アサガオの花芽形成に関与する光周反応には二種の内生リズムが関与している1,2). これら内生リズムの発現を支配する光条件を調べて次の結果を得た.
8時間の暗期後5分~2時間の光照射を行い, 続いて48時間の主暗期を与えて主暗期中種々の時期に赤色光による光中断を行うと, 光中断の作用は最初に与えた8時間の暗期開始時に発現したリズムの支配をうける. すなわち5分~2時間の光 (4000ルックス) は暗期開始時に発現したリズム (light-off rhythm)をあまり妨害せず, またそれ自身新しいリズムを発現さす能力を持たない. 光照射時間を4~8時間にすると最初の8時間暗期開始時に発現したリズムは消失し, この光が新しいリズムを誘発して主暗期中の赤色光による光中断の作用は新しいリズムの支配を受ける. この場合, 新しいリズムを発現するのに必要な光の強さは, わずか70ルックスであるが, 照射時間が2時間以下の場合には4000ルックスの光を与えても無効である. 新しいリズムの発現には照射光の全エネルギー量よりも, むしろ照射時間が重要な意味をもつ.
リズムの発現に最も有効な光は赤色光であり, 青色光はかなり強い場合にのみ有効で, 近赤外光は無効である.
光 (白色) の強さを4000ルックスから急激に10ルックスに減ずると, その時にlight-offリズムが発現する. 4000ルックスから250ルックスへの減光はリズムを誘発し得ないが, 250ルックスから暗黒への移行はリズムを誘発し得る.
4000ルックスの白色光から種々の強さの各種波長光に植物を移した場合, リズムの発現に必要な波長光の強さは赤色光で1.5μw/cm
2以下, 白色, 緑色, 青色光では夫々4, 5, 20μw/cm
2以下である. 近赤外光に移した場合には, 近赤外光中でのリズムの進行が妨げられるらしく, リズムの発現は見られなかった.
抄録全体を表示