植物学雑誌
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78 巻 , 919 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 手塚 泰彦
    1965 年 78 巻 919 号 p. 1-7
    発行日: 1965年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    隅田川河水中の微生物群集から1硫酸還元菌が分離された. この細菌は中温性, 淡水性, 運動性, 非胞子形成性, 絶対的けん気性, グラム陰性の軽くわん曲したかん菌であって, 大きさは0.6-0.7×3-4μ, 末端に1本の長いべん毛を有している. またこの菌は緑色色素 desulfoviridin をもつことから, Desulfovibriodesulfuricans の1株であると同定された.
    この菌はその生長に低い酸化還元電位とある種の growth factor を必要とするが, 調査された37種類の有機物のうち, ピルビン酸, 乳酸および L-セリンのみを硫酸還元の水素供与体にして生長することができる. ピルビン酸と乳酸を利用する点では, この菌はこれまでに分離されているほとんどの硫酸還元菌と共通であるが, さらに L-セリンを利用しうるという点でこれまでのものと異なっている. また, この菌は特に多量の yeast extract を与えると水素ガスをも利用して生長する.
    Growing culture を用いての実験から, ピルビン酸と乳酸は, これまでに分離されている硫酸還元菌の場合と同様に, 次のように代謝されることが証明された.
    4CH3COCOOH+SO4〃→4CH3COOH+4CO2+S〃
    2CH3CHOHCOOH+SO4〃→2CH3COOH+2CO2+S〃+2H2O
    また, L-セリンは次のように代謝されるものと推定された.
    4CH2OHCHNH2COOH+SO4〃→4CH3COOH+4CO2+S〃+4NH3
  • 石倉 成行, 星 利美, 林 孝三
    1965 年 78 巻 919 号 p. 8-13
    発行日: 1965年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    赤色のハツカダイコン (Raphanus sativus f. comet) と白色のショウゴインダイコン (f. shogoin) との交雑によって得られたF1の根皮の紫色アントシアニンについて調べた. さきに, この色素はシアニジン配糖体と3種類の桂皮酸とのエステルであることを報告したが, 今回これらの色素をケン化して得られる配糖体を結晶化して, その化学的性質を調べて, それが cyanidin-5-diglucosido-3-monoglucosideであることを確認した. しかも, この配糖体は, 最近, Harborne がろ紙クロマト試験によって改めて rubrobrassicin の構造と一致することが判った. 有機酸結合をもつ原色素については後日報告する.
  • 吉田 精一, 下郡 山正巳
    1965 年 78 巻 919 号 p. 14-19
    発行日: 1965年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    最近フェニルアラニン•デアミナーゼとtyrase(チロシン•デアミナーゼ)の二つの酵素が, 高等植物における芳香族アミノ酸よりリグニンその他のフェノール性二次産物生成への最初の段階にはたらくことが明らかとなったが, ソバではtyraseの酵素活性がひじょうに低いことがわかったので, フェニルアラニン•デアミナーゼが主としてリグニンなどの二次産物生成への橋わたしをするものと思われる. ソバの茎におげるフェニルアラニン•デアミナーゼ活性をソバの各発育段階でしらべたところ, 茎頂にはいつも高い酵素活性が認められ, それにつづく茎の部分においては下部になるほど活性が低いが, 二次組織の発達が見られる部分ではかなり高い活性がみられた.
    またどの発育段階でも茎の全酵素の80%以上が二次組織の発達したところに分布していた. ソバの茎を形成層を境にして形成層の液および外側の組織(表皮•皮層•師部)と内側の組織(木部•髄)とに分けて, この酵素活性をしらべたところ, 酵素の大部分は内側の組織に分布するが, 生量あたりの活性は形成層の近辺に高かった. 一次組織と二次組織の酵素活性とリグニン量を比較すると, 二次組織では一次組織にくらべ,リグニン量は3倍, 酵素活性は2倍となっていた. 以上の事実からフェニルアラニン•デアミナーゼと木化との間に密接な関係があることが明らかとなった
  • 大野 林二郎
    1965 年 78 巻 919 号 p. 20-27
    発行日: 1965年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    1. C. annuum var. grossum was easily grafted on C. annuum by the wedge grafting method. In general cases the growth of the scion showed a tendency to be inhibited by the stock.
    2. Of 18 grafting plants 14 were normal, while 4 were morphologically different, particularly with respect to the stocks. Of these 4 plants, one (grafting plant No. 1) showed remarkable variations in both vegetative and reproductive organs, so that the stock of this grafting plant was examined in details morphologically and histologically.
    3. The cytological studies of the stock of the grafting plant No.1 were carried out at the meiotic stages. The most outstanding abnormalities were nuclear destruction at prophase and stickiness of chromosomes at 1st and 2nd metaphase.
    4. The pollen abortion was investigated in both the scion and stock of the grafting plant No. 1. About 49 per cent of the pollen grains were abortive on the scion, while about 38 per cent on the stock.
  • 山岸 高旺
    1965 年 78 巻 919 号 p. 28-35
    発行日: 1965年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    1) This paper presents 19 species of Mougeotia known to our country. Among these, 8 species are newly found in the writer's materials collected from various localities in Japan. Other 11 species previously recorded by the writer or other workers have been collected from new localities which are listed with all previous records in Japan.
    2) Mougeotia austrica Czurda, M. globulispora Jao, M. gracillima (Hassall) Wittrock, M. lamellosa Jao, M. punctata Wittrock and M. rotundangulata Jao have been newly recorded in Japan.
  • 河野 昭一
    1965 年 78 巻 919 号 p. 36-42
    発行日: 1965年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    いろいろな酵素はすでに1944年代からEmswellerら2)によって顕花植物根端および花粉母細胞の染色体の染色に応用されてきたが一般に使用されるにはいたらなかった. 酵素使用の主な目的は根端の中層および細胞膜を分解し, 細胞の分離と染色おしつぶしの際, 染色体を一様におし拡ろげ, 詳しく染色体の形態を調べることにある. 最近ÖstergrenおよびHeneen7)はペクチナーゼをフォイルゲン染色法に応用して,根端の硬いイネ科植物で成功をおさめた.
    本研究では改良したオルセイン染色法に, ペクチナーゼおよびセルラーゼを組みいれて, 染色体の小さいナス科, ゴマノハグサ科, サクラソウ科の植物の根端に用い良好な結果を得た. これらの植物は従来のオルセイン染色法では染色体の染色および細胞の分離, 拡散が非常に悪く, 一様に広がった染色体のめいりょうな像は得られにくかった.
    根端を固定後, 5%のペクチナーゼまたはペクチナーゼおよびセルラーゼの1:1の混合液で1-2時間, 温度25-30°で処理すると非常に軟らかくなる. この軟らかくなった根端はアセトオルセインまたはラクト•プロピオニック•オルセインで長時間染色した後でも硬化しない. ナス科, ゴマノハグサ科, サクラソウ科植物の根端の固定には, イネ科の材料に用いられたÖstergrenとHeneenの固定液が用いられ, 広く応用のきくことが確められた.
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