植物学雑誌
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75 巻, 883 号
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  • II. Chara Benthamii
    岩崎 尚彦
    1962 年 75 巻 883 号 p. 1-9
    発行日: 1962年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    被茎類の Chara Benthamii ケナガシャジクモの形態形成を観察した.
    主軸の生長点は 1 個の頂端細胞である. 芽の先端の規則的な分裂によって, 節の原基細胞から, 9~12個の周辺細胞と2個の中心細胞ができる. 周辺細胞は, 小枝原基と基底細胞に分裂する. 小枝原基は, 続けて4個の細胞をつくり, これが後でそれぞれ小枝の節と節間に求基的に分裂する. 小枝節には 1 個の中心細胞と4~6 個の周辺細胞ができる. この周辺細胞から苞ができる.
    主軸節の基底細胞は, 基底節と基底節間に分裂する. 基底節の第 1 と第 4 周辺細胞から皮層ができる.第 3 周辺細胞からは托葉が伸び出る.
    腋芽は第 1 小枝基部の向軸側から伸び出す. 原基細胞は他の小枝では基底節間にあたる位置の細胞である.
    Chara Benthamii は雌雄同株である. 生殖器官の原基は, 小枝節の第 1 周辺細胞である. この頂端細胞からは蔵精器ができる. その基部のこの場合にだけできる基底節の第 1 周辺細胞から蔵卵器ができる. 卵母細胞は卵細胞のほかに1個の細胞を分裂する.
  • 松原 聡
    1962 年 75 巻 883 号 p. 10-18
    発行日: 1962年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    1) チョウセンアサガオの幼胚培養に際して, 胚の生長を促進す?る “胚子因子” として知られるココナットミルクに代用しうるものを探し求めた. 2) ルピナスの若い種子またはハヤトウリの老熟した種子の80%エチルアルコールの浸出液を Seitz-filterを用いて滅菌し, 4%のショ糖, 1%の寒天, White 氏処方の無機塩を含む培養基に加えると, 幼胚に対して生長促進効果があった. 3) これらの効果は van Overbeek氏らにより用いられたココナットミルクの効果と同程度である.
  • モエジマシダ配偶体から単離された細胞の再生
    伊藤 道夫
    1962 年 75 巻 883 号 p. 19-27
    発行日: 1962年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    20日間培養したモエジマシダの心臓形前葉体から任意に単離された単細胞の再生について観察した. 単離されたすべての細胞は再生し, 胞子からの生長と同様な様式をへて新しい前葉体を形成する. しかし,こうして形成された前葉体は, 正常なものより小さい細胞で成り立ち, その原糸体部もより短い.
    単離後再生開始までの時間によって表わされる再生能は, その細胞が前葉体のどの部域から単離されたかによっていちじるしく異なる. すなわち前葉体の基部から単離された細胞は頂部からの細胞に比し早く再生し, 前葉体に再生能の勾配が存在する. 故に再生能は, その細胞の単離前の分裂活動と関係なく, その生理的年令あるいはそのもとの位置と関係がある.
    各単離細胞の生長能力は, 再生前葉体の原糸体部の長さ (伸長能) と細胞増殖の度合 (分裂能) によって測定された. これらの能力も一つの前葉体において勾配を示すが, その傾向はお互いに逆である. すなわち基部からの単離細胞は頂部からのものより高い伸長能と低い分裂能を示す. 両能力はその細胞年令に深い関係をもっている.
    なおこの実験には, 仮根細胞は単離の材料として使用されなかった.
  • アントシアニンの研究, 第36報
    石倉 成行, 林 孝三
    1962 年 75 巻 883 号 p. 28-36
    発行日: 1962年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    赤ダイコンの赤色は, Harborne などのペーパークロマト試験によれば, ペラルゴニジンの三糖配糖体(raphanin) がそれぞれパラクマール酸 (raphanin A) とフェルラ酸(raphanin B) とでエステル化された2種類の色素によるという. 今回われわれはまず三糖配糖体を結晶化することができた. この機会に名称を raphanusin と改める. 有機酸結合をもつ2種類の原色素の結晶化にはまだ成功しない. これらの色素についての研究結果は次のごとくである. Raphanusin はpelargonidin-3-diglucosido-5-monoglucoside, raphanusin A はラファヌシン+パラクマール酸であるが, raphanusin B はラファヌシン+カフェ酸+フェルラ酸で Harborne の所見とは一致しない. これまでに結晶化された三糖配糖体としては,raphanusin は赤キャベツの rubrobrassicin (cyanidin-3-triglucoside) につぐ第二例である.
  • 高見 亘
    1962 年 75 巻 883 号 p. 37-42
    発行日: 1962年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    1. There is no difference between the epidermis of Allium cepa bulb and that of Saxifraga stolonifera leaf in the plasmolysis time when observed immersing them for 30 minutes either in 7% methanol or in 7% ethanol.
    2. Toxicity of 7% n-propanol is higher than that of 7% methanol and 7% ethanol, but is lower than that of the other alcohols of 7%.
    3. Limit concentrations of alcohols and cyclohexanol for death of the epidermis cell of the bulb of Allium cepa in immersion for 30minutes at 15°, were determined. The relation between the immersion time and limit concentrations in cases of methanol and of ethanol were also studied.
    4. Cells of Allium cepa in plasmolysed condition had lower resisting power against alcohols than those in normal condition.
    5. The toxicity of alcohols upon seed germination is different from that upon the epidermis of Allium cepa bulb and of Saxifraga stolonifera leaf. It is noteworthy that butanol is generally not harmful to seed germination, and that Dianthus superbus seed is resistant to amyl alcohol. Dilute ethanol and iso-propanol (0.1-0.5%) stimulate seed germination.
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