植物学雑誌
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76 巻, 906 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • アントシアニンの研究 第42報
    星 利美, 竹村 英一, 林 孝三
    1963 年 76 巻 906 号 p. 431-439
    発行日: 1963年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    1. アントシアニン色素として pelargonidin 配糖体をもつハツカダイコン (Raphanus sativus var. sativus f. comet) と白色のショウゴインダイコン (f. shogoin) との交雑を行ない, 色素の遺伝的関係を調べた.
    2. F1 は anthocyanidin として cyanidin のみを生じ, F2 では cyanidin だけを含むもの, pelargonidinだけを含むもの, および色素をもたないものの3種類に分離した.
    3. F1 のアントシアン配糖体は cyanidin 3-diglucosido-5-monoglucoside で, その構造は P植物に含まれる raphanusin に対応したものである (paper-chromatography による実験).
    4. F2 における分離は, 紫色 (F1 と同一の cyaniding 配糖体): 赤色 (Pと同一の pelargonidin 配糖体): 白色 (アントシアンを含まない)が 158:55:64 の比であり, 互いに条件因子をなす両性雑種の分離比 (9:3:4) に一致する. 同様の分離比はすでに建部 (1938), 奥野 (1943) によっても報告されている.
    5. この場合RおよびE因子を仮定して, P の赤をRRee, Pの白色を rrEEで表わせば, 上記の実験結果はよく説明できる.
    6. RおよびE因子の生化学的基礎を解明することが今後の課題である.
  • 松原 聡, 小川 幸持
    1963 年 76 巻 906 号 p. 440-445
    発行日: 1963年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    1) クロマトグラフィーによって黄花ルピナスの若い種子のエタノール浸出液に含まれる胚因子 (embryo factor) とジベレリン様物質の異同を調べ, あわせてチョウセンアサガオの幼胚の生長に対する, ジベレリンA1, A2 A3, A4 の影響を見た.
    2) 両者のRf値はまったく異なり, 浸出液中の胚生長促進効果はジベレリン様物質以外の要素によることがわかった.
    3) ジベレリンA1, A2, A3, A4はチョウセンアサガオの胚の伸長をある程度刺激するが, その程度は ルピナス浸出液によるものより, はるかに弱い. 生重の増加は前者によってほとんど影響されないが, 後 者によっては非常に促進される.
  • 大槻 虎男, 小川 悠紀子
    1963 年 76 巻 906 号 p. 446-454
    発行日: 1963年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    細菌, カビ, 高等植物のコンニャクマンナン分解利用の研究が行なわれてきたが, これに引ぎ続ぎ放線菌による利用に関する研究を行なった.
    15種に属する17菌株を供試し, コンニャクマンナンを唯一炭素源として培養した結果は, 信夫改変培地 (A) とブイヨンコンニャク培地 (C) とによく生育し, 升本改変培地 (B) には劣った発育を示した. 発育の菌株順位は大体, つぎのとおりである. Q>A,F,L,N,P,D,H,I>C,K>E,G,M,O,J>B (第1図参照).
    コンニャク添加培地は固体の観を呈し, 放線菌発育に伴って, 液化をおこしてくる. 液化の菌株順位は次のようである.L,M,C>F,N,P,K,Q>A>D,E,G,H,I,J,O (第3図参照).
    発育, 液化の両菌株順位が一致しない事実は, マンナーゼ産生能が菌株によって, 相違することを物語っている.
    細菌の種類鑑別にコンニャク液化性を利用したことがあるので, 市販のコンニャク切片の断面上に放線菌を接種した. その結果, いろいろな程度の発育と液化が観察されたことから見ると, ゼラチン液化と同じように, 同定上の性質として用いることができると思われた (第4図参照).
    培養中のマンナン分解の進行は, S. fradiae をつかって追跡した. なお放線菌の発育には長い時日を要するので, 振盪培養を行なって, その短縮を図った. コンニャクマンナンの0.1-2%添加培地は固体状なので, 元のマンナンと化学性を等しくし, ただ粘度だけ低いコンニャクマンニンを代用して, 振盪培養を実現させた. 最大菌糸体を得るのに静置では2週間以上を要するのに対し, 振盪培養では3-4日でその状態に達した. 液中にピレット状をなして繁殖した.
    分解生産物である糖類としてはマンノース, ブドウ糖がフェニルヒドラゾン, オサゾンとして, またべーパークロマト法で確認された. 後の方法では二糖類, 三糖類らしい少糖類も検出された.
    生体外のマンナン分解をしらべたところ, 培地ろ液に大部分のマンナーゼが分泌されて, 菌体には少量が残留するにすぎない. 培養中の酵素作用を追跡すると, 静置においては40日後においても作用の増加が認められた.
    炭素源のマンナーゼ生産に対する作用をしらべた結果は, コンニャクマンナンのみがマンナーゼを誘起する. ニュウ糖, ショ糖, デンプンに皆無, ブドウ糖, バクガ糖にわずかの作用が認められたにすぎない. 窒素源, pHの作用も検した (第1表, 第2表参照).
  • 小林 艶子
    1963 年 76 巻 906 号 p. 455-458
    発行日: 1963年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    Pinnularia brauniiは無機強酸性水域におびただしく産し, しばしば純群落をなしている. 1955年4月山形県酢川で採集した材料を180個体アトランダムにとり顕微鏡写真を撮して, その写真から変異をしらべた.
    このケイ藻は var. amphicephala, var. amphicephala forma nipponica, var. moissacensis, var. gracilior, var. undulata にわけられているが, その形態から var. graciliorPinnularia braunii に 入れない方がよいのでこれは除外した.
    酢川の材料の顕微鏡写真では var. braunii, var. amphicephala, var. amphicephala forma nipponicaは典型的なものは区別できるが, 多数の移行型があって, どれに入れてよいかわからない個体がたいへん多いので var. amphicephala, var. amphicephala forma nipponica は var. brauniisynonym にすべきである. これらの個体に混じってくびれの少ないずんぐりした個体がみられたが, この型は小型のものにだけみられるので, わい小型と考えた. この型と基本種との中間の型が多数みられたので, 今まで記録されていなかったこのわい小型も, 別の変種や品種にしない方がよい.
    pH 1.4, 1.8, 2.1 の所で採集した材料をそれぞれ約300個体測定したが, 生育環境の相異と大きさや形の相異とのあいだに一定の関連はみられなかった.
  • ヨモギ属における核型分析 (3)
    荒野 久雄
    1963 年 76 巻 906 号 p. 459-465
    発行日: 1963年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
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