従来慣用されてきたアベナ屈曲テストは, オーキシンに対する感受性が強いのにもかかわらず, 方法が繁雑であるため, 使用にあたって不便なことが多かった. われわれはこの繁雑ないくつかの点を除き, テストに要する時間を約1/3に短縮する方法を考案したので報告する. 殼をむかないアベナ種子をおがくずに播き, 90時間27°暗所で発芽生育させる.子葉鞘が約3cmに生育したとぎ, その基部で切りとる. 一方あらかじめ0.75%寒天を流しこんで固めた容器を用意しておき,この寒天に切りとった子葉鞘の基部を下にして垂直に挿入する. この状態の子葉鞘を用いて通常と同じ方法のアベナ屈曲テストを行う. この方法は, 種子の脱殼, 浸漬, 砂または水への植えかえなどの手間をはぶき, アベナ屈曲テストに要する時間を短縮することができる. 本方法によれば, 切りとった子葉鞘のオーキシンに対する感受性は濃度勾配, 標準誤差ともに従来のア ベナ屈曲テストとほとんど等しく, Fe
++による屈曲促進も従来の方法と同様に認められた. 寒天に子葉 鞘基部を挿入してから第1回戯頭までの時間は0~9時間の範囲内でオーキシンに対する感受性は不変である.またオーキシンを含む寒天片を子葉鞘にのせてから測定までの時間は90分が最適であると認めら れた. なお本方法で1×10
-4Mトリプトファンは18時間後も屈曲を示さなかったが, 同濃度のトリプタミン は10時間後はじめて屈曲を示した. (東京大学教養学部生物学教室)
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