日本泌尿器科学会雑誌
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症例報告
  • 岡根谷 利一, 野田 大将, 符 毅欣, 林田 迪剛, 萩原 喜一, 永本 将一, 阪口 和滋, 村田 浩克, 矢野 晶大, 浦上 慎司
    2020 年 111 巻 2 号 p. 39-43
    発行日: 2020/04/20
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル フリー

    腎がんが晩期再発した2例に関して長期間無治療のまま経過観察をおこなった.

    症例1は83歳女性,右腎腫瘍に対して57歳時に前医で右腎摘除術を施行.病理組織結果は淡明細胞型腎細胞がん,G2,pT1aN0M0であった.71歳時に膵転移が出現したため膵体尾部切除を施行,74歳時に新たに膵頭部に転移巣が出現したが,その後9年間新出病変なく経過観察中である.腹部超音波検査から算出した腫瘍倍加時間は13.3カ月であった.

    症例2は91歳,男性.78歳時に腎腫瘍に対して右腎摘除術+下大静脈腫瘍塞栓摘除を施行.病理組織結果は淡明細胞型腎細胞がん,G2,pT3bN0M0であった.84歳時に左副腎転移が出現.その後新出病変なく7年間経過観察中.腹部CT画像から算出した腫瘍倍加時間は14.1カ月であった.2例とも腫瘍による症状は出現せず,ADL低下することなく日常生活が可能であった.高齢腎がん患者の孤立性晩期再発の場合は,当面は無治療経過観察することで治療による副作用や合併症を回避するという治療選択肢もあり得ると思われた.また,再発後にしばらくCTなどで経過を追い倍加時間を算出することで,その後の治療の必要性を予測することが可能と思われた.しかし新たな再発転移病巣が出現した場合や,2~3年間経過観察した期間の倍加時間が比較的短い場合は,その時点で治療を開始することを考慮すべきである.

  • 山本 顕生, 松山 聡子, 松井 太, 矢澤 浩治, 松本 富美
    2020 年 111 巻 2 号 p. 44-47
    発行日: 2020/04/20
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル フリー

    9カ月男児.外性器異常を主訴に紹介.自然妊娠による第1子.出生前に異常を指摘されず,性別は不明といわれていた.生下時に男児と判定されるも,陰茎の異常を指摘.生後2日目に動脈血酸素飽和度の低下から先天性心疾患(大動脈縮窄,心室中隔欠損,大動脈弁狭窄,僧帽弁狭窄)が判明.6日目に大動脈弓形成術,肺動脈絞扼術が施行された.初診時陰茎は陰囊部尿道下裂の状態で,左精巣は非触知.右は陰囊内に月齢相当の精巣を触知した.混合型性腺形成不全を疑い染色体検査を行ったが,karyotypeは46,XY,SRY+であった.1歳2カ月時に尿道下裂修復術,1歳5カ月時に左精巣の検索を施行した.右精巣は挙上傾向があったため右鼠径部切開にて右精巣固定術を施行.左精巣についても左鼠径部切開にて探索したが確認できず.腹腔鏡にて観察を行ったところ,左腸腰筋の外側に高度の付着異常を伴う左精巣上体と低形成な左精巣を認めた.左精巣の頭側には暗赤色の小塊を伴っていた.精巣血管は同定困難であった.Fowler-Stephens法による精巣固定術は困難と判断.暗赤色の小塊とともに左精巣摘除術を行った.病理組織検査にて精巣と脾組織が確認され,splenogonadal fusionと診断した.

  • 清水 輝記, 瀧上 夏未, 原田 雄基, 川端 健二, 落合 厚
    2020 年 111 巻 2 号 p. 48-52
    発行日: 2020/04/20
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル フリー

    66歳,男性.臀部痛を主訴に前医受診.MRIで直径8cmの仙骨腫瘍あり当院整形外科紹介後,CTで左腎下極に2.5cmの腫瘍を認め当科受診.腹部造影CTでは乏血性の腎腫瘍.CTガイド下仙骨腫瘍生検にて転移性骨腫瘍と診断.しかしCTガイド下左腎腫瘍生検では悪性腫瘍の診断は得られなかったが,小径腎癌の骨転移としてスニチニブによる加療を開始した.しかし,仙骨腫瘍では奏功せず,経過中に2度の大量下血あり,緊急大腸内視鏡検査では直腸背面広範囲に出血を伴う潰瘍性病変あり,仙骨腫瘍直腸浸潤による大量下血と診断.全身衰弱は進行し,治療開始後2カ月で死亡の転帰となった.病理解剖を行った結果は小径腎癌,仙骨転移,肺転移であった.

  • 平田 由里絵, 守屋 仁彦, 中村 美智子, 今 雅史, 西村 陽子, 氏橋 一紘, 樋口 まどか, 松本 隆児, 橘田 岳也, 篠原 信雄
    2020 年 111 巻 2 号 p. 53-57
    発行日: 2020/04/20
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル フリー

    症例は17歳男性.生後2カ月時に左多精巣症と診断されたが,陰囊内であり無症状であったため経過観察となっていた.17歳時に左急性陰囊症を発症し,超音波検査にて左精巣捻転と診断され発症4時間後に,緊急手術が施行された.術中所見では,左頭側精巣が反時計回りに720度捻転していた.捻転解除により色調の改善を認めたため,頭側精巣生検を行い,両側精巣固定を行った.病理所見では,悪性所見を認めず,精子形成能は保たれていた.術後1年半経過するが,血流は良好で,精巣の萎縮はなく経過している.

    多精巣症は稀な疾患であり,幼少期に無症状で発見された陰囊内に存在する多精巣症に対する治療方針は明らかではない.過去の報告では,停留精巣の有無により悪性腫瘍の発生頻度が異なることが報告されていることから,停留精巣の有無により治療方針を検討する必要がある.保存的な経過観察を推奨する意見もあるが,初期治療として経過観察を行ったとしても腫瘍発生や捻転のリスクを考慮したうえでの待機的な外科的処置も選択肢となりうる.

  • 丸尾 一貴, 高橋 敦, 田端 秀敏, 高柳 明夫, 高木 良雄
    2020 年 111 巻 2 号 p. 58-61
    発行日: 2020/04/20
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル フリー

    腎癌の膀胱転移は稀である.転移性腎癌に対しパゾパニブを服用中に膀胱転移を2例経験したので報告する.我々が調べえた限りでは,分子標的薬治療中の膀胱転移の報告は初めてである.

    (症例1) 60代女性.201X年2月他院で右腎腫瘍を指摘され当科紹介.精査にて右腎細胞癌cT1bN0M0の診断となり腹腔鏡下右腎摘除術を施行した.病理結果は淡明細胞癌,G1>2,pT3a(腎静脈進展,腎洞脂肪浸潤)であった.翌年2月の画像診断で骨転移を認め,3月からパゾパニブ+骨修飾薬を開始.11月に肉眼的血尿を認めた.膀胱鏡では膀胱後壁に黄色調の非乳頭状広基性腫瘍を認め,経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)を施行した.病理結果は転移性腎細胞癌であった.その後,アキシチニブ,スニチニブ,ニボルマブ投与としたが,TUR-BT後51カ月の観察期間中,膀胱内再発を認めていない.

    (症例2) 60代女性.201Y年3月に肉眼的血尿が出現し当科受診.精査で右腎細胞癌と多発肺転移を認めcT3aN0M1の診断で根治的右腎摘除術を施行.病理結果は淡明細胞癌,G2>G3,pT2aであった.6月からパゾパニブを開始.翌年3月CTにて肺転移増大と膀胱腫瘍を認め,膀胱鏡で頂部に黄色調の非乳頭状広基性腫瘍を確認し,TUR-BTを施行した結果,病理組織像は転移性腎細胞癌であり,TUR-BT術後15カ月目に癌死.その間,膀胱内再発を認めなかった.

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