西インド諸島から南米に分布する
Arthropogon(3種を含む),
Achlaena (1種のみを含む),
Reynau,
dia (1種のみを含む) の3属は, トダシバに似たものであるが, その分類学的の取り扱いについては, いろいろの意見がある. このたび, この3属に含まれる5種すべての葉の解剖学的特微を調査した. その結果, この5種は例外なしにいわゆる 'panicoid' の特徴をもつが, 葉の横断面にあらわれる特徴において,
次の3型にわかれることが判明した. 第1型には
Reynaudia filiformisのみが含まれ, 表面表皮に凹凸がはげしく, 以下にのべる型のそれぞれのもつ特異な特徴を欠いている(Fig.5). 第2型は
Arthropogonvillosusと
A. xerachneを含み, 脈間に小さい維管束をもつことによって特徴づけられる (Fig.9). 第3型には
Arthropogon scaberと
Achlaena piptostachya が含まれ, 外層の細胞によく似た細胞が維管束間の葉肉細胞のあいだに散在し, また外層の細胞がいくつか退化することがある(Figs. 10-12).
第3型をもつ
Arthropogon scaberは, 第2型をもつ
Arthropogonの他の2種よりも,
Achlaenapiptostachya (第3型) に葉の解剖学的特徴においてより近いが, 同様の関係が外部形態においても指摘でぎる.
Arthropogonと
Achlaenaの区別点としてとりあげられてきた外部形態の差異は, ごくささいなものである. つまり
Achlaena属を認めることは非常に不自然であり, その唯一の種である
A. piptostachyaは
Arthropogonに移さるべきものである. そこで, 新しい組合せである
Arthropogon piptostachyusを提案した.
ここに研究された種類の葉の解剖学的特徴は, 細かな点を考慮にいれると, トダシバ族のそれにもっとも近い. 小穂構造において
Arthropogonとその類縁属は, キビ族, トダシバ族, ヒメアブラススキ族と同様で, その小穂の特徴ではこれら3族の中間的なものである. これらの族の分化の過程を考えていく際に,
Arthropogonとその類縁属は重要な位置をしめるものであるが, その分化については,
Arthropogonとその類縁属ばかりではなく, トダシバ族の属や
Melinis,
Rhynchelytrum,
Tricholaena (通常キビ族に含まれる) についてもさらに研究す
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