植物学雑誌
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74 巻, 876 号
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  • 山本 光男
    1961 年 74 巻 876 号 p. 273-279
    発行日: 1961年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    水に浸した豆の子葉および胚軸に割れ目ができる. おもにインゲンマメ (Phaseolus vulgaris) の種子を用いて, 浸水によってできる種子の割れ目と, 浸水前の種子含水量および浸水処理の状態との関係について実験を行なった. 充分に乾燥した種子では, 浸水によってつねに著しく,割れ目ができる. 一方, あらかじめ吸湿した種子では, 浸水中に割れ目ができない. 風乾程度の含水量の種子は, 低含水量の種子よりも割れかたが軽減されるが, その浸水処理の状態によって影響を受け, 無通気25°C浸水の場合と比較して, 通気あるいは低温の浸水によって割れ目が増大され, 高濃度しょ糖溶液中では軽減される. この割れ目は浸水開始後4時間以内にでき, それ以上の長時間浸水にはあまり関係しない. しかし, 胚軸はその成長とともに割れ目を拡大し, そのために切断されるようになる.これは長時間25°C通気の状態で浸水し
    た種子, または短時間浸水したのち水から出して発芽させた種子の胚軸にみられる. 割れ目は浸水初期の不均一な吸水によってできるものと思われる. 種子が著しく割れる場合に発芽率は低下する. 短時間浸水による発芽阻害は, 浸水中に胚軸が割れることが大きく影響する.
  • II. ササ群落の生産構造の季節的変化と年純生産量
    大島 康行
    1961 年 74 巻 876 号 p. 280-290
    発行日: 1961年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    すでに報告したと同じ北海道ワイスホルン岳のチシマザサ, および場所と種を異にする二, 三のササのよく発達した純群落地で, 生産構造の季節的変化と年純生産量を調べた. 単位面積当たりの現存量, 葉量, 桿 (主桿+枝) 量は一年の間ほぼ一定の値を維持しており, ササ群落の生産構造も積雪期をのぞいてほとんど変化がなかった。すなわちチシマザサ群落では年間を通じ現存量は乾量で約11kg.,葉量約0.45g.,桿量約7.3kg./m.2葉面積指数は約5であった. これはおもに (1) 桿の強い弾力性のために, 冬期, 雪下に常緑の葉が低温と乾燥から保護されており, 雪解けとともにただちに桿が立ち前年とほぼ同じ生産構造に回復するため, (2) 7月上旬群落上方に新生葉が展開するに伴って群落内部の光条件が低下し, 下部にある二年生葉の大部分と一年生葉の一部は枯死し, これら粘死葉をつけた桿や枝もまた枯死し, 新生量と枯死量とがほぼ均合っているためであることが明らかになった。また個々の主桿の直径と乾量の対数との間に直線関係がみられた. ササ群落内部の相対照度は積雪期をのぞいて
    ほぼ一定で, 平均2~3%, 変動の巾も1~7%という低い値を示した. 一方, ササの新生器官が急速に生長する6月下旬から8月上旬まで地下部の重さは急速に減少し, チシマザサ群落では8月中旬最小値3.0kg./m.2を示した. その後地下部の重さは増大し, チシマザサは11月上旬最大値の4.0kg./m.2に達した. これはおもに地下部に含まれる貯蔵物質量の変化によっており, 桿についても同様の傾向がみられ, これら貯蔵物質の新生器官への転形率は約0.5であった. 葉, 桿, 地下部の乾量の増分から純生産量を求めた. チシマザサ群落では積雪期をのぞく約6ヵ月の間比較的高い増分が維持され,新生器官の1日当たりの増大の最大は約11g./m.2であった. また年間の新生葉, 主桿, 枝の増分はそれぞれ230g.,390g.,245g./m.2であり, 年純生産量は1.6kg./m.2というかなり高い値が得られた. チシマザサ群落より現存最の小さいニッコウザサ群落でも年純生産量はほぼ同様の値を示した.
  • I. 子房内に含まれる花粉発芽抑制物質
    建部 民雄
    1961 年 74 巻 876 号 p. 291-296
    発行日: 1961年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    エゾミソハギは周知のように, 個体によってそれぞれ3種類の異なる花形をもつ長短花柱植物である. その花粉は人工培地 (25%ショ糖, 1%寒天) 上でよく発芽し花粉管を伸ばす.この培地に子房組織汁を加えて花粉の発芽試験を行なうと, 花粉の発芽は, 不和合の組合せにおいて強い抑制を, また和合組合せにおいても中度の抑制をうけた. すでに自家不和合植物においては, 培地にめしべの組織汁を加えて花粉の発芽試験を行なうと, 自家ならびに他家の花粉の発芽や花粉管の伸長が抑制される場合が知られている.
    従来自家不和合性の機構は, めしべの中の抑制物質によるものと考えている学者が多いが, 長短花柱植物の不和合性の機構は, 今のところまだほとんど不明の状態である. ところが近年この現象も, 自家不和合性の場合に似た抑制物質の作用によるのではないかと考える学者がしだいに多くなってきた. 今回の実験成績もエゾミソハギの不和合性は子房内に含まれる抑制物質によることを暗示している.
  • I. 気孔発生過程の表皮組織における phosphorylase 作用
    加藤 勇夫
    1961 年 74 巻 876 号 p. 297-302
    発行日: 1961年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    1) 多くの植物で気孔の孔辺細胞には顕著な phosphorylase 作用が検出されるが, 孔辺細胞と同じく原表皮組織から発達した一般表皮細胞では通常この酵素作用を認めない。本実験では, 発育過程における葉の表皮組織で, これらの両種細胞における phosphorylase 作用の消長をムラサキツユクサ, ヨウシュチョウセンアサガオおよび, ササゲを材料として顕微化学的に検討した。
    2) 原表皮組織には自然状態ではでんぷんの存在を認めないが, G-1-P溶液に浸しておくと, 組織のすべての細胞が顕著なよう素反応 (でんぷん形成) を示す。
    3) 組織の生長につれて, そこに分化した孔辺細胞では phosphorylase の作用はしだいに強まるが, その他の表皮細胞では逆に弱まってゆき, 生長の完成した表皮では孔辺細胞にのみ phosphorylase の作用が認められる。
    4) 茎の生長点の付近にある若い組織には, 自然状態ではでんぷんの存在を認めないが, 組織のG-1-P液処理によって茎の先端部および葉原基の組織全体に顕著な phosphorylase 作用が検出される。
    5) 気孔の孔辺細胞における phosphorylase 作用はこの細胞の滲透圧変化に関与することによって気孔開閉に寄与するといわれるが, 幼細胞の含有する phosphorylase は, 同じく滲透圧変化を介して生長に寄与するのではないかと考えられる。
  • 塙 順
    1961 年 74 巻 876 号 p. 303-309
    発行日: 1961年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    Effects of isolation and bisection of the leaf primordium by tangential incisions upon its dorsiventral development were studied for the first leaf of Sesamum indicum L. Incisions were made on the shoot apices of three stages, i. e., dormant, 1 day- and 2 day-cultured embryos, and in three positions, i. e., in the median plane of the shoot apex, along the adaxial border of the leaf primordium and in the middle of the leaf primordium. When the incisions were made in the median plane of the shoot apices of the dormant and the 1 day-grown embryos, the leaf primordia developed dorsiventrally. When the leaf primordia were isolated along their adaxial border from the apical meristem, they developed as centric organs in higher proportions after the operation at earlier stages than after that at later stages. When the leaf primordia were bisected tangentially, the abaxial half developed only as a centric organ, whereas the adaxial half formed every time a dorsiventral leaf. From above results, it is inferred that the principal factor determining leaf dorsiventrality is the effects from the apical meristem, and that the intrinsic factor, if any, of the leaf primordium itself may be very faint or of secondary nature in its function. Moreover, it is suggested that dorsiventrality may become gradually intensified in the course of plastochron and perfect establishment of dorsiventrality may be attained at the end of the first plastochron.
  • 豊田 清修
    1961 年 74 巻 876 号 p. 310-312
    発行日: 1961年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
  • 平畑 規, 藤田 一夫
    1961 年 74 巻 876 号 p. 313-314
    発行日: 1961年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
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