植物学雑誌
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82 巻 , 968 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 中沢 信午, 高村 毅一, 安部 守
    1969 年 82 巻 968 号 p. 41-44
    発行日: 1969年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    放出後およそ2時間経過した Fucus evanescens の卵を, 螢光色素カルコフルオール白で標識し, よく 洗ってから正常海水で培養し, のちに螢光を検出した. 結果として(1)最初は細胞壁が均一に標識される, (2)仮根突起形成の前に, とくに螢光を強く発する部域ができる, (3)突起の先端の部域はほとんど螢光を 示さないが, 基部はとくに強い螢光を示す. 偏光顕微鏡観察によると, 細胞壁の複屈折は, 初期には均一 にあらわれるが, 仮根突起形成の直前には部域的に強い複屈折を示すところが出現する. 突起の先端の細 胞壁は複屈折が非常に弱い. しかし基部では非常に強い複屈折が見られる. これらの観察から, 仮根突起 は, それ以前の細胞のその対応部域の単なる突出ではなく,細胞膜と細胞質の新生をともなっていると考 えられる.
  • 小河 久朗, 猪野 俊平, 大森 長朗
    1969 年 82 巻 968 号 p. 45-52
    発行日: 1969年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    ヨレモクの退卵器の中の核分裂について, 観察をおこなった. 第一核分裂において, シナプシス期, 'diffuse' stage, ディアキネシスが観察された. したがって, 第一および第二核分裂で還元分裂がおこなわ れる. 紡錘体の両極に星状体および中心体が明瞭に観察された. 本種の半数染色体数は32である. これら の染色体には, 大きなものと小さなものとがあることを確認した. 中期赤道板上に染色体が配列した後ま で核膜が消失せず, 残っている場合がときどき観察された.
  • 安部 守
    1969 年 82 巻 968 号 p. 53-55
    発行日: 1969年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    Fucus evanescens の受精卵を正常海水にいれ3°に冷蔵すると, 冷蔵72時間目ころから仮根分化を 示すものがあらわれ, 96時間目には約70%の卵に仮根分化がみられる. しかし, その後ひきつづいての冷 蔵中に仮根分化の段階以上の進展はみられない. 冷蔵時間の異なる卵を室温 (約18°) に移すと, いつれ の場合も12時間以内に仮根の分化がみられるが, それに要する時間は, 冷蔵時間が長いほど短かくなる.
    受精卵をインドール酢酸 (100ppm), クマリン (100ppm), 8-アザグアニン (飽和), コルヒチン (50 ppm), ジベレリン (1000ppm) およびカイネチン (10ppm) を含む海水に入れ, 室温で培養すると仮根 分化がみられるが, それ以上の進展はみられない. また, ジベレリンおよびカイネチンで培養した受精卵 では仮根分化ののち, その先端部域での原形質吐出がみられる.
  • 谷藤 茂行, 浅水 哲也, 坂口 謙吾
    1969 年 82 巻 968 号 p. 56-68
    発行日: 1969年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    2時間の吸水処理後に切り離したエンドウ胚を, 32Pi または 3H-uridine を含む液で培養し, それら前駆 体の RNA への取り込みを調査した. 吸水開始後4時間目頃から RNA 合成がはじまるが, その場合, ま ず D-RNA が顕著に合成され, つゞいて rRNA と 4-5S の低分子量の RNA の合成がおこる. 吸水直 後の胚組織において合成された RNA を, SLS-EDTA-フエノール (0°,60°,68°) 法によって抽出し, ショ糖密度こう配遠心法で分離すると, 4-5S の低分子 RNA や rRNA の合成は顕著ではなく, 沈降係 数約 10S から 40S の広範囲にわたって分布する放射性のRNA種がまず合成されていることがわかる. オートラジオグラフィーによる観察では, この RNA は細胞核に多く分布し, 核小体への局在化はほとん ど認められない. これら S-値の上で広範囲な分布を示す新成 RNA (約 10S-40S) を集めて塩基組成を みると, GC 量 (%) は rRNA とは異なり, むしろ DNA のそれに近い. また, この新成 RNA をショ 糖密度こう配遠心法によって分画し, S-値が heavy-rRNA より大きい部分を集めてMAK-カラムクロマ
    トグラフィーで分析すると, heavy-rRNA が溶離されてくる食塩濃度よりも高い濃度にて溶出される2成 分が得られる. この発芽初期での RNA 合成は actinomycin D 処理によって約50%阻害された. 以上の 知見から, 種子発芽のごく初期において. heavy-rRNA より大きい分子量の D-RNA が合成されることがわかった.
  • 橋本 徹, 田村 三郎
    1969 年 82 巻 968 号 p. 69-75
    発行日: 1969年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    低温処理によって休眠の打破されたシュウカイドウ (Begonia evansiana) およびナガイモ (Dioscorea batatas) の地上塊茎の発芽に対する d-アブサイシン酸 (d-ABA) の影響を調べた. 塊茎の上半切片を ABA を含む培地で培養した場合, ABA は3×10-6-10-5M の濃度で発芽をおさえ, 10-6Mでは, 場合 によっては, 発芽を促進した. ナガイモの塊茎切片も, やや微弱ながら同様の反応を示したが, インタクト のナガイモ塊茎は ABA の影響を全然受けなかった. ナガイモの反応性が低いことの原因を知るために, ABA が塊茎組織によって不活性化されるかどうかを調べたが, 17時間の塊茎スライスとのインキュベ イションによっては, ABA の不活性化は全然認められなかった.
    シュウカイドウの腋芽と頂芽を ABA (1μg/bud/day) で44日間にわたって処理したが, 長日条件下で 地上塊茎を形成させることはできなかった. また花芽形成の促進も認められなかった.
  • Akira YUASA
    1969 年 82 巻 968 号 p. 76-88
    発行日: 1969年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    The behavior of plastids during the life-cycle of plant has some regularities.
    1)The increase and decrease of the number of plastids shows some regularities during oogenesis, spermatogenesis, sporogenesis or spore germination. In some cases many plastids decrease in number and only one plastid remains in the definite cell and in other cases, vice versa.
    2) When the cell divides which has only one plastid and a nucleus, the plastid divides at first and then the nucleus divides. So the resulted daughter cells contain one nucleus and one plastid respectively. The plastid always precede the nuclear division.
    3) When the spore-mother cell completes reduction division, which has only one plastid and nucleus, the plastid divides at first into four and then the nucleus complets the reduction division. So the resulted four spores contain one plastid and one nucleus respectively.
    4) The plastids in fertilized egg-cell, which are derived from the egg-cell and the spermatozoid or sperm-cell, fuse each other in some species and remain separately in other species.
    5) During the fertilization, the spermatozoid brings its own plastid (plastids) into the egg-cell in some species and do not bring in the other species.
    Besides these regularities, the plastids contain DNA in some plants (Ris and Plaut, 1958; Iwamura, 1962; Ishida, 1964; Bisulputra and Bisulputra, 1967; Woodcock and Fernández-Moran, 1968) and the plastid increases its number by division. Therefore, the plastid is thought to be self-replicating system and its behavior is supposed to be independent from the nuclear action. The independence of the behavior of plastid from the nucleus, to some extent, has already been advocated by Yuasa (1952), Yoshida (1953) and Ueda (1949, 1949).
    The division of plastid has already been found, and confirmed by Strasburger (1880), Haberlandt (1882, 1888), Nägeli (1863), Sachs (1875), Schmitz (1882), Nemec (1910), Scherrer (1914), Carter (1919, 1921) Kiyohara (1926), Ma (1928), Senjaninova (1928), Stone (1932), Reinhard (1933), and Kusunoki and Kawasaki (1936), Yuasa (1945, 1947, 1950) has also observed the regularities of the division of plastid in Selaginella uncinata.
    The distribution of plastids into cells during the life-cycle of plant is thought to show some regularities, considered from the above-mentioned facts, but the detailed features of these regularities should be left for a future research.
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