(目的) ドセタキセル(DTX)治療後の去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)に対して行った薬物療法について後方視的に検討する. (対象と方法) 2004年1月から2012年7月までにDTX(70~75 mg/m
2)を使用した45例のうち,DTX治療後の19例に新たな治療を追加した.治験薬を用いた5例を除く14例を対象とし,その臨床経過について検討した. (結果) DTX後治療開始時年齢およびPSAの中央値はそれぞれ71歳(45~79),241.1 ng/ml(3.1~1,643.0).13例がLH-RHアゴニストを継続し,1例はcastrationを受けた.使用薬剤は,DTX(30 mg/m
2)+シスプラチン(CDDP)/カルボプラチン,エトポシド+CDDP,パクリタキセル+CDDP,シクロファスファミド,S-1,テガフール―ウラシルであった.DTX中止理由は,病勢進行が12例,有害事象が2例であった.治療によるPSA値の低下を8例に認め,そのうち50%以上の低下は3例であった.DTX治療後の追加治療による全生存期間中央値は,11.4カ月(4.1~27.3)であった.13例が癌死した.Grade 3の有害事象は4例に認め,白血球減少2例と貧血2例であった. (結語) いずれの治療もGrade 4以上の有害事象はなく,効果は限定的であるが有効な症例もあり試みる価値はあると考えられた.
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