日本泌尿器科学会雑誌
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100 巻, 1 号
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原著
  • 長野市ED研究会 , 天野 俊康, 今尾 哲也, 竹前 克朗, 和食 正久, 鶴田 崇, 鈴木 尚徳, 上野 陽子, 岡根谷 利一, 西澤 ...
    2009 年 100 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/01/11
    ジャーナル フリー
    (目的)勃起障害(ED)治療の第一選択であるphosphodiesterase type 5(PDE5)阻害剤のシルデナフィルとバルデナフィルの2剤に関して,その有効性と安全性,さらにED以外の付随効果につき,多施設共同研究にて検討した.
    (対象と方法)勃起障害患者125名(55.9±10.9歳)をシルデナフィル25mgとバルデナフィル5mgまたは50mgと10mgを同数同時に処方して,各剤それぞれ2回以上内服後に,EDに対する効果,副作用,付随効果につき調査を行った.
    (結果)国際勃起指数(IIEF5)は,治療前8.87±4.10が治療後17.24±6.17と有意に改善した(p<0.0001).EDに対する有効性は2剤ともに81.6%であった.副作用発現率は,シルデナフィル13.6%,バルデナフィル5.6%とシルデナフィルで有意に高かった(p=0.032)が,いずれも軽度であった.患者自身の使用感によると,シルデナフィルがよい40.7%,バルデナフィルがよい45.1%との回答であった.さらにED以外の附随効果では,生活にハリがでた46.5%,若返った感じがする45.1%,パートナーとの関係がより親密になった38.0%,健康に気をつけるようになった28.2%,などが認められた.
    (結論)シルデナフィルとバルデナフィルによるED治療は,有効性,安全性ともに高く,さらにED以外の附随効果ももたらすものと考えられた.
  • 松下 真史, 中川 晴夫, 並木 俊一, 池田 義弘, 海法 康裕, 川守田 直樹, 伊藤 明宏, 石戸谷 滋人, 斎藤 誠一, 荒井 陽一
    2009 年 100 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/01/11
    ジャーナル フリー
    (目的)現在,神経温存前立腺全摘術が多く行われているが術後には尿失禁や性機能障害が認められる.メコバラミンは末梢性神経障害に対し使用され,神経回復の促進効果も認められている.今回,我々は神経温存前立腺全摘術後の排尿·性機能障害に対するメコバラミンの効果について検討した.
    (対象と方法)対象は神経温存前立腺全摘を施行した患者54例(年齢50~75歳,中央値63歳)に対し,年齢,PSA,神経温存(片側,両側)の3項目を割り付け調整因子としA群:神経温存前立腺全摘+メコバラミンによる治療,B群:神経温存前立腺全摘のみとして両群27例ずつに前向きランダム化比較試験を行った.A群はメコバラミン500μgを1日3回,6カ月間内服させた.UCLA-PCIを用いて術前,術後3,6,12カ月目の排尿·性機能障害を評価した.
    (結果)術後3カ月目における排尿機能では有意差は認めないもののメコバラミン投与群で改善している傾向が見られたが,術後12カ月目では両群ともほぼ同様な値となった.性機能については経過期間を通じて有意な差は見られなかった.
    (結論)術後において性機能,排尿機能ともに両群間で統計学的有意差を認めなかったが,術後3カ月目においてはメコバラミン投与群の方で排尿機能の改善傾向が観察された.メコバラミンの術後早期の排尿機能回復に対する有用性については大規模なランダムか試験が必要である.
症例報告
  • 大澤 崇宏, 杉下 圭治, 村雲 雅志, 小柳 知彦
    2009 年 100 巻 1 号 p. 12-15
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/01/11
    ジャーナル フリー
    精巣腫瘍の化学療法中に脳梗塞をきたした症例を経験したので文献的考察を加え報告する.31歳男性.半年前より右陰嚢の腫脹を自覚,増大したため近医を受診し高位除睾術施行.病理は混合型胚細胞腫 (絨毛上皮癌>精上皮腫),pT1|多発性肺転移を認め当科紹介.術後LDH 231IU/l (200~400IU/l),AFP 1.9ng/ml (10ng/ml以下),HCG 23,000mIU/ml (0.7mIU/ml以下).International Germ Cell Consensus Classification (IGCCC) のintermediate riskとしてBEP療法開始.2コース目第11病日に軽度の意識障害 (JCS1) と左片麻痺が出現.MRIにて左中大脳動脈領域の梗塞巣を確認したため,ただちに治療を開始した.海外での報告では精巣癌患者の化学療法中に血栓塞栓症をきたした例は8.4%,脳梗塞については1.1%という報告があり,発生の危険因子がいくつか指摘されている.自験例では病状の回復を待ち3コース目を終了,肺転移巣の消失を確認し化学療法後3カ月現在,再発を認めていない.また,脳梗塞による麻痺症状はリハビリを施行して3カ月には右上肢はMMT2度,右下肢はMMT4度まで改善し自力歩行可能となっている.
    化学療法中に神経学的異常を認めた時には若年者であっても脳血栓塞栓症を鑑別に入れ治療開始することが必要である.
  • 川崎 麻己, 佐藤 勇司, 中島 啓二, 西村 和重, 金子 新, 有働 和馬, 藤山 千里, 魚住 二郎
    2009 年 100 巻 1 号 p. 16-21
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/01/11
    ジャーナル フリー
    症例は32歳男性.右陰嚢の腫大を主訴に入院となった.14年前に左精巣の非セミノーマStage IIBの診断で,PEP療法3コース施行後に後腹膜リンパ節郭清を施行され,CRと判定された既往があった.今回は右の高位精巣摘除術を行い,病理所見および画像所見からセミノーマpT3N0M0,Stage Iと診断された.追加療法としてVIP療法を3コース施行した.異時性両側性精巣腫瘍に関する文献的考察を加えて報告する.
  • 金子 智之, 橿淵 啓史, 朝蔭 裕之, 本間 之夫
    2009 年 100 巻 1 号 p. 22-24
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/01/11
    ジャーナル フリー
    症例は37歳,女性.腹部超音波検査にて左腎腫瘍を指摘され受診した.CT・MRIにて左腎下極に径1.5cmの造影効果を伴う腫瘍を認めた.腎細胞癌を疑い左腎部分切除術を施行した.腫瘍は類上皮細胞からなり免疫組織化学検査にてHMB-45陽性であったため,類上皮型腎血管筋脂肪腫と診断された.類上皮型血管筋脂肪腫は近年認識された血管筋脂肪腫の一亜型であり,腎細胞癌との鑑別が難しく悪性の転帰を取りうる稀な疾患である.
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