目的: 糸球体濾過量 (GFR) の評価として内因性クレアチニンクリアランス (Ccr) が広く用いられているが, 蓄尿が不可欠なため, 蓄尿を必要としないGFRの推算式が検討されている。GFRの推算について, Kidney Disease Outcomes Quality Initiative (K/DOQI) のガイドラインにおいては, Modification of Diet in Renal Disease Study (MDRD) の式などが推奨されている。今回われわれは, 日本人において実測のCcrと各推算式, Cockcroft-Gault の式, 堀尾の式, MDRDの式によるCcr, GFRの比較検討を行った。
対象・方法: 当院入院患者100例 (男性67例, 女性33例) において24時間蓄尿法によるCcrの測定と Cockcroft-Gault の式, 堀尾の式, MDRDの式を用いたGFRの推算を行い, 相関と正確度を検討した。
結果: y: 実測Ccr, x: 推算Ccr, GFRとした回帰直線の式は, Cockcroft-Gault の式ではy=0.8165x+2.1229 (r=0.9415, p<0.0001), 堀尾の式ではy=0.7478x+1.6757 (r=0.9458, p<0.0001), MDRDの式ではy=0.8335x+4.4261 (r=0.9209, p<0.0001) であった。これらの式はいずれも強い相関が認められた。
結論: Cockcroft-Gault の式が高い相関と正確度を示したが, 堀尾の式, MDRDの式もともに高い相関を示しており, 日本人においてもどの式を用いてもCcrの推定には有用であると考えられた。
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