植物学雑誌
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76 巻, 905 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 館岡 孝
    1963 年 76 巻 905 号 p. 391-394
    発行日: 1963年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    高等植物のシキミ酸生成に関して, 特に暗条件下の葉での生成を中心にしらべた.
    イチョウの成葉のシキミ酸含有量は野外のもので大きな日変化を示し, 夜間いちじるしく増加する. 葉を暗条件下においた場合も同様にその初期にいちじるしく減少し, その後で元の含有量に復し, さらに相当長時間, 比較的高い含有量が保持される. 微生物で明らかにされたと同様に緑葉においてもエノールピルビン酸リン酸やエリスロース-4-リン酸がシキミ酸生成の素材になっているならば, 暗くした葉でみられた一度低下した後の含有量の回復や, その後の長時間にわたるその保持は, すでに貯えられた糖類が解糖やペントースリン酸回路などを経て記の素材に変換し, これらからシキミ酸が生成されることを推測させる. そこでイチョウとユーカリの葉に種々の呼吸阻害剤を吸収させ, 暗所でシキミ酸生成におよぼす影響をみた. その結果2,4-ジニトロフェノールの阻害は最小で, NaN3, フロリジン, モノヨード酢酸,NaFではその生成がかなり抑制された.これらの結果から解糖が少なくとも暗所でのシキミ酸の生成にあずかっていると推定できる.
  • 市村 俊英, 福島 博
    1963 年 76 巻 905 号 p. 395-399
    発行日: 1963年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    第5次南極観測の際, 海水中のクロロフィル含量測定のため, インド洋ならびに南極洋において表面海水を8l~12lろ過した. 帰国後これらの試料についてクロロフィルの定量を行なった. クロロフィル量は水塊の特性と密接な関係を持ち, 含有量は南極海域において最高値を示し, 亜南極海域がこれにつぎ, インド洋では著しく低い値を示した. クロロフィルaの平均含量は南極洋で0.15~0.6mg/m3, インド洋で0.02~0.2mg/m3であった. 全クロロフィル量は南極洋で0.4~1.2mg/m3, インド洋で0.1~0.3mg/m3で,これらの値は日本近海のクロロフィル量と比較すると, それぞれ親潮および黒潮の値に近似する.
  • アカマツ林床群落の種類組成におよぼす植物成分の影響
    李 一球, 門司 正三
    1963 年 76 巻 905 号 p. 400-413
    発行日: 1963年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    1. 韓国 (ソウル附近) と, 北海道を除く日本各地域 (おもに吉岡6)の表による) におけるアカマツ林(アカマツ被度4.5以上) の下層植物¢のうち, 高活力度, 高頻度を示す植物の表をつくった (第1表).
    2. アカマツ林下で活力度の弱いホソアオゲイトウ, イノコズチなどの種子に, アカマツの葉の浸出液を与えるとその発芽に著しい阻害作用がみられた.
    3. アカマツ林下で高活力度を示すアカマツ, ヘクソカズラ, オケラ, ススキ, キキョウは, アカマツ林の土壌においてよく生育したが, 活力度の弱いシラヤマギク, ホソアオゲイトウ, エノコログサ, イノコズチ, シロザ, ヤブハギ, ハナタデ, ヨウシュヤマゴボウ, ハキダメギクなどの生長は著しい阻害作用を受けた.
    4. 栄養塩類を加えた人工土にホソアオゲイトウ, ススキ, アカマツ, エノコログサ, イノコズチなどの幼苗を植えて, アカマツの葉の浸出液を与えて栽培した. アカマツ, ススキの生長には影響がみられないのに対して, ホソアオゲイトウ, エノコログサ, イノコズチなどではその浸出液の濃度に応じて生長の差が見られた.
    5. アカマツの葉条, コナラの種子などの浸出液とタンニン酸溶液に対してホソアオゲイトウの発芽種子はエオシン溶液の場合と同様に根の背地性を示した.
    6. アカマツの分泌する阻害物質の化学的性質について多少, 予備的実験をおこなった. マツの浸出液, マツ林の土壌浸出液中に阻害作用の知られているp-クマル酸様物質の存在がペーパークロマトグラフィによつて認められた.
    7. 植物群落の種類組成はときに, 化学的影響 (アレロパティー) により支配されうる可能性を提示した.
  • 高見 亘
    1963 年 76 巻 905 号 p. 414-418
    発行日: 1963年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    1) α-Amylase activity can be detected in the seedlings of Dianthus barbatus.
    2) A slight α-amylase activity is observed in the flower of Triticum aestivum. About a week after anthesis, the activity attains its maximum value which is nearly as much as the value seen in seedings 2 days after sowing at 15°.
    3) Formation of α-amylase in the seedlings of Dianthus barbatus and Triticum aestivum is inhibited by light in the early stage of germination at lower temperatures 20° in the former plant and 15° in the latter. Formation of α-amylase in these seedlings is then noticeably promoted by light on the 4th or 5th day after sowing, so that there may be some intermediate stage in which the formation is not affected by light at all.
  • ハハコグサ亜族における核型分析
    荒野 久雄
    1963 年 76 巻 905 号 p. 419-427
    発行日: 1963年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    1) The chromosome numbers and karyotypes were studied in eight species, one variety, and two subspecies belonging to Subfamily Carduoideae (Compositae) of Japan.
    2) The numbers of somatic chromosomes were counted in two species of Gnaphalium, two subspecies of Anaphalis, and one variety of Leontopodium for the first time.
    3) The basic numbers of chromosomes were found to be 7 in Gnaphalium, and 14 in Anaphalis. Leontopodium has 13 chromosomes which are derived from 14.
    4) All the members of the Gnaphaliineae studied, except G. japonicum, G. purpureum (4n) and L. hayachinense (8n), have diploid forms in the karyotype.
    5) A karyological similarity was found between A. margaritacea subsp. angustior and A. margaritacea subsp. yedoensis, and between A. sinica and A. alpicola respectively.
    6) The genera Gnaphalium, Anaphalis and Leontopodium were discussed from the karyotypical and plant geographical stand points.
  • 吉村 フジ, 田川 隆
    1963 年 76 巻 905 号 p. 428-429
    発行日: 1963年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
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