表在性膀胱腫瘍に対する膀胱内注入療法時の薬剤のスクリーニングを目的として, trypan blue 染色を用いた dye exclusion assay による各種制癌剤の感受性試験を試みた.
マウス可移植膀胱腫瘍細胞 (MBT-2) を用い, in vitro で各種東濃度 adriamycin (4, 40, 400, 1,000μg/ml) 存在下に, 5%CO
2, 37℃で2時間インキュベートし, cellular viability 算定後マウス大腿皮下に移植した. cellular viability と腫瘍生着率, 腫瘍発育抑制, 生存期間延長とはよく相関し, adriamycin 処理群では濃度依存性が認められた. 一方, verapamil 高濃度処理群 (100, 500μg/ml) でも, cellular viability の低下, 腫瘍発育抑制, 生存期間延長が認められた.
表在性膀胱腫瘍症例を対象として, 生検により得られた腫瘍細胞を用い, adriamycin, 4′-0-tetrahydropyranyladriamycin, mitomycin C, pepleomycin 各々1,000μg/ml存在下に同様に処理し, cellular viability を算定した. また, 症例によっては verapamil を500μg/mlの濃度で単剤処理, または併用した. 臨床例においては制癌剤の種類により cellular viability にかなりの差が出る事, また, verapamil 単剤でも高濃度で用いた場合, MBT-2と同様に cellular viability が低下する事が確認された.
本法により, 膀胱内注入療法時の薬剤選択において, 迅速, 簡便なスクリーニングが可能であり, 有用と思われる.
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