植物学雑誌
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74 巻, 875 号
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  • I. 数種のササ群落の生産構造
    大島 康行
    1961 年 74 巻 875 号 p. 199-210
    発行日: 1961年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    ササ群落の生態学的研究の第一歩として, 長野県霧ケ峯のミヤコザサ, 北八ツ岳麦草峠のニッコウザサ, 尾瀬ケ原のオゼザサ, および北海道南部ニセコ火山群ワイスホルン岳のチシマザサのよく発達した純群落の地域を調査地として選び, 夏季に層別刈取り法を用いて, 葉重, 桿重, 地下部重, 全重, 群落高, 桿数, 生産構造, 葉面積指数などを測定した. またこれら四つの地域の気温, 降水量, 土壌条件の概況もあわせて検討した. これらの四つの地域の種類を異にするササ群落の間では単位面積当たりの桿重, 地下部重,現存量, 桿数, および群落高, 桿の平均寿命, およびC/F比はいちじるしく異なっている. 現存量は桿の平均寿命が長く, 群落高の高い種類ほど大きい. 桿の平均寿命が9.2年のチシマザサ群落では最大の約11kg.d.w./m.2の現存量を示し, 桿の平均寿命の最小の (1.8年) ミヤコザサ群落では約.5kg.d.w./m.2であった (図4,表5). 日本の他の草原群落の現存量に比べて, 前者はかなり大きく, 後者はほぼ似た値であった. 一方, 葉重, 葉の垂直的分布の型は種類を異にする四つの群落の間でいちじるしい差はみられず, いずれも葉面積指数4.5~5.4, 群落の吸光係数0.7~0.9, 葉の透過率約10%の範囲の値を示した (図5, 表6). また主に葉によってきまる群落内相対照度も四つのササ群落の間でいちじるしい差はみられず, 地表面近くの平均相対照度は1~2%で低く, その変動の幅もきわめて小さいことが明らかにされた (図6).
  • I. Nitella inokasiraensis
    岩崎 尚彦
    1961 年 74 巻 875 号 p. 211-219
    発行日: 1961年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    単節類に属する Nitella inokasiraensis イノカシラフラスコモの形態形成を観察した. 主軸は無限生長を行なう. 生長点は1個の頂端細胞で, これが下に1個の細胞を分裂する. その細胞がさらに節の原基と節間細胞に分裂する. 節間細胞は以後細胞分裂を行なわず伸長する. 節の原基は最初左右2等分されたのち, 規則的に分裂し, 6個の周辺細胞と2個の中心細胞をつくる. 各周辺細胞は斜上方に伸長してから, 基底細胞と小枝原基に分裂する. 第1•2小枝の基底細胞から2個の腋芽と2本の二次小枝ができる. Nitella inokasiraensis の基底細胞は節と節間に分裂しない. Nitella inokasiraensis は雌雄異株で, 小枝節に蔵精器または蔵卵器をつける. 卵母細胞からは卵細胞のほかに3個の細胞ができる.
  • 寺崎 弥助
    1961 年 74 巻 875 号 p. 220-227
    発行日: 1961年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    1958年10月, 広島市鷹の橋マーケットで購入したヤマトシジミ, および, 1959年5月, 広島郊外五日市町海老塩浜の稲田で採集したマルタニシの腐敗液から, 寒天平板塗抹法により Spirillum をそれぞれ一種ずつ分離した. 分離に用いた培地成分は, 前者では, ペプトン, 酵母エキス, ヤマトシジミせんじ汁, 食塩であり, 後者では, 肉エキス, ペプトン, 酵母エキスである. 両者を培養し, 形態学的, 培養的, 生理学的性質をしらべ, 正確な種として記載された Spirillum と比較検討した結果, それらを新種と断定した. ヤマトシジミより分離した Spirillum は, 分離当初においては明瞭ならせん形を示したが, 継代培養数回後には体長の短い棒状あるいは Vibrio 状に変形し, 現在も同様な形態を示している. まれにらせん形の個体がみられるが, 二個あるいはそれ以上にくびれている場合が多い. この形態変化により, この菌を Spirillum metamorphum と命名した. マルタニシより分離したSpirillum は菌体が太く強固であることにより, Spirillum crassum と命名した.
  • 小林 弘
    1961 年 74 巻 875 号 p. 228-235
    発行日: 1961年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    河川の底生藻類の定量のためには, 一般に個体数計数法が用いられているが, 筆者は湖沼や海洋で広く行なわれるようになったクロロフィル法の数々の長所に着目し, 同法の河川への応用を試みた. 1959年の調査によって得られた荒川溪流域の底生藻類の年平均クロロフィル量は上流部で, 25mg./m.2,下流部で70mg./m.2で富栄養湖の単位表面積あたりのクロロフィル量に相当する値であった. 河川の底生藻類の生育にとって, (1)ダム工事, 同骨材採取, 鉱石の採掘などのために作りだされた土砂やその他の粒状物質の河底の礫上への堆積, (2) 水力発電用小型ダムによって引き起こされる, その下流域の激しい水位の変化, (3) 降雨, 台風などにともなう河川の増水, などがもっとも注目すべき要因として認められた. また, クロロフィル量の測定と平行して行なった個体数計数の結果との比較から, 前者がより基礎生産の研究には合理的であることを論じた.
  • I. 明期の効果と感光期
    和田 清美
    1961 年 74 巻 875 号 p. 236-240
    発行日: 1961年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    春まぎコムギ鴻巣25号) を試験管内で無菌培養を行ない, 種々の光条件下, 特に暗黒下での培養に与えられた明期の花芽形成と生長におよぼす影響を調べた. (1) この植物の花芽形成および生長は, 連光下で促進され, 短日下で低下し, 暗黒化では特に抑えられる. しかし, 全暗黒下でも花芽形成能を有することが示された. たとえば, 連光下では発芽後20日にして出穂を始めるが, 暗黒下での培養では, 50日にも発芽がまったく見られず, まれではあるが160日でようやく主軸 (茎頂) に花芽をみる.またこの時期には分けつした枝にやや多くの花芽を見ることができる. (2) 暗黒下での培養の途中で明期を与えた場合, (生育時期にかかわりなく), 5日間連続する明期は花芽形成に不十分であったが, 10日間の明期は十分であることを見た. (3) 暗黒下での培養の各生育時期に与えられた5日間連続する明期の花芽形成におよぼす効果は, それが与えられる生育時期で異なる. その結果からみて発芽後5~10日が明期に対してもっとも強く反応する生育時期と考えられる. そして, 暗黒下での培養が長びくにつれて, 明期の効果は減ずることが観察された.
  • 村上 浩
    1961 年 74 巻 875 号 p. 241-247
    発行日: 1961年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    アサガオの開花から種子の成熟する過程と暗所にて種子を発芽させた場合におけるジベレリンの消長を, ペーパークロマトグラフィーにイネ苗試験法を併用して研究した.
    アセトン抽出物は, アンモニア性イソプロピルアルコールによる展開で, A(Rf=0-0.2), B(Rf=0.3-0.5), C(Rf=0.55-0.7) の伸長促進部と, Rf=0.6-0.9の抑制部とにわかれた. Cは馬鹿苗病菌の生産するジベレリンに相当する. 種子の成熟とともにCが減少し, A, Bが現われ, 同時に抑制物質が出現する. 芽ばえ抽出物のペーパークロマトグラムにおける作用物質のヒストグラムは完熟種子のそれと類似している. 成熟過程の種子のジベレリン含量は, 開花後13日までは増加し (最高1種子当たり0.35μgのジベレリンA3に相当), その後減少する. また発芽の場合, 黄化苗では日の経つにつれてじょじょに減少した.
  • S. C. MEHTA, G. S. VENKATARAMAN
    1961 年 74 巻 875 号 p. 248-253
    発行日: 1961年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 静夫
    1961 年 74 巻 875 号 p. 254-258
    発行日: 1961年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    湖沼での水生菌類の遊走子の垂直分布は, 明らかに二つの型が存在する. 一つは遊走子が表層から深層までほとんど均一に分布する型で, 主として循環期に見られる. 他の一つは遊走子が表水層にだけ分布するもので, 停滞期に見られる. このような分布型を決定する要因としては, 遊走子自身の運動よりはむしろ湖水の循環や停滞が重要である. 循環期には種類によって垂直分布はかならずしも均一ではなく, 一般に Saprolegnia 属は表層にだけ分布するが, Achlya 属と Aphanomyces 属は底層に多い傾向が観察された. Pythium 属は表層から水底までの各層に一様に分布するが, 表層にやや多い傾向が見られる. 停滞期には各種類とも表水層あるいは水面にだけ分布し, 無酸素状態にある深水層にはまったく見られない.
  • 木村 劼二, 藤生 みさ子
    1961 年 74 巻 875 号 p. 259-265
    発行日: 1961年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    Some of the dikaryons obtained by pairing of monosporous mycelia from the wild fruit-body “h” of Coprinus macrorhizus form, microsporus (a tetrapolar fungus) produced undeveloped rudiments of fruit-bodies or abnormal fruit-bodies with usual stipes and closed or half-
    open pilei. This abnormality of fruit-body formation is a hereditable character, being controlled by a single recessive factor, f. No linkage exists between the factor f and the incompatibility-factors, A and B.
  • 井上 浩, 北川 尚史
    1961 年 74 巻 875 号 p. 266
    発行日: 1961年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
  • 原 襄
    1961 年 74 巻 875 号 p. 267-268
    発行日: 1961年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
  • Srinivasachary SAMPATH
    1961 年 74 巻 875 号 p. 269-270
    発行日: 1961年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
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