1. あらかじめ吸水させたミトリササゲ種子から分離した軸組織と, 子葉のいろいろの部分の切片とのガス交換 (M/30, pH 6,0 の燐酸塩緩衝液中) を測定した. 乾燥量あたりの Qo
2 と
RQ は軸組織で 7.8と 1.0, intact 子葉で 0.52 と 0.81 である. 子葉の外部組織のQo
2は (1.30) は内部組織のそれ (0.44) より高いが,
RQ は外部 (0.82) の方が内部 (0.96) より低い.
2. Sodium fluoride, monoiodoacetate は軸組織のガス交換を強く阻害するが, 子葉内部組織のそれはほとんど阻害しない.
3. Cyanide, azide は軸組織と子葉内部組織とのどちらの酸素吸収もいちじるしく阻害する. 一酸化炭素は軸組織の酸素吸収よりも子葉内部組織のそれを強く阻害する. CO 阻害は前者では完全に, 後者ではその大部分が光によって除去される. Dieca, salicylaldoxime, α, α'-dipyridyl,
o-phenthroline も両組織の酸素吸収を多少阻害する.
4. 2,4-Dinitrophenol は軸組織の酸素吸収をほとんど促進しないが, 炭酸ガス放出をいちじるしく促進する. 子葉内部組織では酸素吸収, 炭酸ガス放出ともにこの uncoupler によって強く促進される. 本質的に同じ結果が azide によっても得られた.5. これらの結果ならびにさきにわれわれの研究室で得られた結果にもとついて, 軸組織と子葉組織とのガス交換機作について簡単に考察した.
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