前報において明らかにした遊離アラニンの動向とフェノール性化合物生成系との関連を調査するために,L-アラニン-U-
14C, ピルビン酸-1-
14C, ピルビン酸-3-
14C, 酢酸-1-
14C, 酢酸-2-
14Cの計5種類の
14C-標識化合物のシアニジンおよび桂皮酸類への取り込み実験をおこなった. その結果,
14Cの取り込みは酢酸が最も効果的であり, 次いでL-アラニン-U-
14Cとピルビン酸-3-
14Cがほぼ同レベルで, ピルビン酸-1-
14Cははるかに低いレベルで, これらフェノール性物質に取り込まれることが明らかとなった. したがって, アラニンの炭素骨格はまずピルビン酸に移行し, さらに “Dicarboxylate shuttle” を経由して, 直接これらフェノール性化合物の炭素骨格に取り込まれるものと思われる. これに対して, 酢酸-1-
14Cと-2-
14Cとの間で取り込みにさほどの相違がみられないことは, それらの放射性炭素のかなりの量が
14CO
2に転換した後, 炭酸固定の反応によりフェノール性化合物の生成系へ流入することを示すものと思われる. また, 酢酸の桂皮酸類へのこのような取り込みはほとんど前例がなく, 従って正常組織とはかなり異なる一次代謝型が本実験に用いた Cell aggregn に台頭していることを示唆している. これらの知見に基づいて, 遊離アミノ酸および呼吸系有機酸の各代謝プールとキントキニンジン細胞におけるフェノール性化合物生成系の活性化の機構との関連について若干の論議を試みた.
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