植物学雑誌
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79 巻 , 932-933 号
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  • 小川 幸持
    1966 年 79 巻 932-933 号 p. 69-76
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    1. アサガオ, ルピナスおよびモモの種子よりエタノール抽出をおこない, エタノール除去後水にとかし た. この抽出液を pH3にして酢酸エチルで抽出をおこなった. 水層に残つている物質は活性炭に吸着さ せ, アセトンで溶出して, これを“.溶性” フラクションとした. 酢酸エチル層はさらに “酸性” および “中性” フラクションに分けた. 各このフラクションは種々の溶媒を用いてペーパークロマトグラフィー で分割をおこない, そのジベレリン様物質をイネ苗テストで調べた.
    2. アサガオの酸フラクションと水溶性フラクションにあるジベレリン様物質のグロマトグラム上のRf 値は互に異なる. 酸性フラクションのRf値はGA1, A3およびA6の値に似ている. 水溶性フラクション のそれはA1-A9のいずれとも異なる.
    3. ルピナスの水溶性フラクションのジベレリン様物質のRf値は酸性フラクションの小さいRf値の方 と同じである. この値はGA1-A9のいずれとも異なる. 酸性フラクションの大きいRf値の方はGA1, A3 およびA6のRf値に似ている.
    4. モモの酸性と水溶性フラクションのジベレリン様物質は同じRf値を示す. この物質はGA1-A9の いずれとも異なる.
  • 坂本 充
    1966 年 79 巻 932-933 号 p. 77-88
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    中部日本のいくつかの湖で, 生産層中のクロロフィルα量とその変動を支配する要因との関係を研究し, またその変動の光合成生産における意義を検討した.
    1) 生産層のクロロフィルα量の大きな値は, 一般に浅い富栄養湖で見出され, 深い貧栄養湖では小さ な値しか見られない. 最大値は諏訪湖における106.0mg/m2であり, 最小値は本栖湖における10.5mg/m2 である. 生産層の深さは富栄養湖で浅く貧栄養湖で深いが, この深さと生産層のクロロフィルのα量 との間には明瞭な量的関係はない.
    2) 生産層を通じての光の消散を, 植物プランクトンによるもの (εAe), 純水によるもの(γDe) その他 の物質…主に無機セストン…によるもの (Se) の三つの部分にわけてそれぞれの光学的質量 (optical mass) を算出した. 調査された湖では, εAe値が最小でSe値が最大であった. すなわち, 生産層の深さをきめ る上で Se に関係ある物質が最も主導的である.
    3) 生産層中のクロロフィル濃度, およびSe値の生産層のクロロフィル量 (Ae) に対する関係を検討 した. クロロフィル濃度の低い水域では Se 値が小さく, Seの変化に伴う生産層の深さの変化は著しくな い. そのため, Se値に大きく左右されることなくAeはクロロフィル濃度の変化に比例して増減する. 他 方, クロロフィル濃度の高い水域ではSe値が大きく, Seの変化に伴い生産層の深さは著しく変るので, Aeとクロロフィル濃度の間の関係は, 時と場所によるSe値の差に左右されて明瞭でない.
    4) 生産層中のクロロフィルα量と現場で測った一日の生産量の間には, 近似的に直線関係がある. 単 位クロロフィルα量あたりの生産量は湖や季節の差に応じて変化するが, その変化の幅は生産層中のクロ ロフィルα量の変化の幅よりも一般に小さい.
  • Brahmadatta TIAGI
    1966 年 79 巻 932-933 号 p. 89-97
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    植物分類, 形態, 生理, 病理などの諸分野におけるネナシカズラ属についての研究の概要をのべてこの属 の種々の特異性を明かにしたのち, C. reflexaC. lupliformis の2種の花の外部形態ならびに内部構 造の記述と論議をおこなった. ネナシカズラ属の花式はK(5),C(5),A5,G(2)で示される. 花托には10-15 の離在する並立維管束があり, がく片, 花びら, おしべにはいずれも1本ずつの維管束条が入る. がく片の維管束はその基部に入る前に3維管束の名残りを示すことは注意に値する. おしべのつけねにあたる花筒 の内面には維管束のない鱗片がみられ, 子房の基部の花盤はみつ腺としてはたらく. ゴム細胞が花の全器官 にあるが, 子房壁にはことに多い. 心皮の脊中線をしめる維管束のほか, いく本かが子房壁に入る. 脊中線 維管束は柱頭まで続くが, その他はそのまま胚珠に入る. 花托の組織が盛上って子房室を埋め, 心皮の縁部 と密接して隔壁を作る. また胎生のオブチュレーターは倒生胚珠の珠孔の上にひさし状にさしでている. 胎 座は中軸胎座の範囲にはいるが, 側膜胎座への移行の兆をみせている. なお花盤と子房壁の間には全周をめ ぐる分裂組織があって, 子房壁を生長させる. 果実 (蓋果) は後にこの部分で開裂する.
    ネナシカズラ属の花の組織は全般的に退行が著るしいが, これは寄生という特殊な生活様式に関連する ものと思われる. 維管束の木部の発達はことに貧弱で, 僅少の仮道管からできているか, 時には全く欠け る. 各所にある原膜組織は木部に代って器械的な役目をおこなう. また縦方向に連なるゴム細胞は, はじめ 養分の移行にもあずかり, のち内容を失うと厚膜となって器械的な役目をおこなうようになる.
  • 賀来 章輔
    1966 年 79 巻 932-933 号 p. 98-104
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    ハラン (Aspidistra)サンゴジュ (Viburnum) およびヤツデ (Fatsia)の葉組織において, 過冷却点の 葉令にともなう変化, ならびに晩秋より翌春にかけての成熟葉におけるその季節的変化を測定した. また, 葉組織の細胞浸透価. 含水量および細胞間隙量についてもどうようの測定をおこない, これらと過冷却と の関係を考察した.
    1. ハランでは, 葉組織の成熟にともない過冷却点は明らかに低下する. サンゴジュとヤツデでは, こ のような明瞭な変化は認められない. しかし, 両植物の成熟葉における過冷却点は未熟葉のそれより高く, ハランの場合とは逆の関係を示す. 成熟葉の越冬期における過冷却点の変化は, 各植物ともに約1゜程度で 季節的変化は認められない.
    2. これらの3植物では, 葉組織の成熟にともない細胞浸透価は漸増し, 含水量は漸減するが, これら の変化は過冷却点に影響をおよぼすほど大きいものではない.
    3. ハランおよびサンゴジュの葉組織においては, 細胞間隙量も葉令にともない変化するが,両植物で 逆の傾向を示し, 過冷却点の変化とよく関連する. すなわち, ハランでは葉組織の成熟にともなつて細胞 間隙量は増加し, 過冷却点は低下するが, サンゴジュでは逆に前者は減少し, 後者は上昇する.
    4. 未熟および成熟両葉組織における過冷却点の相違は, 細胞間隙に水を浸潤させた場合には減殺される. そしてこのときの過冷却点の高まりの程度は, 細胞間隙量の大きな組織においてより著しい. また, この 浸潤処理をほどこした両組織を対照の含水量まで風乾すると, 過冷却点の差が対照と同程度に再現する. すなわち, ハランおよびサンゴジュの未熟および成熟両葉組織における過冷却点の相違は,細胞間隙が空 気でみたされているとき顕著に現われ, 細胞間隙のよく発達した組織ほど過冷却能力は大きい.
  • 広瀬 弘幸, 熊野 茂
    1966 年 79 巻 932-933 号 p. 105-113
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    1. 紅藻綱所属の44種より得た phycoerythrin の示す吸収曲線を既知のものと比較した.
    2. オオイシソウ科オオイシソウからは, 565mμ に極大, 545mμ に肩をもつ吸収曲線が得られた.
    3. ウシケノリ科ウシケノリおよびマルバアマノリからは, 495mμ, 565mμ に極大, 545mμ に肩をもつ 2ピークの R-phycoerythrin が, シャントランシア科の Chantransia chalybea,カワモズク科のカワモ ズク4種およびユタカカワモズクからも, 同じく2ピークと1っの肩をもつR-phycoerythrin が得られた.
    4. ベニモズク科のウミゾウメン, カギノリ科のカギノリ, タマイタダキ, およびガラガラ科のガラガラ からは, それぞれ 495mμ, 545mμ, 565mμ に極大をもっ3ピークのR-phycoerythrin が得られた.
    5. テングサ目(2種), カクレイト目(10種), スギノリ目(9種), ダルス目(2種),およびイギス目(8種) からは, 可視部ではいずれも例外なく3ピークの R-phycoerythrin が得られた.
  • 草薙 昭雄
    1966 年 79 巻 932-933 号 p. 114-118
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    本研究は, Luzula の染色体の極への移動に中期~後期の染色体上に付着する仁物質が関係しているとい う Brown(1954) の仮説を実験的に検討した. 実験には, L. elegans (Syn. L. purpurea, n=3) の乾燥 種子に Co60-γ-線 (3000~6000r) を照射し, それらの芽ばえの根端細胞内に含まれている kinetic fragment と akinetic fragment における仁物質の量を比較し, fragment の運動能と仁物質との関連を追求した.
    前報において, 筆者は H3-cytidine の短時間処理 (5~10分) でラベルされる仁•RNA が, 仁解体後染 色体に移行付着することを確めた.
    この事実を Co60-γ-線を照射した芽ばえの根端細胞において検討したところ,仁•RNAは仁の解体後中 期の染色体や染色体断片上にも移行, 付着した. そこで分裂後期に重点を置いて, kinetic fragment と akinetic fragment 間で仁•RNA の付着の程度に差があるかどうかを調べた結果, akinetic fragment で は仁•RNA にほとんど付着が見られなかった. kinetic fragment では正常な染色体と同様仁•RNAの 付着が見られた. この事実は, 前期のおわりで仁物質の移動が正常におこなわれなかったような fragment は後期で akinetic fragment となることを示している.
    これらの結果は, 染色体に付着する仁物質が, Luzula 染色体の後期における極への運動に重要な関連を 持つという仮説を実験的に支持したことになる.
  • 原田 宏
    1966 年 79 巻 932-933 号 p. 119-123
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    Effects of photoperiodic conditions leading to the formation of flowers on sections excised from the internodes of flower stalks were studied. (The results obtained are summarized in Table 1.) Flower formation was induced by long days, whereas short days had little effect. When culrtures were placed in darkness for more than two weeks, the tissues almost lost their ability to form flowers. The tissues were most responsive to photoperiodic treatments during the second week of culture. Long day conditions induced flower bud formation in 100% of the sections during the third and fourth weeks. When the explants were kept for periods of up to ten weeks or more, about 70% of those under short day conditions produced flowers. However, the number of flower buds remained small in comparison with similar cultures held under long day conditions (Table 2). The significance of the results obtained for the understanding of the roles of long days, short days and continuous darkness on the process of flower formation is discussed.
  • 進藤 公夫
    1966 年 79 巻 932-933 号 p. 124-130
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    1. The distribution area formerly known for Kalimeris incisa DC. in Japan was from Kyushu to Kinki District of Honshu. The present investigation revealed that the distribution of this species extends eastward into the western and southern lowlands of Chubu District in central Honshu.
    2. At many localities within the distribution area, K. incisa was growing together with a morphologically similar heptaploid sepcies K. yomena. But K. incisa seemed to prefer habitats a little drier than those of K. yomena.
    3. Except some insular and periferal populations, K. incisa showed a high degree of individual variability, and the range of variation at any one locality closely approximated that which occurs over the entire species range in Japan.
    4. The results of a chromosome count revealed that K. incisa in Japan is nearly stable as an octoploid species with 2n=72. It showed, however, a peculiar pattern of variation in chromosome number that the frequency of aneuploids with 2n=71 or lower chromosome numbers is much higher than that of aneuploids with 2n=73 or higher chromosome numbers.
    5. Some clones were found to include one or two large chromosomes in their somatic chromosome complements. Those chromosomes are presumably derived from a species of Aster.
  • 金子 賢一郎
    1966 年 79 巻 932-933 号 p. 131-137
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    1) In this paper the author deald withh the chromosome numbers and the karyotypes of the following four species of Hosta: H. montana, H. lancifolia, H. chibai and H. capitata.
    2) The chromosome numbers of the four species were 2n=60.
    3) The karyotypes of the three species (H. montana, H. lanci folia, H. chibai) were as follows: they were classified into 30 pairs, which were divided into four pairs of large chromosomes, two pairs of medium, and 24 pairs of small ones. One of the two pairs had satellites.
    4) In H. lancifolia karyotypes of the clones from different source differed more or less in the number of large chromosomes and in the number of satellite chromosomes.
    5) The karyotype of H. capitata differed from those of the other three species in two satellite chromosomes of large chromosomes and in the position of primary constriction in three pairs of large chromosomes.
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