目的:わが国の慢性腎臓病(chronic kidney disease: CKD)患者数は約 1,330 万人,20 歳以上の成人でおよそ 8 人に 1 人と推計されている。地域レベルでの CKD 患者数を簡便に推計できれば,各地域で行われている CKD 対策に寄与できることが期待できる。そこで,公表データを用いて,地域レベルでの CKD 患者数を簡便に推計する計算方法を,新潟県を例に紹介する。
方法:特定健康診査データが掲載されているレセプト情報・特定健診等情報データベース(National Database:NDB)のオープンデータを用いて,新潟県の健診受診者(40~74 歳)の性年齢階級別 CKD 有病率を算出した。 CKD は尿蛋白(+)以上または推算糸球体濾過量(estimated glomerular filtration rate:eGFR)60mL /分/ 1.73m2 未満と定義した。健診受診者の CKD 有病率が,地域住民の CKD 有病率と同じという仮定を置き,新潟県の性年齢階級別人口から,新潟県民 40~74 歳における CKD 患者数を求めた。
結果:新潟県民 40~74 歳のうち,2019 年の特定健診および人口データから計算した CKD 患者数は,男女合わせて 153,175 人(男性 87,738 人,女性 65,437 人)と推計された。この数字は,新潟県民 40~74 歳人口の 14%に相当(男女別では,男性 16%,女性 12%)し,新潟県民 40~74 歳のおよそ 7 人に 1 人(男女別では,40~74 歳男性の 6 人に 1 人,40~74 歳女性の 8 人に 1 人)が CKD と推計された。研究の限界:NDB オープンデータでは,75歳以上の CKD 患者数は推計できない。健診実施率が低い場合,「健康診査受診者の CKD 有病率が,地域住民のCKD 有病率と同じ」という仮定は成り立たない可能性がある。
総括:地域レベルにおける CKD 患者数の推計方法を,新潟県のデータをもとに紹介した。各自治体などが保有する地域の健康診査データを用いて計算を行えば,40~74 歳に限らず,他の年代での CKD 患者数も同様に推計可能である。健診データを活用することで,毎年,地域における CKD 患者数の最新情報を地域住民に届けることもできる。この簡便な方法は,地域の実情に応じた腎疾患対策に取り組むために有用な情報となることが期待される。
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