1. 藍藻綱所属の31種1変種, 紅藻綱所属の14種1変種より得た phycoerythrin の示す吸収スペクト ルを既知のものと比較した.
2. 藍藻綱16種から得た phycoerythrinと c-phycoerythrin (Type I phycoerythrin とよぶ) で あった.
3. 藍藻綱の
Chroococcus minutus から得た phycoerythrin は紅藻綱のチノリモの B-phycoerythin (Type II phycoerythrin) に似た吸収スペクトルを示した.
Oscillatoria princeps var.
minor および
Lyngbya confervoides からは紅藻綱のオオイシソウにみられるものと同様に 565mμ に極大, 545mμ に 肩をもつ吸収スペクトル(Type III phycoerythrin) が得られた. また
Oscillatoria irrigua からは 495mμ, 565mμ に極大, 545mμ に肩をもつ, 2ピーク型のR-phycoerythin (Type IV phycoerthrin) が得られた.
4. 紅藻綱ウシケノリ科のタニウシケノリ, ウミゾウメン目カワモズク科の2種, チスジノリ科のチスジ ノリからは, 2ピーク型の R-phycoerythrin が得られた. しかし同じ目のベニモズク科のベニモズクおよ びカモガシラノリからは, 3ピーク型の R-phycoerythrin (Type V phycoerythrin) が得られた. また カクレイト目(4種), スギノリ目 (2種) およびイギス目 (2種) からは, 例外なく3ピーク型の R-phycoerythrin が得られた.
5. 以上のように Type II, III, IV phycoerythrin は, 藍藻綱, 紅藻綱のいずれにも存在が認められる ことから, 両綱の系統上の近親性が推察される. また紅藻綱のウミゾウメン目は phycoerythrin の吸収ス ペクトルからみて2つの群に分けることができる. すなわち2ピークの R-phycoerythrin (Type IV) を もつアクロケチウム科, カワモズク科, およびチスジノリ科の1群と,3ピークの R-phycoerythrin (Type V)ををもつベニモズク科, カギノリ科, およびガラガラ科の1群とである.
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