植物学雑誌
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82 巻 , 967 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 和田 清美
    1969 年 82 巻 967 号 p. 1-5
    発行日: 1969年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    アサガオ幼植物の花芽分化におよぼすX線とガンマー線の影響については, すでに報告したが1,2),それら の実験はすべて幼植物全体を照射する全身照射の方法ですすめられた. 本実験では, 放射線 (300~1000R) を局部的に照射して植物体のいかなる部分がそれに感応するかを調べた.
    幼芽にたいして上記の線量を照射すると, 花芽分化にたいするいろいろな影響があらわれたが, 子葉およ び子葉葉柄にたいする照射はほとんど無効であったので, ガンマー線1)およびX線2)の花芽分化にたいする 影響は幼芽にたいするものであると結論できる. ただし, 花成刺激が子葉から幼芽に移動しつつあると考え
    られる時期4)に高線量 (40kR~100kR) を子葉の葉柄に与えると, 花芽分化は阻害される. これは, 花成 刺激の伝達の問題と関連して注目すべき結果である.
  • 木村 允
    1969 年 82 巻 967 号 p. 6-19
    発行日: 1969年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    さきに現存量•生産量について報告した18)約15年生の Abies 幼樹林において, 生長に伴なう炭水化物経 済のありさまを明らかにした.
    炭水化物は, 生材料から80%熱エタノールで糖を, 残さから熱水ででんぷんを, さらに残さから2%HCl でヘミセルロースを抽出し定量した. 糖の含有量は各器官とも生育期間の開始とともに低下し, 9月以降ふ たたび上昇して冬期は高いレベルを保つ. でんぷんおよびヘミセルロースは生育期間の初期に増加し, 新芽 の展開に際し減少し, 以後秋冬を通じて低いレベルを保つ. 以上を合計した”可溶性 quot;炭水化物の季節変 化は増加, 減少, 増加の3相をもつ. この3相について, 光合成, 呼吸, 貯蔵炭水化物の蓄積と消費の諸項 からなる物質収支表がつくられた.
    第1相は5月および6月前半の期間で, 新芽の展開は開始されず, 光合成産物のほぼ半分が呼吸により消 費され, 他の半分が植物体中に蓄積される. この炭水化物蓄積は越冬葉の光合成能力の回復によりもたらさ れる. 第2相は6月後半より8月末までの期間で, 新芽の展開と貯蔵炭水化物の急激な消費がみられる.この 消費量は第1相における蓄積量のほぼ2倍に達し,この期間中の新成植物体乾重量の1/3-1/4は貯蔵炭水化 物よりの転換によると推察された. 消費の60%は越冬した旧葉でおこった. 第3相は9~11月の期間で, 貯蔵炭水化物の再蓄積が器官の生長を上まわる. このような解析を通じて, 前報で報告したこの群落の年間生長量, 年間純生産量等の実現過程が明らかにされた.
    また, 以上の結果にもとずき, 寒冷な冬期をもっ環境下での常緑葉の生態学的意義が論議された. すなわ ち, このような環境下の常緑葉は, 1)冬期には新芽に最も近い位置にある容量の大きい貯蔵器官としての 役割をはたし, 2)生育期間の初期に光合成能力を急速に回復し, 貯蔵物質を大きく増加させる. この貯蔵 物質が初夏の新芽の急激な生長を可能にさせると考えられた.
  • 野本 宣夫, 佐伯 敏郎
    1969 年 82 巻 967 号 p. 20-27
    発行日: 1969年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    自然条件下の測定にさいして, Sachs の半葉法の利点を生かすために次の改良を行なった. 葉からの転 流を一時停止させるため, 葉柄または葉身の基部を吸入器の蒸気で1分程度加熱して殺し, 約2時間の前 後における左右両半葉試料の単位面積あたりの乾量の差を (1) 式に従って求め, 光合成による乾量増加速 度とした. 蒸気処理で葉柄が折れやすくなった場合にはアルミはくで補強した. 夜聞の呼吸量の測定も同 じ操作により, アルミはくで葉をゆるくおおって, 夕方と明けがたの光をさえぎり, その間の乾量減少量 を同じ (1) 式によって求めた. 転流速度は, 蒸気処理をした葉としない葉の平均乾量増加量の差として求 めた.
    この方法はヒマワリおよびトウモロコシの, よく日のあたった若い成熟葉に対して試みられ, ヒマワリ で3回 (第2, 3, 4図), トウモロコシで2回 (第3, 4図)の光合成速度, 夜間呼吸量, 転流速度の日変化 が求められた. 得られた光合成による乾量増加速度は, ほぼ光の強さの日変化と平行に進み, その最大値 は正午頃ヒマワリで 28mg/dm2/hr, トウモロコシで40mg/dm2/hrとなった. CO21mgが乾量0.61mg に相当すると仮定すると, 上の値はそれぞれ約 46mgCO2/dm2/hrと65mgCO2/dm2V/hrとになり, 非 常に高い値であった. これらはしかし最近同化箱法の改良でガス分析計によって得られるようになった値 と同じレベルにある. また転流は光合成による乾量増加に少しおくれて変化したが, ほぼ似た形の変化で あったので, この両種では転流の大部分が昼間起ったことが示された.
  • 菊池 正彦, 林 孝三
    1969 年 82 巻 967 号 p. 28-31
    発行日: 1969年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    種々の条件におかれたソラマメの種子について thiamine とその燐酸エステルの行動をしらべて, つぎのような知見が得られた.
    1) 乾燥種子に含まれる thiamine はほとんど遊 離型 thiamine で, 胚の軸に集中している (表1,2).
    2) 胚の軸は, 子葉についている場合でも, 子葉 から切り離された場合でも, 吸水するとそれに含ま れている遊離型 thiamine をエステル型 thiamine へと転換する. しかし, 胚の軸を取り去られた子葉 では, このような転換は起らない (表1,2). このこ とは, 遊離型 thiamine を燐酸化する機構が主とし て胚の軸の部分に存在することを暗示している.
    3) 切り離された胚の軸を吸水させると, thiamine 三燐酸エステルだけが現われ, 二燐酸エステ ルはみられない (表3).
    4) 種子の発芽のごく初期にだけ胚の軸の中に三 燐酸エステルがみられ, その後の時期に二燐酸エス テルが出現する (表4).
    以上の知見から, thiamine 三燐酸は, 発芽に際 して “sparkling substance” として働らく可能性 が推考される.
  • 金子 賢一郎
    1969 年 82 巻 967 号 p. 32-39
    発行日: 1969年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    The chromosome numbers of the four species (Hosta kiyosumiensis, H. sieboldiana, H. hypoleuca and H. caput-avis) were 2n=60. The karyotypes of these species were as follows: the 60 chromosomes were in 30 pairs, which could be classified into the three groups of four pairs of large chromosomes, two pairs of medium ones, and 24 pairs of small ones. Details in each of the three groups differed according to species.
    In the clone of H. sieboldiana obtained in Kyoto, the karyotype was the one original to this genus: four pairs of large chromosomes with terminal or subterminal primary constriction, and two pairs of medium chromosomes of which one had satellites. In the clone of the same species from Hirosaki, however, the karyotype differed from the above in that there were no satellites. In H. caput-avis, karyotypes differed according to the clones used, variation being found in the positions of primary constriction in the large and medium chromosomes.
    Of the four pairs of large chromosomes of H. kiyosumiensis and H. caput-avis, one pair were satellite chromosomes with submedian primary constriction. It can probably be inferred that these chromosomes derived from large chromosomes with terminal primary constriction.
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