糖尿病における性機能障害の一般的な実態を調査するため, 外来通院可能な男性糖尿病患者201例 (22~76歳) に対して札幌医大式性機能質問紙を施行した. 対照として健康男性6,426例を用い, おもに性欲, 勃起について年齢の因子を考慮しながら検討し, 以下の結果を得た.
1. ニューロパチーのあるものはないものに比べ早期に勃起能が低下していた. また勃起能低下例はニューロパチーのないもの134例中24例 (18%) に対してニューロパチーのあるものが67例中30例 (45%) と, 低下の頻度も高かった.
2. 性欲, 勃起とも, 糖尿病症例では健康男性に比し, 若年群でさほど低下せず, 60歳を過ぎるころより低下が著しくなり, 加齢により障害が加速されていた. 60歳以降に勃起得点の低下を示したものは, ニューロパチーのないもの31.7%, ニューロパチーのあるもの61.1%であった.
3. 重回帰分析では, 勃起に寄与する因子として第一に加齢 (寄与率27.2%), 続いてニューロパチー (寄与率7.4%) が挙げられ, この2つの因子が糖尿病の勃起障害の説明因子として約1/3を占めていた. また加齢因子は血管障害をより加速することで性機能障害と強く結び付くことが推測された.
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