フッ化水素酸処理はシリカ系セラミックスへの接着前処理として高い信頼性が認められている.しかしながら,フッ化水
素酸処理後の経過時間が接着強さに及ぼす影響について検討した研究は少ない.本研究では,フッ化水素酸処理を行うタイミン
グがせん断接着強さに及ぼす影響について検討した.被着体はCAD/CAM 用ポーセレンブロックを使用し,ポーセレンブロック
被着面に対して, 1 )60秒間フッ化水素酸処理+ 5 分間のエタノールによる超音波洗浄 (CON) ,口腔内試適後,装着直前に酸処理
を行うことを想定した 2 )唾液60秒間浸漬+60秒間リン酸処理+流水による水洗 (PA) と 3 )唾液60秒間浸漬+60秒間のフッ化水素
酸処理+ 5 分間エタノール超音波洗浄 (HF) ,院外歯科技工所でのフッ化水素酸処理を想定した 4 ) 24時間前に60秒間フッ化水素
酸処理+唾液60秒間浸漬+60秒間リン酸処理+流水による水洗 (24HF) と 5 )72時間前に60秒間フッ化水素酸処理+唾液60秒間浸漬
+60秒間リン酸処理+流水による水洗 (72HF) の 5 条件を設定した.装着材料は光重合型レジン系装着材料を用い,牛歯エナメル
質へメーカー指示の術式にて接着した.結果はせん断接着強さ (MPa) として算出し,各条件間で統計処理を行った.結果からHF
(37.1MPa) と24HF (37.4MPa) はPA (22.3MPa) と72HF (23.1MPa) と比較して有意に高いせん断接着強さを示した.HF,24HFとCON
(37.2MPa) 間に有意な差は認められず,PA,72HF 間でも同様であった.
抄録全体を表示