植物学雑誌
Online ISSN : 2185-3835
Print ISSN : 0006-808X
ISSN-L : 0006-808X
79 巻, 934 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 高倉 直
    1966 年 79 巻 934 号 p. 143-151
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    純光合成の効率 (生育室内での純光合成率/屋外での純光合成率) と生育室の換気回数との関係について調 べた.
    透明な生育室 (気容積 50×50×30cm) を作り, 温度制御されたキャビネット内にそう入した. 実験中, 生育室の気温は 27±1° に保たれた. 8基の白熱ランプを10cmの水フィルターをとおして用いることにより, 光強度は植物の上表面の 30Klux であった. 供試した植物は, 25°一定のファイトトロンで40日間 生育させたトマト, カブ, タバコである.
    媒介変数j (生育室の気容積/全葉面積) は生育室へ入れる植物個体数によって調節した. すなわち, SLAI は一定で, OR を変えた. ここで SLAI は植物葉面積/植物が占有する床面積, ORは全植物の占有面積 /床面積を意味する.
    植物の純光合成率は赤外線ガス分析計によって検出される炭酸ガス吸収量であると考えた.
    この実験により, 換気回数が大きくなるほど, 光合成の効率は増加し, また換気回数が一定であっても, j が増すほどそれは大きくなることが示された. 計算値と実測値はよく一致した.
  • 湯浅 明, 大隅 正子, 藤木 尚子
    1966 年 79 巻 934 号 p. 152-155
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    1. コウボ類の Hansenula mrakii では n=4 で, 細胞は二分法でわれるが, H. jadinii では n=3 で, 細胞は出芽法でわれる. n=3 は n=4 から誘導されたものと思われる.
    2. Debaryomyces arteielli では, n=4 で, 細胞は出芽法でわれる. ときにRamirez and Miller (1963) が示したように, 染色体が四ったてに並び, それぞれ分裂して, 4染色体の2列となり, 1列は芽に, 残りの1列は細胞に残ることも見られた.
  • アントシアン研究•第52報
    石倉 成行, 林 孝三
    1966 年 79 巻 934 号 p. 156-164
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    著者らは前報 (本誌78:481) で若干のアミノ酸がアントシアン形成を促進することを報告したが, 今回こ れを確認するために6種類の14C-アミノ酸 (フェニルアラニン, チロシン, ロイシン, ヴァリン, スレオニン, アスパラギン酸)をそれぞれ赤ダイコンの芽えに供与して14Cの行方を追跡した.その結果, これらのアミノ 酸は, いずれもアントシアニン (ラファヌシン) の生合成に利用されることがわかった. したがって, アミノ 酸による色素生産の促進効果は, 他の共役代謝系を刺激するというような間接的なものではなく, むしろ 直接アントシアン合成系へ入るためとみられる. この事実は, 既知のシキミ酸経路のほかに, アミノ酸を 含む別個の生合成経路の存在を暗示するものであり, これをめぐり若干の論議を試みた. 因みに, 色素部 分への14Cの取込みは, 予期のごとく, フェニルアラニンが最大であるが, ロイシン, アスパラギン酸, スレオニン, チロシンでもその約1/3程度の取込みがみられる (第2表). 特に注目すべぎことは芳香環をもた ないロイシン-14Cの取込みである. このアミノ酸の14Cはもっぱら色素配糖体のアグリコン部分 (ペラルゴニ ジン) に取込まれ, 糖部分や有機酸部分へはほとんど移行しない. 今後, この特異性を手がかりに14Cの行 方を詳細に研究する必要がある.
  • 亘理 俊次
    1966 年 79 巻 934 号 p. 165-173
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    北九州に広い分布をもつ古第三紀層には化石樹幹の産出が極めて多い. この地方に発達する炭層にも, 俗 に松岩あるいは松石と唱える化石樹幹があり, 炭坑によってはこの存在が採炭上の重大な問題として取り上 げられるほど多量に含まれている. 直立樹幹もしばしば発見され, 時には径 3mを超えるものもある. 在来 の研究において, この松岩が Taxodioxylon の1種という点ではおおむね一致しているが, その樹種につい ては見解を異にするものがあった, 著者は筑豊, 三池, その他の主要炭坑から得られた松岩の多数例を観察 し, これを1新種とみとめ, Taxodioxylon matsuiwa と命名することにした. この拠点には種々あるが, 最も著しい特長は, 接線断面で観察するとき, 樹脂細胞列の両端の若干をのぞいた細胞が, 極めて短く, し ばしば正方形あるいは時に横長の長方形となることである (Figs. 4, 6). 在来,北九州のこの時代の地層か らは, 数種の化石樹幹, Quercinium hobashiraishi, Phyllanthinium pseudo-hobashiraishi, Palmoxylon の1種などが知られ, また著者の観察(未発表)によって, 多数の広葉樹の化石樹幹があることがわかり, この時代に種類の豊富な暖地性の森林があったことをの示している. それにもかかわらず, 炭層中の松岩が同一 種 T. matsuiwa のみであり, また直立樹幹の多いことなどから, 在来の化石植物学的研究や地質学的研究 も併せ考えて, この植物が現在 TaxodiumGlyptostrobus と同じように沼沢地に純林を作っていた もので, その立地に炭層が堆積したと考えるのが妥当であろう. しかしながら T. matsuiwa の材構造は独特であって, この化石種を現存属に直結させることは困難であり, おそらくスギ科の一絶滅属を代表する ものと考えられる.
    1) Greguss, P., Identif. Liv. Gym. (Budapest, 1954).
    2) Ogura, Y., Jap. Journ. Bot. 8: 345 (1944).
    3) Phillips, E.W.J., Journ. Linn. Soc. London 52: 259 (1941).
    4) Penhallow, P.D., Man. N. Am. Gym. (1907).
    5) Gothan, W., Abh. Preus. Geol. Landesanst. 36: 155 (1906).
    6) Kräusel, R., Senckenbergiana 3: 135 (1921).
    7) Yasui, K., Ann. Bot. 31: 101 (1917).
    8) Yasui, K., Journ. Fac. Sci. Imp. Univ. Tokyo, III, 1: 381 (1928).
    9) Takamatsu, M., Sci. Rep. Tohoku Imp. Univ. IV, 4: 533 (1929).
    10) Shimakura, M., Journ. Geol. Soc. Japan 40: 533 (1933).
    11) Schönfeld, E., Senckenbergiana lethaea 36: 389 (1955).
    12) Brown, H.P., Panshin, A.J., and Forsaith, C.C., Textb. Wood-Tech. Vol. 1 (New York, 1949).
    13) Watari, S., Bot. Mag. Tokyo 61: 41 (1948).
    14) Kadokura, M., Journ. Geol. Soc. Japan 21: 511 (1912).
    15) Ohara, K., Jap. Journ. Bot. 3: 97 (1926).
    16) Kaku, I., Warerano-Kobutsu 5: 19 (1936).
    17) Kaku, I., Warerano-Kobutsu 5: 82 (1936).
    18) Watari, S., and Kuroda, H., Journ. Coal Res. Inst. 2: frontispiece, figs. 46-48 (1951).
    19) Asano, G., and Yuri, S., Mining Geol. 12: 143 (1962).
    20) Noda, M., Journ. Geol. Soc. Japan 70: 32 (1965).
    21) Nakayanagi, Y., and Noda, M., Journ. Geol. Soc. Japan 71: 153 (1965).
    22) Ogura, Y., Jap. Journ. Bot. 6: 173 (1932).
    23) Ogura, Y., Jap. Journ. Bot. 6: 183 (1932).
    24) Kaku, I., Journ. Geol. Soc. Japan 43: 326 (1936).
    25) Kaku, I., Journ. Geol. Soc. Japan 44: 187 (1937).
    26) Watari, S., Jap. Journ. Bot. 8: 255 (1943).
  • 手塚 泰彦
    1966 年 79 巻 934 号 p. 174-178
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    硫酸還元菌 Desulfovibro desulfuricans は単独ではピルビン酸,乳酸, 分子状水素など少数の化合物 しか硫酸還元の水素供与体に用いることができないが, 硫酸還元菌を含む微生物群集は, 多くの種類の有 機物の存在下で, 硫酸塩を還元して硫化物を生成することができる. このことは微生物群集を構戒してい る硫酸還元菌と他の従属栄養細菌との問に, ある種の共生関係が存在することを暗示している.
    このことを明らかにするために, 硫酸還元菌と他の従属栄養細菌を, 単独では硫酸還元菌の利用できな い有機物を含む培地で, 混合培養した. 混合培養は, グルコースを含む培地でのD. desulfuricansEscherichia coli, クエン酸およびグリセリンをそれぞれ含む培地での D. desulfuricansParacolobactrum aerogenoides, グルタミン酸を含む培地での D. desulfuricansProteus morganii の合計4 種を用いた. その結果, いずれの場合にも硫酸塩の還元が起こることが明らかになった.
    さらに, これらの混合培養の実験から, 硫酸還元菌を純粋培養する場合にはある種の生長因子の添加と 酸化還元電位の調節が必要であるが, 混合培養ではそれらの条件をともに必要としないことが明らかになっ た. おそらく混合培養の場合には, 硫酸還元菌の生長に必要な生長因子と培地の低い酸化還元電位は他の 細菌によってもたらされるものと思われる.
    There exists a commensalism between the sulfate-reducing bacterium Desulfovibrio desulfuricans and other heterotrophic bacteria. Namely, the mixed cultures of D. desulfuricans and other heterotrophic bacteria such as Escherichia coli, Paracolobactrum aerogenoides or Proteus morganii, can reduce sulfate to sulfide in the presence of various organic compounds such as glucose, citrate, glycerol or glutamate, which are not utilized by the pure culture of D. desulfuricans.
    As for such a commensalism, two other interesting facts became evident from the mixed culture experiments. Namely, although the pure culture of D. desulfuricans requires both the addition of growth factor and regulation of the redox potential of the culture media, this bacterium in mixed cultures requires none of these treatments.
  • 塚田 松雄
    1966 年 79 巻 934 号 p. 179-184
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    中部地方の野尻湖 (海抜高度654メートル) から採集 (弁天島から北に約700メートルの地点における水 面下20メートルの湖底) された2.4メートルのコアーのうち上部1メートル (過去約6,000年にわたる) か らの絶対花粉堆積量に関するデータは, 下部からR II, R IIIa, R IIIbの花粉帯を示す. 約4,000乃至4,500 年以前のR II期における中部地方の低地帯は, ブナーカシ森林群落によっておおわれ, 日本の固有種と して知られているスギとコウヤマキは, R II晩期に増加し始めた. R IIIaにおける亜高山性針葉樹花粉 落下の増加は, 後氷期気温低下によって, 亜高山性針葉樹の分布が拡大したことを意味する. R IIIaの末 期に,亜高山帯ならびに温帯の処女林は, 古墳時代の人々によって, 著しく破壊され始め, 約1,500年前 のR IIIa/R IIIbの境界期にその頂点に達した. この境界期における1平方センチメートル当り1年間の 全樹木花粉落下量は, 75.6±10.7粒から21.4±2.6粒に減少し, 約72パーセントの森林が破壊されたことに なる. これに続いてすぐに, 殻類とソバが集約的に耕作され始め, 農耕に不適当な丘陵地には, アカマツ, スギ, ヤナギ類の更新をみた.
  • 森 健志, 藤茂 宏
    1966 年 79 巻 934 号 p. 185-196
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    A method of determination of protohemin content in chlorophyll-containing plant materials was described and its various alternatives were discussed in detail. The procedure was composed of the following steps: (i) masceration of the material, (ii) extraction of protohemin with HCl containing 65 per cent acetone, (iii) transfer of hemin into ether, (iv) precipitation of it as the barium salt, (v) decomposition of the Ba-salt by using hydrochloric acid, (vi) selective washing of chlorophyll derivatives with pyridine containing hydrochloric acid and with a mixture of formic and hydrochloric acid, (vii) preparation of solution of the hemin in 30per cent pyridine, (viii) spectrophotometric determination of pyridine heme in the solution.
    Correction of the obtained value for the systematic deficit, which is caused by inevitable loss of hemin in the course of its isolation, was also undertaken.
    In several preliminary examples of the determination noteworthy seasonal variations of hemin contents of leaves were suggested to take place.
    In the APPENDIX of the present report a reversible change from proto- to hematohemin via the HCl addition compound was investigated in the pyridine-hydrochloric acid mixture and the equilibrium of the HCl-binding reaction were discussed on the basis of obtained results.
  • 小川 幸持
    1966 年 79 巻 934 号 p. 197-199
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
  • 大脇 頼子
    1966 年 79 巻 934 号 p. 200-201
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
feedback
Top