植物学雑誌
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76 巻, 899 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 館岡 亜緒
    1963 年 76 巻 899 号 p. 165-173
    発行日: 1963年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    イネ属はなお十分な採集の行なわれていない熱帯に分布しているため, これまでに得られた標本の数が少なく, しかもその標本が主として欧米のさく葉庫に散在しているので, その種類の十分な比較検討がむずかしい. 筆者は先年欧米のさく葉庫をまわる機会をえたので, イネ属の標本を調べることができ, また命名上の問題を解決するのにつとめた.
    結果として, イネ属には22種類がみとめられる. また前研究者による検索表に不適切な点がいろいろ 見いだされているので, ここに筆者の検索表を発表した. 22種のうち2種(O. sativa, O. glaberrima) は栽培種である. 野生のものとして, 中米から南米にかけて4種, オーストラリアに2種, アジアに8種, アフリカに8種がみられるが, 数種はふたつ以上の大陸にまたがって分布している.
  • 杉浦 昌弘
    1963 年 76 巻 899 号 p. 174-180
    発行日: 1963年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    成熟したタバコ葉の切片を暗所で水に浮かべておくと, そのタンパク質およびクロロフィル含量が減少してゆくが, これに弱い赤色光を照射すると, これらの減少がいちじるしくおさえられる. この赤色光の効果は続いて与えた赤外光によって打ち消される. 赤色光とタンパク質合成阻害剤または核酸合成阻害剤とを同時に与えると, 赤色光のタンパク質レベル維持効果は見られない.
    赤色光は葉片の32PO4の吸収をいちじるしく促進するが, 続いて与えた赤外光によってこの効果は一部打ち消される. 葉片の赤色光に対する感受性と32PO4吸収能との間には平行関係があり, 培養後34時間付近で両者とも最大値を示す.
    カイネチンは, 赤色光とは逆に, 32PO4の吸収を阻害するが, タンパク質レベルおよびクロロフィルレベル維持効果については赤色光と若干加算的にはたらく.
    これらの結果から, 赤-赤外光効果とリン酸およびタンパク質代謝との関連について考察した.
  • 丸重 啓二, 丸重 靖子
    1963 年 76 巻 899 号 p. 181-190
    発行日: 1963年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    アサガオの芽ばえを用いて, 暗期前に与えた弱光による花芽形成の抑制と軸組織生長の促進との関係を調べた.
    1) 白熱電灯弱光は胚軸の生長を促し, 幼芽における葉の原基の分化を抑制する. 螢光灯弱光はこのような作用を示さない.
    2) 暗期前に与えた白熱電灯弱光の生長に及ぼす影響は, それに含まれる近赤外光によるものである. 生長および花芽形成に対して最大の効果を示すのに必要な弱光照射時間は等しく, また生長, 花芽形成ともに赤色光近赤外光によって可逆的に影響される.
    3) 花芽形成および軸組織の生長に影響を及ぼす弱光の感受器官は子葉である.
    4) 老化芽ばえでは, 白熱電灯弱光は軸組織の生長に影響を及ぼさず, 花芽形成を抑制しない.
  • 野口 市夫
    1963 年 76 巻 899 号 p. 191-198
    発行日: 1963年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    ルチンはプルラリア菌から抽出された酵素標品によって酸化分解を受け, プロトカテチュ酸, フロログルシンヵルボン酸およびプロトカテコイルフロログルシンカルボン酸を生ずる. この分解の機構は, まずクェルセチンのC-2,C-3間が開裂してプロトカテコイルフロログルシンケトカルボン酸が生じ, これがCO を放出してプロトカテコイルフロログルシンカルボン酸が生ずるものと考えられる. こうして生じたデプシドはデプシダーゼの働きによりプロトカテチュ酸とフロログルシンカルボン酸とに加水分解される. またフロログルシンカルボン酸を脱炭酸してフロログルシンに変える酵素も菌の培養基中に見いだされる.
    クェルセチンは単独ではプルラリア菌によって分解されないが, ショ糖, ルチノース, 核酸およびその分解産物 (遊離の糖, リン酸を除く) と共存する場合には分解される. この機構については, ショ糖と共存する場合にはクェルセチン•フラクトシド, ルチノースと共存する場合にはクェルシトリンが生成し, これらがまず第一段階の酸化を受けるものと考えられるが, 実験的にもクェルセチンフラクトシドらしきものが反応液中に見いだされる. また核酸およびその分解産物と共存する場合には, クェルセチンと五炭糖との結合物, または塩基との反応産物が生じて, これらが第一段階の酸化を受けるものと思われる.
    フラボノイド化合物の中でプルラリア菌により分解されるのはフラボノールだけで, フラボン, フラバノン, フラバノノールは分解されない.
  • 草薙 昭雄
    1963 年 76 巻 899 号 p. 199-200
    発行日: 1963年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
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