植物学雑誌
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74 巻, 872 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 鈴木 静夫, 二村 坦孝
    1961 年 74 巻 872 号 p. 51-55
    発行日: 1961年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    日本の 42 個の湖沼の水棲不完全菌類を調査し, 特に湖沼型と種類の分布との関係を明らかにした. 水妻不完全菌類は調和型の湖沼には種類が豊富であるが, 酸栄養湖や腐植栄養湖では種類が少ない. すなわち, 酸栄養湖には特異な水に適応した Tricladium gracile var. oxyplilumAnguillospora longissima が優占し, 腐植栄養湖には Varicosporium elodeae がもっとも普通に見られるが, 調和湖に見られる種類はほとんど棲息しない。異なった湖沼型に属する湖沼の水に純粋に培養した水棲不完全菌類の菌糸を入れ, 分生子の形成の有無を観察した. その結果, 調和湖の湖水中では各種類ともよく分生子が形成されたが, 酸栄養湖の湖水中ではこの型の湖沼に多く見られる Tricladium gracile, Anguillospora longissima, Lemonniera aquatica の3種だけが分生子を生じ, これらの種類が多量の無機塩類を含有している酸栄養湖の水に適応していることが明らかになり, 野外での観察結果が裏づけられた. しかし, 腐植栄養湖の湖水中では比較的よく分生子が形成され, 実際に湖沼にはほとんど菌類が陵息しておらず, 両者の結果が一致しない.
  • 浦山 隆司
    1961 年 74 巻 872 号 p. 56-59
    発行日: 1961年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    シビレタケー種の子実体形成を促進する細菌 Bacillus Psilocybe 1 (仮称) の懸濁液を散布することにより, ハラタケの菌糸生長と子実体形成量を増進することができた. また, 子実体形成開始も早められた.
  • 仲尾 澄子
    1961 年 74 巻 872 号 p. 60-69
    発行日: 1961年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    種々の生長期にある Pseudomonas aeruginosa の酸化作用におよぼす低温の影響をしらべた. 生長初期においては, 低温に対する感受性は, 他の生長期のそれと非常に違っている. すなわち, 初期では有機酸の酸化が, 低温 (約 5°) 処理の3日ぐらいで最低に達するが, アミノ酸やフェノール物質の酸化は, 低温の影響をうけない. また有機酸の脱水素酵素系は, この処理によって減少しない. 他の生長期, すなわち exponential および stationary の時期では, 有機酸, アミノ酸の酸化は, 低温処理の日数の増大とともにしだいに減少する. この時, 脱水素酵素系も末端酸化系もともに減少する. フェノール物質の酸化は低温の影響をうけない.
    菌を低温 (10°) で培養する時は, フェノール物質の酸化は増大する. フェノール酸化系は, 低温に対して安定であるのみでなく, 低温条件はPs. aeruginosa のフェノール酸化系の合成に有利に働くのではないかと思われる.
  • 佐伯 敏郎
    1961 年 74 巻 872 号 p. 70-78
    発行日: 1961年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    圃場でヤエナリを, また定温定照度下でタバコを栽培して個々の葉の生長経過を追跡した.実測された個々の葉の乾量増加は光合成の値を使って算出された乾量の増加とは一致しない (図1-b).すなわち若葉は老葉の光合成生産物の一部をとって自己の生産以上に生長する. そこで全光合成生産物が一つの植物のすべての伸長葉の間に分配された割合を調べてみた. その結果葉位により個々の葉の最終の大きさには非常に大きな差があるにもかかわらず, この分配率の時間的変化は各葉位の葉の間で大差なく確率曲線の形に類似した推移をする (図2, 5a, b,). ただ出葉速度が大きくなれば分配率の最大が小さくなり, 出 葉速度が小さくなればそれが大きくなる. この現象はつぎのような仮説によって説明できる. すなわちおのおのの伸長葉には光合成生産物質を吸引する力があって, これがどの葉でも原基の生長開始とともに一定の時間的変化をたどり, 分配率の変化は各伸長葉間の物質吸引力の比によりきまる. したがって個々の葉の最終の葉面積は葉の伸長時におけるつぎの3つの量によりきまることになる. 1) 全物質生産力, 2) その生産物中全葉の生長量となる割合(ε). 3出葉の時間的間隔 (plastochrone). この中1と2で全葉の生長量がきまり, 3によって個々の葉の生長量がきまる. 群落状態の植物について, 前報15) における葉面積指数一日物質生産量の関係と, 葉乾量対葉面積比 (leaf dry matter index-δ) とを用いれば,一日当たりの全葉の生長量の変化が8図のように計算できる. 次に (1), (2) 式を用いて任意の葉位における任意の時間の葉の量を計算した結果 (図9), 実測された葉位と葉乾量の関係を示す1-a図と同じ性質のものがえられた.
  • 寺崎 弥助
    1961 年 74 巻 872 号 p. 79-85
    発行日: 1961年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    1958年8月, 広島市古田町で採集され, 実験室において腐敗した淡水産巻貝, カワニナに,多数の螺旋形微生物が生育していた. この腐敗液を, ペプトン, 酵母エキス. カワニナせんじ汁, 食塩を含んだ寒天平板に塗抹することにより, 容易に Spirillum を分離しえた. 分離されたSpirillum は約2年間試験管内で植えつがれた現在も当初と同様に, 明瞭な左巻きの螺旋形を示す. カタラーゼ陰性で, 無機窒素源としてアンモニウム塩は利用できるが, 硝酸塩は利用できない. 本菌を培養し, 形態学的, 生理学的性質をしらべ, 正確な種として記載されているSpirillum と比較検討した結果, 新種と断定したので, 腐敗した貝より分離されたことにより, Spirillum putridiconchylium と命名した.
  • 生物の進化, 進化論の解答と問題
    佐藤 重平
    1961 年 74 巻 872 号 p. 86
    発行日: 1961年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
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