-concentration (10 r/l or more), good growth of cells was obtained.
    2) The effect of biotin-concentration on the formation of septa.
    M. glutamicususually formed elongated multicellular rod when it grew in the synthetic medium of biotin defficiency. In such case, many septa were found in the rod.
    Under the same level of biotin-concentration (biotin 3r/l or less), the cells which grew on the slanted agar-medium formed more numerous septa than those in the synthetic liquid-medium. The formation of septa was not observed in most of the cases when those strains grew in the synthetic medium containing 10r/l or more biotin.
  • 広本 一由
    1960 年 73 巻 865-866 号 p. 326-333
    発行日: 1960年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    1. マツタケ胞子は松葉煎汁寒天培養基の表面においてよく発芽し, その後 2-3 週間で白色の菌叢を生ずる. 培養基のpH値は 4.5-5.0 である.
    2. 担子胞子は温度約250において4-15日間で発芽すべき胞子の大部分が発芽を完了する.
    3. 担子胞子の発芽率は良好な場合には 40% 以上に達する.
    4. 松葉煎汁寒天培養基を用いると子実体から容易に菌糸を分離することができる.
    5. 子実体から菌糸を分離するのに最適の部位は菌褶部である. 菌柄内部からも分離できるが菌褶部には劣る. 蓋肉および菌蕾において将来生長して蓋膜となる部位は菌糸の分離に不適当である.
    6. 健全な材料から得た菌摺部を用いると, 分離の成功率はほとんど100%である.
    7. 分離した菌糸は胞子発芽用培養基上でよく生育する.
    8. 菌糸は通常8-30°で生育し, 最適温度は 23-26°である.
    9. 培養基表面上における菌糸生育の速さは10日間に約1-2mmであるが気中菌糸の伸長の速さはおそらくその数倍と思われる.
    10. 単一胞子から得た一核菌糸と, それらを混植培養して得た2核菌糸とは外観上区別できない. 両菌糸は1%酢酸カーミソ液で核染色を行なうことにより区別される.
    11. 子実体から分離した菌糸と胞子から導いた2核菌糸とは, その性質がきわめてよく似ているので
    両者を区別することはできない.
    12. 子実体から分離した菌糸は, 子実体を構成する菌糸よりもいちじるしく細くて長い.
    13. マツタケ発生地の土壌から分離した生育迅速なある種の菌 (H菌と仮称) に対する培養基の組成を変えると, マツタケに類似した香気を発生する場合と, 全く異なった臭を発する場合とがある. この1例からマツタケの培養菌糸がマツタケ特有の香気
    を発生しないのは香気を生産するに必要な要素が培養基中に欠けていることに起因すると思われる.
  • 小川 幸持
    1960 年 73 巻 865-866 号 p. 334-335
    発行日: 1960年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
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