動注化学・放射線併用療法を施行した浸潤性膀胱癌73例について, CRおよび予後に関与する臨床病理組織学的因子につき検討した.
73例中41例 (56%) にCRが得られた. CR率に関する因子は, 性 (男性64%, 女性29% (p=0.0239)), 臨床病期 (T274%, T364%, T420% (p=0.0005)), 腫瘍サイズ (3cm未満81%, 3cm以上31% (p<0.0001)), 異型度 (G372%, G241% (p=0.0127)) であった. 多変量解析では, 腫瘍の異型度のみに有意差が認められた.
膀胱温存例での5年生存率 (経過観察期間中央値69ヵ月) は, 性・臨床病期・腫瘍サイズ・治療効果に有意差が認められた. つまり, 男性75.2%, 女性57.1% (p=0.0427), T2 86.3%, T3 82.3%, T4 33.8% (T2 vs T4: p=0.0005, T3 vs T4: p=0.0107), 3cm未満89.6%, 3cm以上47.2% (p=0.0012), CR 95.0%, non-CR 38.6% (p<0.0001) であった. 多変量解析では, 治療効果のみに有意差が認められた.
これらのことより, 動注化学・放射線併用療法は, 良好な近接治療効果および生存が得られた. CRが得られた症例では, 膀胱温存が可能と思われる.
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