1. 韓国 (ソウル附近) と, 北海道を除く日本各地域 (おもに吉岡
6)の表による) におけるアカマツ林(アカマツ被度4.5以上) の下層植物¢のうち, 高活力度, 高頻度を示す植物の表をつくった (第1表).
2. アカマツ林下で活力度の弱いホソアオゲイトウ, イノコズチなどの種子に, アカマツの葉の浸出液を与えるとその発芽に著しい阻害作用がみられた.
3. アカマツ林下で高活力度を示すアカマツ, ヘクソカズラ, オケラ, ススキ, キキョウは, アカマツ林の土壌においてよく生育したが, 活力度の弱いシラヤマギク, ホソアオゲイトウ, エノコログサ, イノコズチ, シロザ, ヤブハギ, ハナタデ, ヨウシュヤマゴボウ, ハキダメギクなどの生長は著しい阻害作用を受けた.
4. 栄養塩類を加えた人工土にホソアオゲイトウ, ススキ, アカマツ, エノコログサ, イノコズチなどの幼苗を植えて, アカマツの葉の浸出液を与えて栽培した. アカマツ, ススキの生長には影響がみられないのに対して, ホソアオゲイトウ, エノコログサ, イノコズチなどではその浸出液の濃度に応じて生長の差が見られた.
5. アカマツの葉条, コナラの種子などの浸出液とタンニン酸溶液に対してホソアオゲイトウの発芽種子はエオシン溶液の場合と同様に根の背地性を示した.
6. アカマツの分泌する阻害物質の化学的性質について多少, 予備的実験をおこなった. マツの浸出液, マツ林の土壌浸出液中に阻害作用の知られている
p-クマル酸様物質の存在がペーパークロマトグラフィによつて認められた.
7. 植物群落の種類組成はときに, 化学的影響 (アレロパティー) により支配されうる可能性を提示した.
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