1. ダイコン (
Raphanus sativus) およびカブ (
Brassica rapa) の赤•白両品種の各生長段階における 遊離アミノ酸, 遊離糖およびフェノール酸の種類と含量とを調べ, それらがアントシアン色素の生合成と どのように関連するかを検討した.
2. 実験に用いたダイコンおよびカブの4品種では, 4種類の遊離糖が共通に検出された. それらのう ち, グルコースは生長の全期間を通じて主成分とみられた. また, 白色品種と比較して, 赤色品種にはサ ッカロースとフルクトースとがより多く含まれている.
3. フェノール酸は4品種を通じて7種類が検出された. それらの多くはエステルの状態で含まれてい る. 赤色品種では, 白色品種に比べて, フェノール酸の含量が著しく多い.
4. 赤色品種の主根では, アントシアンの生成が進むにつれて, C
6-C
3系のフェノール酸の含量が平行 的に増加する.
5. 遊離アミノ酸は各品種から18種類が検出された. アミノ酸の全量に対する個々のアミノ酸の割合か らすると, 白色品種ではバリン, ロイシン, アルギニン, (メチオニン), アスパラギン, グルタミンが量的 December, に優位であり, 赤色品種ではアスパラギン酸, グルタミン酸, チロシンが多い.
6. 赤色品種では, アントシァン合成が高まるとき, 糖およびアミノ酸の含量は一時的に減少する.
7. 赤色品種の芽生えにロイシン, フェニルアラニン, バリンなどを個別に供与するとアントシアン合成 が促進される. なお, アスパラギン酸, スレオニンも若干の促進的効果を示す.
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