植物学雑誌
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82 巻 , 970 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 柴田 萬年, 吉玉 國二郎, 矢野 孝昭
    1969 年 82 巻 970 号 p. 139-147
    発行日: 1969年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    本研究ではデイコ属植物2種類のアントシアニンを花弁と萼とに分けてしらべた. アメリカデイゴ (Erythrina cristagalli L. var. compacta BULL.)の花には3種類のアントシアニンが含まれており, cyanidin 系の2種類が花弁に, pelargonidin 系の1種類が萼に含まれていた. 研究の結果花弁内のもの は cyaniding 3-monoglucoside (chrysanthemin) と cyaniding 3-diglucoside で, 萼内のものは pelargonidin 3-monoglucoside (callistephin) であることがわかった.
    なお, サンゴシドウ (Erythrina corrallodendron L) の花弁には2種類の cyaniding 系のアントシア ニンが含まれ, それはアメリカデイコと同じものであった. アメリカデイコの花弁では cyanidin 3-monoglucoside: cyaniding 3-diglucoside=7:3 の割合であるがサンゴシドウのそれではその比は 1:9 であっ た.
    アメリカデイコの萼のアントシアニンは pelargonidin 3-monoglucoside (callistephin) であるがサン ゴシドウの萼の色素は花弁と同じく cyaniding 3-monoglucoside と cyaniding 3-diglucoside の2種類で あり, その比はほぼ 9:1 で花弁のそれとは逆であった.
  • 長谷川 正男
    1969 年 82 巻 970 号 p. 148-154
    発行日: 1969年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    ウメの材から新らしくヘルバセチン-8,4' ジメチルエーテル 7-グルコンドと, それの2,3位が還元され た形のジヒドロヘルバセチン-8,4' ジメチルエーテル-7-グルコンドが取出された. そして, メチル化後の 加水分解, UV吸収, NMR等によってその構造が確定された. 上記の二配糖体に対して, プルドメニン, ジヒドロプルドメニンの名が与えられた. 後者のアグリコンは新物質であるので, これはジヒドロプルドメ スチンと名づけられた. プルドメニンのアグリコンであるプルドメスチンは既に Prunus domestica から とり出されており, ウメと並んで Section Prunophora に属するこれらの種はフラボノール, フラバアノ ノールを大量に合成する能力をもっている.
  • 上野 直衛, 竹村 英一, 林 孝三
    1969 年 82 巻 970 号 p. 155-161
    発行日: 1969年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    本邦フロラのアントシアン調査を目的として, 著者の研空室ではすでに平地植物, 山地植物, 高山植物, 紅葉植物の色素調査を行なってきたが, 今回, これを補足するために, 数年来集積したデータを報告する. 調 査した植物は84種 (34科, 65属)である. 色素の配糖体構造を決めることは容易ではないので, アグリ コンの同定に重点を置いた. 被検植物84種中では, cyaniding 植物52%, delphinidin 植物 24%, malvidin 植物17%, pelargonidin 植物10であった. 一般に野生植物ではアントシアニジンの成分組成 は単 純である. 2種類のアントシアニジンが共存する場合でも, 水酸基 (またはメトキシル基) 1個の相違にと どまることが多い. このことは色素生合成の終末段階で置換反応の起ることを暗示しているように思われる. 牧野新植物図鑑に載っているアントシアン植物は1000余種類であり, 著者等のこれまでの調査結果を集計 すると, アグリコンが判明した植物は約250種となる. 今後ともこの研究を続けて, できるだけ完全なアン トシアン地図を作り分類学や生態学の分野にも貢献したい.
  • Alan P. COVICH, 塚田 松雄
    1969 年 82 巻 970 号 p. 162-170
    発行日: 1969年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    ユカタン半島の四地点で採集されたセイロンシャジクモ卵胞子表面の微細模様は, 基本的に類似するが, 乳頭突起の大きさや形と外壁の厚さに差がみられる. その内壁は中空の乳頭突起(径約1.5ミクロン) からな り, 時としてそれぞれの乳頭突起は群れをなしている事がある. 5分以内の超音波処理 (27キロサイクル) は 外壁と内壁を分割するが, 30分以上の処理は内壁を浸食する. 外壁は一般に平坦なこぶ状の表面を示すが, それが薄い時は, 乳頭突起の盛り上がった形態を反映している. この研究結果から, 変 異の範囲や遺伝や環境 要因がどの程度卵胞子壁形態に及ぼすかがさらによく知られる迄は, すでに提唱されている卵胞子形態の複 雑な専門用語を簡単に採用することはさし控えたい.
  • 山田 卓三, 柳沢 嘉一郎, 小野 記彦
    1969 年 82 巻 970 号 p. 171-179
    発行日: 1969年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    細胞性粘菌 Dictyostelium discoideum には全 生活環を通して2倍体の系統のものと半数体の系統 のものとがある. この倍数性は寒天培地で継代培養 するかぎり極めて安定である. しかし2倍体の系統 の細胞を液体培地で継代培養すると減数分裂をおこ して半数体となる. 一旦, 半数体となった細胞は寒 天培地, 液体培地においても共に安定である. 液体 培養中における2倍体の細胞の単数化には一つの規 則性があることが発見された. 液体培養をはじめて から単数化がおこるまでの間につねに潜伏期間が存 在する. 潜伏期間は数十時間から数百時間にわたり 一定していない. 潜伏期間のあと単数化がはじまる が一旦単数化がはじまるとつねに一定の速度で単数 化がおこなわれる.
    これらの単数化の規則性から単数化の誘導の機構 の可能性について検討した.
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