症例は77歳女性.2011年3月,胃癌の精査の際に骨盤内腫瘤と左水腎症を指摘され,当科紹介受診した.CTにて左腎盂・尿管の拡張と,尿管周囲の腫瘤を認めた.開腹での生検も検討されたが心機能低下(EF約40%)のためリスクが高く,断念した.その後下血を認めたためCFを施行.S状結腸に壁外性圧迫・浸潤と思われる易出血性の粘膜隆起を認め,同部位より生検でsquamous cell carcinomaが検出された.内視鏡所見から他臓器癌の大腸浸潤が疑われた.逆行性腎盂造影では左下部尿管に造影欠損像を認めた.PETでは,骨盤左側壁にS状結腸を圧排する不整形軟部腫瘤を認め,同部位に異常集積(SUVmax=10.3)を認めたがその他部位に異常集積は認められなかった.以上より,浸潤性尿管扁平上皮癌と診断し,同年4月よりGN(Gemcitabin800 mg/m
2 day1.day8, Nedaplatin60 mg/m
2 day1)療法2コース施行した.経過中,grade4の血球減少認めたがその他有害事象は認めなかった.2コース施行後の効果判定CTでは徐々に腫瘍の縮小傾向を認め,約4カ月後の時点でCRを得た.その後,現在までCT上骨盤内腫瘍の再発なく経過している.
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