植物学雑誌
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78 巻 , 930 号
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  • 豊田 清修
    1965 年 78 巻 930 号 p. 443-451
    発行日: 1965年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    1. ハスの幼芽と子葉の中にはかなり多量のグルタチオンが含まれている.
    2. 成熟しつつあるハスの種子の総グルタチオンの量は徐々に増加する. 初めの段階では還元型が多い が, 成熟の終りには酸化型の方が還元型より多くなる.
    3. 発芽しつつあるハスの種子の中のグルタチオンの量は急激に増加する. そして還元型の増加率は酸 化型のそれより大きい.
    4. 未熟のハスの果実における還元型グルタチオンの量は1年間の保存によって著しく減少する. これ はいろいろの他の植物の熟した種子についても同様である.
    5. 完熟したハスの果実においてはグルタチオンの量は6年間貯蔵によってそれほど変化しない.
    6. 一般に保存した植物種子の発芽の割合はその還元グルタチオンの含有量と密接な関係があるようで ある.
  • 横浜 康継
    1965 年 78 巻 930 号 p. 452-460
    発行日: 1965年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    イワアカバナの種子が瞬間的照射のくり返し, すなわち間けつ照射によって, 長時間照射によると同様 に発芽誘起を受けることが知られていた. 筆者はこの現象を解析すると共に, 今まで長時間の照射によってのみ発芽誘起を受けるとされていたオトギリソウなどの種子が, やはり間けつ照射によっても発芽誘起
    を受けるということを見いだした.
    イワアカバナとマツカゼソウの種子に対する問けつ照射の場合の最適照射間隔は約9時間であるが, クガイソウの種子の場合のそれは24時間より長い時間である. イワアカバナとマツカゼソウの種子では, 照 射間隔が9時間より長くなるにつれて照射による発芽誘起の効果は低下するが, これは光周的花芽形成の
    場合と共通の機作によるものと考えられる. イワアカバナやオトギリソウなどの種子は発芽に間けつ照射か長時間照射を必要とするのに対し, エゾノギシギシ種子は一回の瞬間的照射で発芽が可能となる. このような両型の差異は,光反応に結びついた ある暗反応の, 一回の瞬間的照射によって実際に進行する量と, 種子が必要とするそれの量との関係の差
    異に基づくものと考えられる.
  • 栗田 子郎, 西田 誠
    1965 年 78 巻 930 号 p. 461-473
    発行日: 1965年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    栗田子郎•西田誠: ハナヤスリ目の細胞分類学III. ハナヤスリ属の染色体数
    日本産のハナヤスリ属の内, 2種1変種の染色体数を観察した. ヒロバハナヤスリ (O. vulgatum)はn=240である. この染色体数はオランダ産のものと一致する. コヒロバハナヤスリ(O. petiolatum) には4系(細胞学的) があることが知られた. 千葉県の成田, 臼井, 銚子, および栃木県日光産の個体はn=480で胞子形成過程は正常である.千葉県稲毛産の個体はインド, セイロン産のものと同様n=510~520であるが,しばしば減数分裂に異常が起こり, 染色体橋や偽直接分裂が観察された. 千葉県土気と京都黒谷産の個体は正常な減数分裂をしない. 第1分裂中期での染色体数は一定せず450~500の問である. 染色体の大きさはさまざまで, 多価染色体および1価染色体と考えられるものがかなり現われる. 恐らくn=480の個体に由来する Cyto-races の1つであろう. 一方千葉県東金産の個体は土気や京都産の個体と同様に減数分裂が異常であるが, 2, 3の胞子母細胞の第一分裂中期で約700の染色体が数えられた. この内, 約400が2価染色体で残りが1価染色体と推定されるので, 実際に体細胞の染色体数を数えることはできなかったが,多分2n=ca. 1100ぐらいであろう. コハナヤスリ (O. thermale var. nipponicum) でも3っの Cyto-racesが知られた. 1っは東京小金井産のものでn=240である. これは Verma (1957) が報告したものである.一方成田のd群落の個体はすべて2n=480で胞子形成過程は正常であり, 成田のe群落と京都黒谷産の個体は土気や京都産のコヒロハハナヤスリと同様正常な減数分裂はせず2分子や3分子の形成がみられた.後者では染色体数は正確には数えられなかったが, ある母細胞では約460であった. いくつかの多価染色体と思われるものがあり, 恐らくn=480の個体に由来するものであろう.
    形態学的にみると, コヒロハハナヤスリは特に多型で, 葉身が丸く葉柄が非常に短かい個体, 葉身は細長く葉柄が顕著な個体, および両者の問のさまざまな中間型とがある. しかしこの多型現象と染色体数との間には何らの関連も見出しえなかった.
    西田 (1959) はハナヤスリ属を2っの亜属, VulgataAitchisonii に分けた. 染色体数をみると後者にはn=240以上の数を持つものが現在のところ知られていない点は注目に値する. Ninan (1958) らはハナヤスリ目の基本染色体数を15だと考えているが筆者達もこの考えに賛成である.ハナヤリ目は非常に特殊化された植物の一群で系統的には現生の他のシダ植物からかなり離れたものと考える.
  • 小川 幸持
    1965 年 78 巻 930 号 p. 474-480
    発行日: 1965年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    1. アサガオの高丈性品種テンダン, および矮性品種キダチの種子と芽生えの発育に伴うジベレリン様 物質の含量の変化について調べた.
    2. 種子ジベレリン様物質は種子の発育に伴い増加し, テンダンは開花後20日で最高になる. キダチは 開花後10日で最高になり, その量はテンダンの約1/6であった.
    3. 暗処での芽生えにおいて, テンダンの子葉ジベレリン様物質はキダチの2倍の含量, テンダンの胚 軸はキダチの10倍以上の含量を示した.
    4. テンダンの高丈型, およびキダチの矮性型は各々のジベレリン様物質の含量の相異に関係があるも のと思われる.
  • 石倉 成行, 林 孝三
    1965 年 78 巻 930 号 p. 481-495
    発行日: 1965年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    1. ダイコン (Raphanus sativus) およびカブ (Brassica rapa) の赤•白両品種の各生長段階における 遊離アミノ酸, 遊離糖およびフェノール酸の種類と含量とを調べ, それらがアントシアン色素の生合成と どのように関連するかを検討した.
    2. 実験に用いたダイコンおよびカブの4品種では, 4種類の遊離糖が共通に検出された. それらのう ち, グルコースは生長の全期間を通じて主成分とみられた. また, 白色品種と比較して, 赤色品種にはサ ッカロースとフルクトースとがより多く含まれている.
    3. フェノール酸は4品種を通じて7種類が検出された. それらの多くはエステルの状態で含まれてい る. 赤色品種では, 白色品種に比べて, フェノール酸の含量が著しく多い.
    4. 赤色品種の主根では, アントシアンの生成が進むにつれて, C6-C3系のフェノール酸の含量が平行 的に増加する.
    5. 遊離アミノ酸は各品種から18種類が検出された. アミノ酸の全量に対する個々のアミノ酸の割合か らすると, 白色品種ではバリン, ロイシン, アルギニン, (メチオニン), アスパラギン, グルタミンが量的 December, に優位であり, 赤色品種ではアスパラギン酸, グルタミン酸, チロシンが多い.
    6. 赤色品種では, アントシァン合成が高まるとき, 糖およびアミノ酸の含量は一時的に減少する.
    7. 赤色品種の芽生えにロイシン, フェニルアラニン, バリンなどを個別に供与するとアントシアン合成 が促進される. なお, アスパラギン酸, スレオニンも若干の促進的効果を示す.
  • 井上 覚
    1965 年 78 巻 930 号 p. 496-502
    発行日: 1965年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    This paper deals with the results of the karyological studies on seventeen moss species belonging to the family Thuidiaceae. In the karyological studies, metaphase and heteropycnotic chromosomes in mitotic cells of gametophyte were observed. In sixteen species of the family, excluding Tetracladium molkenboeri (n=22), the same chromosome number, n =11 was counted. The karyotypes of these sixteen species were so much alike with each other that they were represented by the same karyotype formula. The karyotype formulae of the seventeen species are as follows:
    Haplohymenium pseudo-triste
    H. sieboldii
    H. triste
    Herpetineuron toccoae
    Claopodium aciculum
    C. assurgens
    C. gracillimum
    C. nervosum
    C. pellucinerve
    Haplocladium microphyllum
    H. strictulum
    H. subulaceum
    Thuidium bipinnatulum
    T. cymbifolium
    T. glaucinum
    T. kanedae}K(n)=11=V(H)+V+J+7(5v+2j)±m(h)
    Tetracladium molkenboeri……K(n)=22=2V(H)+2V+2J+14(10v+4j)+2m(h).
  • 辰野 誠次, 児玉 明
    1965 年 78 巻 930 号 p. 503-509
    発行日: 1965年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    1. マメ科植物の4属 Wcicia, Lathyrus, Pisum(Tribe Vicieae) と Trifolium (Tribe Trifolieae)の9種の根端および根粒細胞の核学的研究をおこなった.
    2.ソラマメ (Vicia faba) の根粒細胞の染色体数は根端のそれと等しい. すなわち, 2xで倍加は認められない. 2倍性根粒は植物においては初めて見出されたものである.
    3. 他の8種の根粒細胞は主として4倍性で, 種によっては2xおよび8xの細胞を若干含む.
    4. 観察した9種の植物の根粒細胞には異数性は見られない.
    5. 観察した9種の植物の2倍性および4倍性根粒細胞の染色体の形態は, それぞれの種の根端細胞の核型と対応し, 形態的異常は認められない.
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