植物学雑誌
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80 巻, 947 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 深見 悌一, A. C. HILDEBRANDT
    1967 年 80 巻 947 号 p. 199-212
    発行日: 1967年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    ニンジンの根, キクヂシヤの胚芽, レタスの葉柄, レタスの茎, パセリの葉柄及びホウレンソウの葉柄から由来した6つのカルス組織を用いてその生育と葉緑素生成に関する培地栄養成分の影響を研究した. 修正ホワイト培地 (タバコ高塩濃度培地) を基礎培地として用いた. 一般的に言ってこの培地ではこれら組織に対して充分な生長あるいは充分な葉緑素形成は行なわれなかったが, 糖の代りにココナツミルクをこの培地に加えるとその生育及び葉緑素形成はよくなった. ココナツミルク, インドール醋酸, カイネチンを含むこの基礎培地に100mg/lのチアミン塩酸塩, 10mg/lのアスコルビン酸, 及び1g/lのカゼイン加水分解物の添加は生育及び葉緑素形成に効果があった. この種類の培地で数回の植え継ぎをした結果, ホウレンソウのカルスが最大の葉緑素含量 (未乾燥カルス重量g当り73.3γの値) を示した. 培地中の糖含量を制限した条件で明所及び暗所で培養した生育について三種の修正タバコ高濃度培地を用いて研究した. 一般的に言ってカルス組織の生育は培地巾の糖含量に依存した. そうしてカルスの生育は培地中に糖が存在すれば暗所でも明所と同程度に生育した. また糖の欠乏状態では明所において葉緑素をもつカルスの塊は遅い速度で無機栄養的に生育した.
  • 滝本 敦
    1967 年 80 巻 947 号 p. 213-220
    発行日: 1967年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    既に発表した多くの実験結果1,2)から, アサガオにおいては光中断に有効な光と近赤外光の作用を消却するのに必要な光は別種の色素系に吸収されて作用するものであろうと考えられる. 本実験では, これら二つの光反応および暗期前に与えた弱光の開花抑制作用に対する波長特性を調べた. 赤 (600-700mμ), 緑 (500-600mμ), 青 (400-500mμ) 及び白 (400-700mμ) の光を12:30: 1000:30の比率の強さで与えると, これらの各波長光は, 上記いずれの光反応に対してもほゞ同様の効果を示すので, この実験に関する限り上記いずれの光反応も同一色素系を介して起るものと考えられる. しかしこの考えは既に発表した多数の実験結果に相反するのでこの点に関する議論を行った. 強い青色光は光中断に対しても又近赤外光の作用を消却する作用に対しても, 弱い赤色光と同じ働きをするが, 暗期前長時間照射を行うと開花抑制的に働き, しかもこの抑制作用は短時間の赤色光照射で同復される. この場合, 青色光は近赤外光に似た働きをする.
  • 松田 忠男
    1967 年 80 巻 947 号 p. 221-229
    発行日: 1967年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    1. 山梨県南巨摩郡身延町身延山のシロヨメナAster ageratoides subsp. leiophyllus に過剰染色体をみいだした. 採集した98株のうち約50%は1-6個の過剰染色体をもっていた.
    2. 本種の過剰染色体は, 多型的で, 体細胞分裂前期および中期の形態の差異から6型に区別された.
    3. 花粉母細胞減数分裂で, これら各型の過剰染色体は互いに対合した.
    4. 過剰染色体中長さが二番目で, 一次狭窄をsubterminalに持つものが本種のstandard accessory chromosomeである. その他の過剰染色体はstandardからのderivativeとみなされる.これらの分化について論議された (Fig. 6).
  • 児玉 明
    1967 年 80 巻 947 号 p. 230-232
    発行日: 1967年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    1) ハンノキ属の3種, ヤマハンノキ, ヤシャブシおよびヒメヤシャブシの根粒および根端の染色体を観察した.
    2) 観察した3種の根粒細胞の染色体数はいずれもそれぞれの根端のそれと同じで倍数化しておらず, また染色体の形態にも特別な異常はみられない. これはマメ科の2倍性根粒でみられたのと同様である.
    3) 観察に用いた3種のうち, ヒメヤシャブシ(A. firma) は根端で2n=28, ヤシャブシ(A. firma)のは2n=112で, ともに新たに染色体数が算定されたものである. また, 本邦産のヤマハンノキ(A. hirsuta)は2n=56で, これは既知の外国産のものにくらべ4倍性であることがわかった.
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