植物学雑誌
Online ISSN : 2185-3835
Print ISSN : 0006-808X
ISSN-L : 0006-808X
79 巻, 940-941 号
選択された号の論文の37件中1~37を表示しています
  • Kozo HAYASHI, Masami SHIMOKORIYAMA
    1966 年 79 巻 940-941 号 p. 495-498
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
  • H. ERDTMAN, B. KIMLAND, T. NORIN
    1966 年 79 巻 940-941 号 p. 499-505
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    マツ属は分類学上, Haploxylon と Diploxylon の二亜属に分けられる. 心材成分を比較すると, Diploxylon に属する種はフェノール成分として, ピノシルビンとその誘導体, ピノセムブリンおよびピノバンクシンなどのフラボノイドを少量含んでいる. Haploxylonに属する種はこれらの物質のほかにジヒドロスチルベン, O-メチルフラボン, C-メチルフラボンを持っている. Shaw によって作られた分類表による subsection, Strobiと Gerardianae とにはC-メチルブラボンであるストロボピニンとクリプトストロビンが普通に出現する. しかしこの2つの subsection はそれぞれ異った section の Cembraと Paracembra に属している, そして両 subsection を比較して違う点は後者にはガラギンが存在していることである. P. peuce は Strobi に属していながらガランギンを有する唯一つの種である. P. krempfii は異った属に入れている人もあるぼど形態的に違っているが, 化学成分から見ると明らかにHaploxylon に属しており, しかし Gerardianae あるいは P. peuce に近似している.
  • Artturi I. VIRTANEN
    1966 年 79 巻 940-941 号 p. 506-509
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    我々の研究室では Allium 属から多くの新しいシスティン誘導体を単離し, そのあるものについては酵素による生成についても研究をおこなっている. 例えばタマネギの鱗茎のS-(Propen-1-yl)cysteine sulfoxide は, タマネギの酵素によって Propenylsulphenic acidを生成し, これが催涙因子であることが明らかになった. Cycloalliin は S-(Propen-1-yl)cysteine sulphoxide のアンモニア水溶液から生ずるが, アイソトープ実験の結果では, 後者は前者の前駆物質ではないらしい. この問題についてはさらに実験中である. またタマネギの鱗茎からは, 天然の thiazane 化合物としては最初の 3-Methyl-1,4-thiazane-5-rcarboxylic acid-1-oxide が単離された. γ-Glutamyl peptide は Allium 属の鱗茎および種子の特徴的な化合物であるが, アサツキ(A. schoenoprasum) の種子から最近単離した tripeptide は1分子中にグルタミン酸, および酸化型と還元型の S-(Propen-1-yl)cysteine を含む特異な構造をもつ点で注目に価する. 構造は, 酸および酵素による加水分解物をペーパークロマトグラフィーで同定して決定した. 構成アミノ酸はいずれもL型, 旋光度は〔α〕22D=+76.O (水), Rf値はブタノール•酢酸•水で0.54, フエノール•水で0.81である.
  • L. HÖRHAMMER, H. WAGNER, H. REINHARDT
    1966 年 79 巻 940-941 号 p. 510-525
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    アメリカ産のカンボク (V. prunifolium) の植ナ皮抽出物は, 子宮筋の痙れんに対して鎮静作用があり, 今日なお医学的興味の対象となっている•今までに一連の物質が単離されているが, その作用物質は不明のままである•またヨーロッパに普通の V. opulusを, その成分と薬理作用から考えて, 同様に薬種として扱ってよいかどうかも確かでない. この2つの薬種のメタノール抽出物を薄層クロマトグラフィーで調べると, かなり大きな差異が認められる. (第2図) まず V. prunifolium の成分として, 第2図の物質Hは, メタノール抽出物を石油エーテルで抽出し, シリカゲルのクロマトグラフィーで単離すると, 化学的性質, UV, IR, NMRスペクトルから刈米らが単離したアメントフラボンであることがわかった. つぎに物質Fもアルミナによるクロマトグラフィーでとり出し, スコポレチンと同定した. メタノールに抽出物を酸で加水分解すると, グルコースとスコポレチンが生ずることからスコポリンの存在も確かめられた. またろ紙および薄層クロマトグラフィーにより,エスクレチンも証明された. 次にエーテル抽出物をアルミナで分別し, 第1,2図に示した物質A~Fを単離することができた. Aは無色油状物のポリエンであるが, 少量のため最終的な構造決定にはいたらなかった. Bはメタノールから結晶化し, 元素分析値, 分子量, IRスペクトルから, α-およびβ一アミリンの混合物と考えられる. CはIRからトリテルペンと考えられ, 水解するとオレアノール酸, ウルソル酸および酢酸になることから前二者のアセチル化物と考えられる. Dもメタノールからえられ融点, 元素分析, アセテートの融点およびジギトニン沈澱反応などからβ-シトステリンである•またEは, オレアノール酸とウルソル酸の混合物, Fは元素分析値, 化学反応から構造未知のジケトーステリンあるいはジノルージケトートリテルペン化合物と考えられる.一方V. opulusおよびViburnum祝の他の17種にはいずれにもアメントフラボンが検出されず,スコポレチンも少数のものに見出されただけであったV. opulusの薬種には常にバニリン塩酸でフロログルシン誘導体に特有な呈色反応を示す物質が見出され, これはメタノール抽出物をエーテルで処理し, シリカゲルのクロマトグラフィーで単離された, ろ紙クロマトグラフィーで調べると, カテキン90%とエピカテキン10%の混合物であった. Evans らによるとV. prunifoliumの樹皮にはサリシンが含まれており,これがこの薬種の有効物質であるという.われわれは抽出液を濃縮しろ紙クロマトグラフィーで注意深く調べたが,その存在を確認することはできなかったからはアルブチンも単離されたが, モルモットの小腸および子宮には作用がなかった•予備実験によると, 酢酸エチル抽出物が最も鎮痙作用が強く, その不溶物からえたメタノール, 水, 石油エーテルおよびエーテルの抽出物はいずれも全く作用を示さなかった•酢酸エチル可溶部には, スコポレチンおよびエスクレチンが多量にあるので, この2物質のモルモット小腸の筋肉に対する作用を調べたところ, 第2表に示すように, いずれもパパベリンの1/8-1/10の効果を示した•またアピゲニンおよびルテオリン型のフラボンは鎮痙作用があることが知られているので,われわれはアメントフラボンの作用も調べてみたが, パパベリンに対して1/5。の作用しか示さず,水あるいはアルコール抽出物の全薬理作用におけるアメントフラボンの関与は小さいものと考えられる. V. prunifoliumV. opulusはこのように親水性の物質についてかなりの差があり, 後者の抽出物は前者のそれに対して全く薬理作用を示さないから, 少なくとも鎮痙効果に関しての両者の差異は,以上述べたような成分の差によるものと考えてよいであろう•また逆に, これら成分の差を, 薬種の有効性に関する優れた鑑別法とすることもできる. V. prunifolium におけるアメントフラボンの存在は, 植物学的に興味のあることである.すなわち従来唯一の例外を除けば裸子植物にのみ知られていたビアピゲニン型の化合物が被子植物にも存在することがわかったわけである•この例外というのは, Casuarina strictaで, 葉が鱗片状の構成をしていることと花が非常に簡単な点で裸子植物にある程度の類縁が考えられ, 最近, 被子植物群の中ではかなりかけ離れた属と見なされているものである. またViburnumの属するCaplifoliaceaeの分類学上の位置についても意見が分れている. さらにアメントフラボンが, V. prunifolium のみに見られたこと,今までは葉だけで樹皮には説明されたことがなかった点も注目に価する事実である.
  • H. ULLRICH, U. KÄNDLER
    1966 年 79 巻 940-941 号 p. 526-536
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    廃棄ガスによる緑葉の被害は, 例えば乾燥や害虫による損傷と区別できない場合が多いが, この区別は煙害の研究とその防止にとっては不可欠であり, 種々の有害な大気汚染物の作用は個別的に考える必要がある. 肉眼や顕微鏡による観察, あるいは化学分析で, 煙害の原因となっている大気汚染ガスがわかる場合もあるが, 例えばその被害が SO2 によるものか NO2 によるものかを区別することはかなり困難である. われわれは in vitro および in vivo で緑葉の色素を有害ガスで処理し, 個々の色素およびその分解産物を薄層クロマトグラフィーで調べることによって, SO2 と NO2 による被害を識別することが可能であることを確めた. in vitro の実験としては Phaseolus, Spinacia あるいは Beta の新鮮葉を少量のクロロフォルムで抽出し, これに酸性の NaNO2 溶液, あるいはイソアミルニトリットを加えて静置, あるいは空気の泡が入らないようにして振とうした. 第1図および第2図に示すように緑葉色素のうち NO2 に最も敏感なのはカロチンであり, 短時間に完全に分解された. クロロフィルも時間と共に分解されるが, クロロフィルaの方がbより分解が早い. 分解産物と考えられるxおよびyは淡色で非螢光性であり, 第3図および第4図のような吸収スペクトルを示し, フェオフィチンa, bにそれぞれ似ているが吸収の極大は大部分長波長にずれている. 反応時間が長いかあるいは烈しい処理の場合には, 色素はすべてさらに分解され, クロマトグラムの下方に, よく分解されない褐色物質を残すのみとなった. 次に緑葉をそのまま高濃度のニトローゼガスにあて, 組織が少なくとも部分的に褐変し萎縮したものを同様に抽出して調べると, やはり黄色色素特にカロチンが極度に減少あるいは消失していた. クロロブィルにはまだ変化がなかったが, 時々かなりの量のフェオフィチンおよびクロロフィリッド, また前述のXに相当するものも観察された. 沸騰水あるいは霜によって死にいたった葉をあとからニトローゼガスに漫した実験でも同様な結果がえられた. 一方, SO2, フォルムアルデヒド, あるいは強熱で処理した葉や, 自然に枯死した葉ではこのような色素の変化はみられなかった. 例えばフォルムアルデヒドの被害をうけた葉では壊死した組織でも色素はすべて健全であり, 熱で乾燥させたものでも2日後, カロチンはまだ存在していた. 特別な処理をうけずに枯死した葉や, 自然に黄色くなった葉でも, クロロフィルの分解を除けば色素の構成は正常であった. すなわち, 色素溶液を亜硝酸で処理した場合でも, 生葉をニトローゼガスに接触させた場合でも, 本質的には同じ結果すなわち, カロチンの分解とクロロフィルの種々の分解産物-クロマトグラフおよび吸収スペクトルで特徴的な行動を示す-がえられ, しかもこれらの結果は, 亜硝酸やニトローゼガス以外の処理ではえられなかった. 他の原因で死んだ葉をニトローゼガスで処理しても同様であったことから, これらの変化は細胞の死後 NO2- あるいは NO2 によって化学的におこったものと考えられる. この検査法は, 急性の壊死をおこしていることが前提で, ある程度の量の死んだ組織を正常組織と分けて抽出し, カロチンの消失は x の生成を調べれば, それによって緑葉の受けた被害は NO2 によるものであらたかどうか判断することが可能である.
  • 柴田 萬年, 浦上 澄子, 松浦 久美子
    1966 年 79 巻 940-941 号 p. 537-543
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    著者らはサルビア (Salvia splendens) の一変種の紫色花に7種類のアントシアニンが含まれていることを見出したので, これを抽出分離後, 水解, けん化などによりアグリコン, 糖および有機酸をペーパークロマト法で調べた. その結果アグリコンはDelphinidin, Cyanidin, Pelargonidin の3種, 糖はブドウ糖だけ, 有機酸はマロン酸とパラクマール酸と 2 種類であった. 7 種類のアントシアニンのうち, 有機酸と結合しているものは4種類で, そのうちの3種類はパラクマール酸と, 1 種類はマロン酸と結合していた. 結局, 7 種類のアントシアニンは Delphin (Delphinidin 3, 5-diglucoside), Cyanin (Cyanidin 3, 5-diglucoside), Pelargonin (Pelargonidin3, 5-diglucoside), Malonoyldelphinidin 3, 5-diglucoside, p-Coumaroyldelphindin 3, 5-diglucoside, p-Coumaroylcyanidin 3, 5-diglucoside, p-Coumarylpelargonidin 3, 5-diglucoside と確認された.
  • 小野田 哲夫, 宇佐美 正一郎
    1966 年 79 巻 940-941 号 p. 544-550
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    Staphylococcus aureus の母株菌と青酸耐性変異株菌の炭水化物代謝型の差異を比較検討した. 母株菌は炭水化物を解糖系, ペントースサイクルからクエン酸サイクルを通って代謝する. 耐性菌は母株菌と同様クエン酸サイクルは働いているが, 炭水化物をペントースサイクル, 解糖系を通って代謝できない. 耐性菌が炭水化物を代謝できないのは, ヘキソキナーゼおよびグルコース-6-リン酸, グリセルアルデヒド-3-リン酸, 乳酸などの脱水素酵素の欠陥にによるものである. これらすべての酵素は母株菌には存在する. 母株菌は炭素源として, コハク酸, アスパラギン酸, グルタミン酸, 果糖, ブドウ糖を加えた合成培地で生育するが, 耐性菌はグルタミン酸, アスパラギン酸, コハク酸には生育するが, ブドウ糖, 果糖では生育しない.
  • 宮本 義男, 福岡 明美, 井川 瀟子
    1966 年 79 巻 940-941 号 p. 551-559
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    外酵素が細胞から遊離される機構については, まだ決定的な見解は得られていない. 私たちは細菌の糖化型アミラーゼの遊離と溶菌とが関連するか否かを考えることとした. 使用菌株はデンプン糖化能の高い一グラム不定 Bacillus である. その分類学的位置については別報するが, 私たちは今これを “AK-3株” と仮称する. この菌をデンプン酵母エキスから成る培地に振とう培養し, 次の知見を得た. 対数期の終りに近い頃から培地中に糖化酵素活性が高まり, 静止期に入つて一定値に達する. 還元糖および特有の榿黄色色素もほぼ同様に推移する. アミラーゼ活性の高まりとともに, 培養中には溶菌像があらわれ始めるが, 溶菌は対数期の終りには著しく増加し, 静止期にはほとんどすべての細胞が溶菌直前の様相を示すにいたる. 一方各培養令の細胞を音波破砕すると, 反応液の燈黄色調•糖化型アミラーゼ活性の増加することがみられる. 以上は, 自然的にせよ人工的にせよ. 溶菌によって, このアミラーゼをはじめ細胞内容が培地中に解放されること, 少なくとも対数期以降におけるこの酵素の遊離は, 主として溶菌によるものと解せしめるものである. ただし, これは対数期以降についての所見であり, 培養の初期におけるこの酵素の遊離機作については別に究明されなければならない. 一つの示唆として興味あることは, 平板上にかろうじて肉眼にみとめ得る程度の微細な集落中にも溶菌像が認められることである.
  • ある種のたばこ植物の葉色成分としてのフェオフイチン
    清水 碩, 堀田 ルリ, 玉置 英之助
    1966 年 79 巻 940-941 号 p. 560-565
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    1) たばこ植物のなかで, 葉色の薄い種類のものの若い葉には, フェオフィチンが多量に見いだされる. この葉が生長すると, 葉色は黄緑色 (または白緑色) から緑色へと変化し, フェオフィチン/クロロフィルの割合は減少する. この種類のたばこの葉色は, クロロフィル量に比較して, フェオフィチン量の多いことにもとつくものと考えられる. 2) 成熟した葉と, 黄色乾燥の処理を加えた葉のなかで起るクロロフィルの変化を調べたところ, 黄色乾燥の処理は, クロロフィルからクロロフィリッドへの変化より, クロロフィルからフェオフィチンへの変化を促進することがわかった.
  • Ephraim EPSTEIN, Philip G. MILES
    1966 年 79 巻 940-941 号 p. 566-571
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    スエヒロタケ (Schizophyllum commune) の突然変異体培養によって生産される赤色の色素は, その各種溶媒への溶解性, クロマトグラフィー, 吸収スペクトルなどから Indirubin と同定された. また, この菌の培養によって同時に生産される黄色色素は Isatin であることが分った. 両色素は窒素源としてアンモニウムイオンをもつ合成培地上で生産される. なお上記の発見が, スエヒロタケの着色系統によるインドール代謝とどのような関係にあるかについて論じた.
  • 千葉 保胤, 菅原 淳, 池原 規勝
    1966 年 79 巻 940-941 号 p. 572-577
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    葉緑体 RNA は 0.5 N PCA 処理 (70°, 30分) で完全に抽出されることは筆者らがすでに発表しているが, 今回はこの葉緑体 RNA (tota IRNA) を下記の方法で葉緑体から三つの分画にわけて抽出することができたので報告する. 葉から単離した葉緑体はグリセリンショ糖密度勾配法により精製した. この葉緑体からフェノール法で抽出すると, total RNA の 60-70% が水層に溶出された (phenol-released RNA). フェノール層から得られる残燈を 1% SDS で処理することにより, さらに約 10% の RNA が抽出され (SDS-released RNA), total RNA の 20-30% に相当する残りの RNA (residual RNA) は hot O.5 N PCA 処理によりはじめて抽出可能であることが見出された. Phenol-released RNA の塩基組成は total RNA に似ており, 両者ともグアニン含量が高く, SDS-released RNA のグアニン含量は両者に比べて低い値を示した. なお residual RNA は著しく異なった塩基組成すなわち異常に高いアデニン含量とそれに対応して異常に低いシトシン含量をもつことが見出されたが, このような異常な塩基組成を持つ RNA が実際に存在するか否かは今後の研究にまたなければならない.
  • 武田 幸作, 三井 清司, 林 孝三
    1966 年 79 巻 940-941 号 p. 578-587
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    ツユクサの花から得られた青色メタロアントシアニン (commelinin) は有機成分としてはアントシアニンのほかに淡黄色のフラボン様物質を含んでいる. この物質が単なる混合物でないことは, commelinin の結晶標品について再結晶の反覆, 源紙電気泳動, セロフアン膜による透析などの操作で除かれないことによって証明された. この物質は commelinin からかなり大量に得ることは不可能であったために構造決定の問題は保留されていたが, 同じ物質が花弁中に遊離して存在することがわかったので,これを結晶化して化学的性質を調べた. その結果, この淡黄色物質は, vitexin や saponaretin で代表される C-glycosylflavone に属し, その構造は 6-C-glucopyranosylgenkwanin 4'-O-glucoside と決定された. これは新物質であるので, 著者等は原配糖体を fiavocommelin, そのアグルコンを favocommelitin と命名し, それぞれの構造決定に至る経過を記載した。
  • 小倉 長雄, 高宮 篤
    1966 年 79 巻 940-941 号 p. 588-594
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    クロロフィラーゼは水溶性の状態としては抽出されにくく, 界面活性剤やブタノール等で処理をおこなった後にはじめて抽出されていたが, 茶葉では次の様にしてアセトン粉末から水や緩衝液で容易に抽出される. 新鮮な茶葉をアセトン (濃度 80%) と共にブレンダーで破砕してアセトン粉末を得る. この粉末に蒸溜水又はM/100燐酸緩衝液 (pH 7) を加えて抽出を繰返すと, 粉末中に含有されていた酵素の約 85% が容易に抽出されてくる. この抽出液から硫安濃度 10~70% 飽和で沈澱してくる部分を集めて, これを蒸溜水でとかし, 純水中で透析し酵素液として使用した. 反応は純粋なクロロフィル (a+b) の 50% アセトン溶液中でおこない, 40°で30分間反応させた後一定量の反応液をとり残存クロロフィルを石油工一テル層に移して吸光度を測り, この減少よりクロロフィルの分解を測定した. 酵素反応の条件としては, 反応液のアセトン濃度は 50% が最もよく, 80% 以上では働かない .又 20% のアセトン液中でも働く. メタノール等の溶媒中では反応はおそい. 作用温度は50°がよく, 温度に対しては比較的安定で80°, 2分の熱処理でも活性は残っている. 基質濃度に対する反応速度や酵素濃度の影響等については前に報告されたものとほぼ一致した.
  • 長谷川 正男, 代谷 康
    1966 年 79 巻 940-941 号 p. 595-601
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    Prunus 属の材では, 心材と辺材との境界領域で, フェノール性物質が堆積する. ソメイヨシノの材を用い, ラベルしたシヨ糖を師部に与えた結果, 放射性物質の内部への移行は放射組織を通ることをミクロラジオオートグラムで検出した. この際内部へ移動する物質はシヨ糖であろう. 放射能の分布から, 境界の領域においては, その場所で遊離のフラボノイドが生産されると推察できる. したがって最後まで残存しているシキミ酸-酢酸系の代謝に関連した呼吸がシヨ糖の移動を引きおこすのであろう.
  • 下郡山 正巳
    1966 年 79 巻 940-941 号 p. 602-607
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    カラタチの葉にはフラバノン配糖体のポンシリンとその異性体 (ネオポンシリン) および量は少いが同じくフラバノン配糖体のナリンギンとこれと構造が対応するフラボン配糖体のロイフォリンとが見出される. 互に関連をもつこの4配糖体の含量は葉の展開にともなって単調に減少するだけである (Fig. 1). ポンシリンとネオポンシリンとはFig. 2に示したメカニズムでアカセチンの配糖体であるリナリンとフオルツネリンとに誘導することができた (吸収曲線をFig. 3に示す). しかし, この反応でナリンギンをロイフォリンに誘導することは困難であって, 誘導されやすいリナリンとフォルツネリンとはペーパークロマトグラフィで探索したが葉には検出できなかった.
  • I. エンドウの芽生えにおけるリジン代謝中間物質のクロマトグラフィーによる検索
    畑中 信一
    1966 年 79 巻 940-941 号 p. 608-618
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    リジンの生合成および分解の機構は, 微生物, 特にその突然変異株や動物を材料とし, アイソトープや酵素化学的方法で詳細に研究されている. リジンは多くの高等動物では必須アミノ酸の1つであるが, リジン合成能をもった諸生物群は, このアミノ酸をα, ε-ジアミノピメリン酸を通る径路で合成するものと, α-アミノアジピン酸を経てつくるものに分けられ, 進化学的にも興味ある問題を提起している. 著者は1962年 Virtanen と共に, 若いエンドウの芽生えに一時的にあらわれるアミノ酸を単離し, これをα-アミノアジピン酸と同定した. Α-アミノアジピン酸は上記のように, リジン生合成の1径路の中間産物であるばかりでなく, 動物や微生物ではひろくリジンの分解の場合にも生ずると考えられている. また Fowden が Acacia の仮葉でおこなった実験もこのことを裏づけている. そこでエンドウからわれわれが単離し同定したα-アミノアジピン酸が同様にリジン代謝中間産物であるかどうかを確認し, さらに14C-リジンをエンドウに加えた場合, どのような物質がラベルされるかを観察し, 一般に考えられているリジン代謝径路と比較検討することを目的として実験をおこなった. 本論文はその第1報である. エンドウの種子を14C(U)-L-リジンを含む水に浸して吸水させたもの, さらにこれをシャーレに播き25°±1°の暗所で3日および5日培養したものを, それぞれエタノールで抽出し, イオン交換樹脂を用いて“.ミノ酸分画”. “有機酸分画”. “糖分画” をとり, また別の試料を2,4-ジニトロフエニルヒドラジンで処理し, ケト酸を2,4-ジニトロフエニルヒドラゾンとした. ペーパークロマトグラフィおよびイオン交換クロマトグラフィにより, 各分画からラベルされた物質を分離し, その性質を調べた. 1. “アミノ酸分画”. 吸水種子では, 吸収された14Cのほぼ1/3の活性があり, すでにα-アミノアジピン酸とグルタミン酸への14Cの急速なとり込みがみられ, さらに未同定の1物質へも14Cが高い放射比活性でとり込まれることがわかった. 3日および5日後の芽生えでは, 他の多くのアミノ酸へのとり込みがあらわれる. 未同定の物質は, 今のところ, 一般にリジン分解の中間産物と考えられているもののいずれとも一致しない. 2. “有機酸分画”. 吸水種子および3日目の芽生えで, 3種の物質へのとり取みがみられ, そのうち1つはいずれもリジン分解産物と考えられているグルコン酸あるいはグルタコン酸と一致する. 有機酸として認められるのはクエン酸, リンゴ酸, コハク酸などであるが, ペーパークロマトグラムでは上の3種の標識化物質の位置には, 恐らくこれらの物質が極めて微量なため有機酸の反応が見られない. 3. “ケト酸分画”. 吸水種子のケト酸としてはα-ケトグルタル酸, オキザロ酢酸, ピルビン酸が検出され, 14Cのとり込みがあった2つのピークのうち活性の低い方はα-ケトグルタル酸と一致するがさらに検討を要する. 活性の高い方の物質はα-ケトアジピン酸とも一致せずまだ同定にいたらない. 以上の実験事実からわれわれがエンドウの芽生えからえたα-アミノアジピン酸は他の材料でみられたと同様に, リジン分解産物の1つであることが確められた. 他の中間物質の同定は植物のリジン代謝を知る手がかりを与えると考零られるので, 最近報告されたリジンアシル化化合物の可能性も考慮にいれつつ現在さらに実験中である.
  • 山田 晃弘
    1966 年 79 巻 940-941 号 p. 619-625
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    発芽時のヒマ (Ricinus communis) 種子の胚乳から得られた 3,000g 沈殿顆粒, ミトコンドリア顆粒(12,000g 沈殿), ミクロゾーム顆粒 (105,000g 沈殿) および上澄分画 (105,000g 上澄) における脂肪酸生合成能を acetate-1-14C から長鎖脂肪酸への放射能のとり込みによって測った. その結果, 脂肪酸の生合成能 (分画の単位タンパク量あたりの活性) は3,000g 顆粒がぬきんでて高く, 他の分画では非常に低い. この点, ミトコンドリア顆粒に局在する, 成熟時のヒマ種子の脂肪酸合成能と異なる. そればかりでなく, 発芽種子の 3,000g 顆粒は成熟種子のミトコンドリア顆粒と代謝経路の点でも差異がみとめられる. 発芽種子の 3,000g 顆粒では, 1)最大の脂肪酸合成能を得るには, CoASH, ATP, MnCl2, KHCO3, NADH および NADPH 発生系を添加する必要がある, 2) 嫌気条件下では脂肪酸合成能がかなり低下する, 3) 生成長鎖脂肪酸-14C として, palmitoleic acid (C16:1, Δ9), palmitic acid (C16:0) およびvaccenic acid (C18:1, Δ11) が多い. これらの事実から 3,000g 顆粒による酢酸から長鎖脂肪酸への生合成系として次の経路が示唆される. Acetic acid-→<CoASH>acetyl-ScoA-→<CO2>(malonyl-SCoA)→→→ palmitate -→<O2>palmitoleate-→<C2>vaccenate
  • 長谷川 正男, W. E. HILLIS
    1966 年 79 巻 940-941 号 p. 626-629
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    ユーカリプタス ダンダジー (Eucalpytus dundasii) の葉には, さきにわれわれがユーカリプタス サイデロキシロン (E. sideroxylon) に含まれる第三の配糖体と呼んだ物質が多量に含まれている. 今回,これをアセテート (融点 152-3°) として純粋にとり出した. NMR, IR, UV スペクトルおよび, 元素分析から, もとの物質は3,5,3',4'-テトラハイドロオキシスチルベンの配糖体と考えられ, 加水分解の結果, 3,5,3', 4'-テトラハイドロオキシスチルベンとブドウ糖とが同定できたので, 原配糖体にアストリンジンという名称を与えた.
  • 森田 茂広
    1966 年 79 巻 940-941 号 p. 630-633
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    1) 紅色細菌 Rhodopseudomonas spheroids の 550mμ に吸収をもつチトクロムを硫安分画とイオン交換樹脂 XE64 のカラムクロマトグラフにより精製した. さらに結晶化により純化を進めた. 2) 結晶チトクロムについて測定した結果, 550, 523, 418, 317 および 278mμ 波長に吸収の極大をもち, モル吸光係数は 550mμ で 28×103, 418mμ で130×103 であった. 酸化還元電位は 0.346 Volt (pH.7.0, 20°), 分子量は 1.3×104, 等電点は pH7.9 であった.
  • 前田 昌徹, 黒田 和子, 入来 義彦, 千原 光雄, 西沢 一俊, 三輪 知雄
    1966 年 79 巻 940-941 号 p. 634-643
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    1) Vaucheria (フシナシミドロ) 属2種および Dichotomosiphon tuberosus チョウチンミドロから, それぞれ細胞膜の骨組みをなすと考えられる物質を「粗繊維」として分離し, その化学的性質を調べた. 2) フシナシミドロの主細胞膜物質がセルロースであることを酢化分解など, 主として化学的手段によって確認した. 3) チョウチンミドロでは, 主細胞膜を構成する物質はキシランであった. このキシランは, 化学的構造の点でイワヅタ, ハネモ, サボテングサ, マユハキモの主細胞膜をつくっているキシランと同一であった. 4) これらの結果は, はじめフシナシミドロ科に入れられていたチョウチンミドロを, この科からはずすべきであるとする見解を証拠だてるものと思われる. 5) 主細胞膜物質として, フシナシミドロにはセルロースが存在し, クダモ目 (Siphonales) にこれが欠けていることは, フシナシミドロをクダモ目からはずす考え方に対する証拠をさらにつけ加えるものである.
  • 阿久津 圭三, 今関 英雅, 瓜谷 郁三
    1966 年 79 巻 940-941 号 p. 644-653
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    カンショが黒斑病菌の浸入をうけると, 直接菌糸の浸入をうけた組織が黒変化するとともに, これに隣接した一見健全とみられる部分 (隣接健全部) においていちじるしい代謝の変化がみられ, この部分における呼吸量の増加もその一例である. これらの代謝の変動は, 菌の侵害に対する宿主組織の抵抗反応と密接な関係にあることが考えられる. 抵抗反応の差異は, 病理学, 育種学的立場からいわれる, いわゆる抵抗性あるいは罹病性品種においてもみられるものであり, これらの品種間における代謝変動の比較的研究は抵抗反応の本質を知る一つの手がかりになるものと考えられる. 呼吸は組織におけるあらゆる反応の綜合的結果を現わすものと考えて4品種のカンショ, 農林10号, 1号, 4号, 5号について実験をおこなった. 黒斑病菌に対する抵抗性は10号>1号>4, 5号の順である, 輪切りにしたカンショの切口に病菌の胞子を塗布し30° で好気的条件下におく. 24時間毎に切片をとり出し, 感染した輪切り切片から円筒形に組織を切り抜く. これをさらに感染表面から0.5mmの厚さに切って円板状組織片をつくる. 同じ深さの所から得られた組織片をあつめ, 通常のワールブルグ型マノメーターを用いて酸素吸収量を測定した. 1) 輪切りにしたのみで菌接種をおこなわなかった対照区においても24時間内に新鮮組織の2~3倍の呼吸増加がみられたが, 24時間以上たっても, 増加量の変化はみられない. これに反し罹病したものでは時聞とともに呼吸量増加が大きくなった. 2) 呼吸増加の時間的経過を層別にみると (第1図), 第一層 (最外層) は抵抗性品種(10, 1号) では24時間で増加が停止するが, 罹病性品種では増加が続く. 3) 内層の組織片では, 抵抗性品種の場合72時間目に呼吸量増加の山があり, 96時問目には下りはじめる. しかしこのような呼吸量の減少は, 罹病性品種ではみられない. 4) 観察された酸素吸収量から, 切断のみでも増加する酸素吸収量を差し引いたものは, 感染のごく初期では, 罹病による変化のみが現わされていると考えることが出来る. 第2図にみられるように抵抗性品種では呼吸増加が24時間ですでにおこっているが, 罹病性品種では24時間後にはじめて増加がはじまる. 5) 呼吸増加のもようを組織の深さの関数としてみると, 第3図のように内層に入るにしたがって減少してゆくが, 新鮮組織と同じ水準までは下らない. 6) 抵抗性品種では増加の山が第3層にあり, その値はつねに第1層よりも高い. 罹病性品種では第2層にいちぢるしい減少がみられ, 第3~4層でふたたび増加しているが, この値はつねに第1層の値よりもひくい. これらの結果からつぎのようなことが考えられる. 抵抗性品種では感染と同時に代謝変動が開始され, 抵抗反応がすみやかにはじまる. 約3日間で抵抗反応は完了し, 平常の代謝状態へもどる傾向にある. 一方罹病性品種ではこの抵抗反応がおくれるために, より深い菌の侵入をゆるし, したがってより内層まで代謝活性化が, より長い間続く. 品種間による病菌抵抗性の差異は生化学的にも差異のあることをしめし, 抵抗反応が生化学的レベルでおこるものであることを示唆している.
  • 西田晃 二郎, 玉井 直人, 梅本 利彦
    1966 年 79 巻 940-941 号 p. 654-659
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    ホウレンソウの葉から0.4Mショ糖 (0.05M Tris-HCl, pH7.5) 中にとり出された葉緑体の膨潤におよぼす温度の影響を暗所で調べ, 次の如き結果を得た. その結果をもとにして温度の影響に対すそ考察をおこなった. 1. 0°および10°では, 実験中 (45分間) ほとんど膨潤しない. しかし, 温度の上昇にともたって容積が増加し, 50°では0°のものに較べて容積が3~4倍に達した. 2. このような膨潤は外液のpHの影響を顕著にうける. すなわち, pH5.0では温度を上昇させてもほとんど影響をうけないが, 外液がアルカリ性に傾くにともない膨潤が促進される. pH8.5では52°において約4.3倍に達した. 3. ショ糖以外の溶液に懸濁した場合, CaCl2 溶液中では温度の変化とは無関係に容積がほぼ一定に保たれた. しかし, KCl, NaCl 溶液中では温度の上昇にともない膨潤が顕著に起った. 4. ATP, Mg++ を加えると熱による膨潤が抑制された. これに牛血清アルブミンを加えると, 抑制の効果はさらに著しくあらわれた.
  • 市川 比良久
    1966 年 79 巻 940-941 号 p. 660-664
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    ダイチョウキンのコリシン耐性はコリシンの種類によって特異的であるが, コリシンE群の一つに対して耐性をもつものは, 同時にE群に属する他のコリシンおよびフアージBF23に対しても耐性をもつことが知られている. ダイチョウキンK-12からコリシンE1の耐性菌が得られたが, この菌は従来の耐性菌と異なり, E2, E3およびBF23に対して耐性を示さない. この耐性がどのような機作によって生ずるものであるかを確かめるために, 多くの細菌の系統について, コリシン耐性, acriflavine, methylene blue に対する耐性を調べたところ, E1の単独耐性菌だけが, これらの色素に感受性をもつことがわかった. さらにこのE1単独耐性菌は actinomycin D, malonic acid, sodium azide では生長阻害を受けないが, 2,4-dinitrophenol, proflavine, chloramphenicol, acridine orange では生長阻害を受けることがわかった. なおE1単独耐性菌の耐性は, 原形質膜になんらかの変化を生じたために獲得されたものであろうと推定された.
  • 浸透調整の問題について
    大槻 虎男
    1966 年 79 巻 940-941 号 p. 665-673
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    ガラス菌その他が高浸透圧培地に培養された場合に, 菌糸細胞はその浸透圧を高くして, これに適応することは, 前に数回にわたって報告された. このとき浸透調整がいかにしておこなわれるかを知るために塩類の透過性に関して諸実験をおこなった. 1. 1本の菌糸にも基部には古い細胞があり, 活力とぼしく, あるものはすでに死んでいる. 先端に近いところに若い活力に富む細胞がある. 実験は先端に近い細胞についておこなわれた. 2. 原形質分離型は不規則であるが, 凹面型が主として観察された. ひどく分離したとき凸面型をとり, このときは死を招くことが多い. 3. 分離細胞を水にもどすと, 原形質分離回復が起こる. これによって実験に供した菌糸細胞の生死を確かめた. 4. ガラス菌を高張溶液に浸し, 分離を起こさせると, しばらくして回復が起こってくる. これは塩類が細胞内に浸入したことを示す. コウジカビ, クロカビは回復に長い時間を必要とする. また硫酸塩は食塩より長い時間を要した. 5. 食塩の透過については銀反応を利用してその存在を顕微化学的に証明した. 6. 過度の洗際は菌糸細胞内の塩の外浸透を起こし, 不正確な結果を招くことを, 塩の定量をすることで明ちかにした. 他の著者らとの結果のちがいがここに原因することを論議した.
  • 衣川 堅二郎
    1966 年 79 巻 940-941 号 p. 674-686
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    野外で採取したオオハリガネゴケの胞子を無機塩培地にまき, 昼光色螢光燈下25°で培養して発芽とその後の生長の型とを観察した. また, 数種の培養条件に関して発芽率と原糸体の生長を測定した. 胞子は培養液に浮べた瞬間に膨潤し2~4日の間に発芽する. 第1回目の細胞分裂は普通発芽管の基部でおこるが, 条件によっては (例えば比較的高い培養液濃度) 発芽管が出るまでに胞子の中で2回ぐらい分裂することがある. 若い原糸体の生長は先端の細胞の伸長と分裂とだけでおこり, その細胞の先端附近に伸長帯がある。発芽後しばらくの間生長する原糸体はChloronema型であるが, あとになるほどRhizoid型の性質を帯びた部分が生じてきてChloronemaとPrimary rhizoidを明らかに区別することはできない. 原糸体の細胞は始めにできたものよりあとにできたものほど太く長くなる傾向があり, Rhizoid型の特徴が増える傾向と大体一致している. 空中原糸体は負の屈地性をもつほかはRhizoid型の特徴が多くみられる. 寒天培地の内部へ斜めに進入してゆく原糸体は細胞の上側でのみ分枝する. これは背腹性の一種を示すものであろう. 発芽も生長も連続光下または長日条件下でおこる.1963年産の材料では発芽の限界日長は約12時間にあったが, 1965年産の材料では約4時間であった. 全暗黒の条件下では糖を与えても発芽しない. 連続光で培養するとき発芽は20Luxでわずかにおこり480Lux以上で最高値に達する. 生長は240Lux以上で良好であった. 温度の最適域は21°と25°との間にあった。培養前のpHを調整したとき,発芽も生長も5 から9の間でよくおこり, 生長にもっとも都合のよい範囲はアルカリ側にあった. KCl, KNO3, NaCl, NaNO3の単独塩溶液では発芽も生長も5×10-3M以上で阻害される. しかし, Ca(NO3)2またはCaCl2の溶液では発芽は1.25×10-1Mでも阻害されない. 胞子が発芽し原糸体をのばし蘚体を生ずるに至るには少なくとも培養基中にCa(NO3)2, K2HPO4とMgSO4•7H2Oがあればよく, 最適濃度はそれぞれ×10-3, 1~5×10-3, 1×10-3Mであった. 有機酸類には発芽も生長も促進するものが多いが, ピルビン酸と吉草酸はいちじるしく阻害的であった. IAAは10-2~1PPmで生長を促進するがジベレリンは10-3ppm以上で阻害的であった. また, IAAとジベレリンとの共働効果はみられなかった. 室温で胞子を貯蔵するとき, 発芽率は3年目の終りになって急に落ち, 4年目にはまったく能力を失なった.
  • 長尾 昌之, 岡上 伸雄
    1966 年 79 巻 940-941 号 p. 687-692
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    発根させたシユウカイドウ切枝にジベレリンの生合成を阻害するといわれているCCCを与え, これが地上塊茎の形成•休眠におよぼす影響を調べた. CCCは培養液または芽に与えた. CCC処理は短日下での塊茎形成を促進し, 塊茎が休眠に入ることを抑制した. この結果は, ジベレリン処理の実験からわれわれが得ている見解, すなわち体内ジベレリン含量が塊茎の形成•休眠の誘起を左右する一要因であるという推測を支持する.
  • I. 狭い領域における不和合性因子の分析
    Philip G. MILES, 武丸 恒雄, 木村 劫二
    1966 年 79 巻 940-941 号 p. 693-705
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    本論文は, 地球上におけるスエヒロタケの自然集団にみられる不和合性因子の生成, 分布, 数などに関する一連の研究の第1報である. 今回は, 岡山大学構内の半径220mの円形領域から採集した15菌株の子実体について, 各菌株における交配型の決定, 組換型交配因子の検出, 各菌株間における不和合性因子の相互関係などについて分析をおこなった. スエヒロタケの交配系は且,B2対の不和合性因子によって支配され, 両因子の自由な組合せによって1菌株につき4種類の交配型を生ずる. また, これらの不和合性因子はそれぞれ複数の遺伝子座から構成されているため, 各座間の組換えによって新しい因子が作られる. 今回分析した15菌株のうち9菌株においてこのような組換型A因子が検出された. 組換型B因子は出現頻度が低く, わずか2菌株において検出されただけであった. これらの因子内組換型を親型と交配し相互の関係を調査したところ, 親型と同一のA因子をもつ組換型が2例見出された. このことは自然集団中に因子内組換型のものが実際に分布していることを示し, 自然集団における不和合性因子生成に関して因子内組換えが一つの原動力として働いていることを示唆するものであろう. 上記15菌株から, それぞれの交配型を代表する親型30系統 (各菌株から2系統ずつ) を選び, 各菌株間における不和合性因子の相互関係を分析した. この場合, 各菌株間に共有される因子がなければA, B両因子ともそれぞれ30ずつ存在するはずである. しかし実際には菌株間に共有の因子が見出され, 結局相異なる24のA因子と24のB因子が検出された. この数値をRaper5)の式にのせて自然集団中における不和合性因子の数を推測すると, 72のA因子と62のB因子の存在が期待される. 本研究で得た上記のデータについて, 他の研究者による類似の研究と比較しつつ考察をおこなった.
  • 神谷 宣郎, 黒田 清子
    1966 年 79 巻 940-941 号 p. 706-713
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    ホソエガサ (Acetabularia calyculus) の若い主軸ではいわゆる多条型原形質流動がみられる. 本研究では, このような材料を縦にまたは横に遠心処理した際に, 流動原形質がどのように行動するかを遠心顕微鏡下で連続的に追跡し, またその回復過程をしらべた. 適度の遠心処理によって, 流動原形質と葉緑体は細胞の遠心端に集まるが,薄い外質層の内面に縦に平行に走るゲル状の細い線条は残る. 流動は常にこれらの線条に沿ってのみおこる. 遠心処理によってこれらの線条からはずれた部分は連続した糸となって一時的な液胞横断原形質糸を形成する. これらの糸は細胞外に遊離した原形質のつくる糸と運動に関して同様な行動をとる. 車軸藻類の細胞でくわしく観察された運動性繊維に対応すると思われる繊維構造は, まだカサノリ類では見出されていないが, この場合にもそのような運動性繊維の存在を仮定することによって種々の観察結果が理解される.
  • 今村 駿一郎, 村松 幹夫, 北条 慎一, 滝本 敦
    1966 年 79 巻 940-941 号 p. 714-721
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    種々の長さの暗期を7回与えた場合の限界暗期は木立, テンダン,紫, 紫覆輪,ネパールの順に長くなり, アフリカでは14時間の暗期を7回与えても花芽をつけない. 始め挙げた4系統は暗期16時間の短日1回で100%花芽をつけるが, ネパールでは2回アフリカでは10回を要する. 反応性を異にする2系統を呼び接ぎして, 1. テンダンの葉-テンダンの芽, 2. テンダンの葉-ネパールの芽, 3. ネパールの葉-テンダンの芽, 4. ネパールの葉-ネパールの芽の4つの組合せを作り, 短日処理すると1は沢山め花芽をつけ, 4は花芽をつけず, 2および3は少数の花芽をつける. この事から暗期に対する反応性の弱い系統では一定の長さの暗期中に葉の中に成立する刺激も弱く, 同一刺激に対する芽の反応も弱いことが判る.
  • 光合成活性と生育段階との関連および摘芯処理の光合成活性におよぼす影響
    藤茂 宏, 和田 喜徳, 砂口 博志, 大森 護
    1966 年 79 巻 940-941 号 p. 722-732
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    1) Infra-red gas analyzer (Liston-Becker Model 15A) を検出器として用いた測定装置を組み立て, タバコ植物の光合成活性と生育段階との関連および摘芯処理の光合成活性におよぼす影響をしらべた. 実験材料としては次の3栽培品種のタバコを用いた: ホワイトバレー種, ブライトイェロー種および備中種. 2) 得られた知見の主なものは次の如くである. (a) 生育段階の進行に伴なう個体当りの全光合成活性の消長は単調な経過ではなく, 最大生長期から成熟期にかけて2乃至3の山を示した. (b) 単位葉面積当りの光合成活性は個体当りの全光合成活性が最高値を示す時期よりももっと早く, 移植後50日ごろに最大であった. その後, 次第に低下し, 成熟期に再び若干の回復を示すことが認められた. (c) 摘芯処理の影響はホワイトバレー種とブライトイェロー種の場合は顕著に認められたが, 在来種の備中種ではほとんど認められなかった. 3) 生育段階の進行に伴なう光合成活性の消長および摘芯処理の影響について論議した.
  • 予報
    山本 昌木, 広沢 敬之
    1966 年 79 巻 940-941 号 p. 733-735
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    Phytophthora infestans 菌胞子は, 電子密度の高い厚い細胞壁で囲まれ, 細胞質中には, 3.5-4.0×2.0-3.0μのいくつかの核, 0.5-1.3×0.4-0.6μの多数のミトコンドリア, 内部に顆粒をもついくつかのベシクル, リピドと思われる電子密度の高い顆粒, エンドプラスミック•レティキュラム (ER), 液胞などが存在する. 10-12°の水に3時間浸した胞子では, 大部分のベシクルにおいて内部の顆粒が認められなくなるとともに液胞の数と大きさが増加してくる. また細胞質のぬけた胞子が多く観察され, 遊走子と考えられる細胞壁を持たない裸の原形質も認められた.
  • I.生長点の生長周期と構造
    塙 順
    1966 年 79 巻 940-941 号 p. 736-746
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    アカマツ生長点の生長にともなう季節的変化を調査した. 材料は東京の林業試験場内にあって, 良好な生育を示している比較的に若い (7~8年生) 木から採取した. アカマツ生長点の生長周期は3時期に分けられる. すなわち, (1)休止期 (9月下旬より3月下旬まで), (2) 伸長期 (4月始めより6月初~中旬まで), 及び (3) 新芽形成期 (4月末より9月初~中旬まで). したがって, 翌年の伸長のための新芽の形成は, 未だ伸長が続いているときに始まる. しかし, 伸長が続行しているときに形成されるのは少数の鱗葉のみで, それらの葉腋には側芽を生じない. 葉腋に側芽 (その大部分は短枝となる) をもつ鱗葉が盛んに生産されるのは7月始めから9月始めにかけての2ヵ月間である. 実質的な新芽形成はこの期間に起る. この間に生ずる鱗葉数は, 若い生育の盛んな枝の生長点では, 150ないし250に達する. 従って平均のプラストクローンは1/3~1/4日と見積られる. 生長点の分裂組織は, (1) 頂端始原細胞群, (2) 中央母細胞群, (3) 髄状分裂組織及び (4) 周辺組織の4部分より成る明確な組織帯構造を示す. この組織帯構造は, 芽の伸長する時期に少しく明確度が低下するが, 本質的には同一の構造が生長周期を通じて持続する. しかし生長点の形と大きさは生長の各期に応じた変化を示す. 休止期には生長点は低いドーム状で, 高さと太さとの比(H/D)は約0.35である. 伸長期の前半には変化なく, 後半に至って大きさは急に増大しH/D比も上昇する. 形成期には突出した形状となりH/D比は0.52となる. 周辺組織帯の厚さも形成期には生長点の太さの増加よりも高い率で増加するため, 周辺帯の厚さと生長点の太さとの比は, 休止期の0.17から形成期の0.21へと増加する. しかし他方, 生長点の高さの代りに, 分裂組織の深さ(P)として, 生長点の先端から髄状分裂組織の下限までの距離をとって, それと生長点の太さとの比(P/D)をしらべると, この値は季節的変化を示さず, 一年を通じてほぼ一定(PD〓0.6)である. これは, 休止期に生長点が低いドーム形を取るときには, 分裂組織が内部に深く後退するためであって, このことから頂端分裂組織の実体は年間を通じて不変に維持されていると見ることができる.
  • 原 襄, 駒嶺 穆
    1966 年 79 巻 940-941 号 p. 747-758
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    この研究は駒嶺ら1-4) によるハッショウマメの黄化した芽ばえの上胚軸を切断することによって生ずるカルスの生理学的研究の解剖学的基礎としておこなった. 比較のため, 野外で育てた正常の上胚軸の観察もおこなった. 黄化した場合も, 正常の場合も, 苗条 (shoot) における前形成層と篩部の分化は葉の形成に関連して, 求頂的 (acropetal), 連続的であるが, 木部は不連続的分化を示す. 維管束組織などの木化は, 正常に育てた上胚軸では黄化したものより著しい. 黄化した上胚軸の先端の屈曲部 (plumular hook) から少し下の位置で, 一次組織はだいたい分化が終り, この段階で前形成層は柔組織化した小さい細胞群になる. 形成層の分化は, 屈曲部から3.5-4.5cm下のところではじまる. 正常の場合, 前形成層から形成層にかけては連続的移行がみられ, その間に柔組織化した段階をはさまない. 黄化した場合と, 正常の場合との相違は, 前形成層から形成層への移行を解明する上に重要な手がかりとなろう. 駒嶺らの研究によると, 黄化した上胚軸の屈曲部の下1cmぐらいのところまでは, 上胚軸を切断してもカルスを生じないが, 4cmぐらい下からは極めてよく生じることが知られている. このことと, 形成層の分化とは極めて密接な関連を示している.
  • 安藤 久次
    1966 年 79 巻 940-941 号 p. 759-769
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    1896-1898年に Müller により記載された中国陜西省産セン類中, Cupressina 属 (不法名で現在は使用されていない) として発表された9種について再検討をおこない, 次の結果を得た. 1. Cupressina leptothalla, C. leucodontea, C. tereticaulis: これら3種が同一 (C. leptothalla) であることはすでに指摘されているが, その所属については疑問の点が多かった. 野口 (1958) が取扱ったように, Homomallium 属 (ハイゴケ科) に入れるのも一法かも知れないが, それとはかなり違った点が少なくなく, また, その他の既知属には該当するものがみつからないので, 筆者は本種のため新属を設けることにし, ここに Eurohypnum (「東洋のハイゴケ」の意) と命名, 発表した. 2. C. alaris, C. sinensi-mollusca: Brotherus (1925) が指摘したように両者が同一種であることを再確認すると共に, それらが東亜にごくふつうに産する Hypnum plumaeforme の一型にすぎないことを確かめた. 3. C. minuta: 本種は, 北半球の周極地域に分布する Hypnum hamulosum にもっとも近縁であるが, 葉がそれよりも狭長で, 葉細胞もはるかに長い. Hypnum の種として取扱うとすれば, Hypnum minutum(C.M.) Paris (1900) なる学名が適用されるわけであるが, それにはあいにく, 先行する同音名があるので, ここに新しい種小名を与えて, H. shensianum と改名した. 4. C. ulophylla: 北米の Hypnum subimponens に極めて似ているが, 中肋がより顕著で, 〓胞がやや小さい. しかし別種とするほどの相違は見られないので, H. subimponens の亜種として取扱うことにした. 従来, 日本, 朝鮮, 台湾から H. subimponens として報告されていたものは本亜種に相当する. 5. C. filaris: 本種は, 世界に広く分布し著しい変異を示すことで有名な Hypnum cupressiforme の一型 (痩長型) にすぎない. 6. C. turgens: 一見 Hypnum のようであるが, 葉の形態は明らかにGollania 属の特徴を示しているので, Gollania turgens の新組合わせをおこなった. 同じく陜西省から発表され, 後アラスカにも分布することが知られた Gollania densepinnata Dix. (1928) は本種と同じものである.
  • 葉に含まれる新配糖体イデシンの構造
    久保田 尚志, 津野 敬子
    1966 年 79 巻 940-941 号 p. 770-774
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    イイギリ (Idesia polycarpa) の生葉より, ピロカテコールと4種の新フェノール性配糖体が単離された. このうちイデシンと名づけられた融点98-100°の苦味配糖体は, 主成分であり, 2-β-glucosyl-3-hydroxybenzyl alcohol の構造を持つことが明らかにされ, このことは, 合成により確かめられた.
  • 植田 利喜造, 加賀 綾子
    1966 年 79 巻 940-941 号 p. 775-782
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    1. 植物の花, 果実, 葉などの器官を切断, あるいはブレンダー破砕によって得られる褐変現象を組織学的細胞学的に研究した. 2. 植物の各器官とも褐変度は維管束系においてもっとも強く, 表皮系と基本組織系では弱かった. そしてこれは空気や温度によって影響された. 3. 細胞内における褐変度は概して核や細胞質で高く, プラスチドや細胞壁では低かったが, 植物の細胞によってはプラスチドや細胞壁が, より強く褐変するものもあった. 4. 組織や細胞の褐変度の強弱の原因などについて論議された.
  • 藤田 安二
    1966 年 79 巻 940-941 号 p. 783-790
    発行日: 1966年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    Asarum hetrotropoides Fr. Schmidt has great kinship to A. Sieboldii Miq. The latter and A. heterotropoides var. mandshuricum Kitagawa are both differentiated from this species. And A. Sieboldii var. pubinervis F. Maekawa may be an intermediate betweenA. heterotropoides and A. Sieboldii.
    A. Sieboldii var. cineoliferum Fujita in south-western Japan was formed by the isolation with Fossa Magna. The characteristics of this variety are the occurrence of cineole and the absence of eucarvone in essential oil.
    All species of the subgenus Heterotropa in Japan are differentiated somewhat later and the species which contain elemicine are considered to be derived from the one containing safrol and eugenol.
    A. canadense Linn. of North America which affords the essential oil containing d-linalool, geraniol and l-α-terpineol together with eugenol and methyleugenol is probably a mother species of this genus. A. caudatum Lindl. and A. europaeum Linn. are supposed to arise from this species successively.
    Subgenus Hexastylis in the North America, subgenera Asiasarum, Japonasarum and Heterotropa in the Eastern Asia are all considered to be radiated from the subgenus Euasarum Through A. canadense separately.
feedback
Top