(目的)前立腺全摘出標本とMRIを比較し,拡散強調画像(DWI)およびApparent diffusion coefficient(ADC)値の前立腺癌の局在診断能を評価した.(対象・方法)前立腺全摘を行った44例を対象とした.病理標本で得られた74の癌病変とMRIを比較し,癌の局在診断能を評価した.また,前立腺癌部と非癌部のADC値を測定した.(結果)所見陽性率は,直腸診,経直腸的超音波検査は9病変(12.2%),T2強調画像(T2WI)で26病変(35.1%),DWIは30病変(40.5%),T2WI+DWIでは48病変(64.9%)であった.ADC値は前立腺癌部が非癌部に比べ低かった(0.86±0.15 vs 1.24±0.16×10
-3 mm
2/s).辺縁域のADC値は前立腺癌部と非癌部で0.85±0.15 vs 1.28±0.17×10
-3 mm
2/sで前立腺癌部が低く,移行域でもそれぞれ0.87±0.15 vs 1.19±0.14×10
-3 mm
2/sで前立腺癌部が低かった.前立腺癌のGleason scoreでADC値を比較すると,8, 9のADC値は0.76±0.12×10
-3 mm
2/sでGleason score 6, 7の0.86±0.15×10
-3 mm
2/sに比べ有意に低かった.(結論)DWIとADC値は前立腺癌の局在診断に有用であると考えられた.
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