新しいレジメンであるIV-COMPA療法を, 尿路上皮癌24例に対し施行した. その治療成績, 副作用について検討し, 本法の臨床的有用性, 安全性を見極めることを目的とする.
1989年10月より1993年10月にIV-COMPA療法を施行し, 1994年6月まで経過観察が可能であった尿路上皮癌24例 (男性20例, 女性4例) を対象とした. 年齢は29~73歳, 原発巣は腎盂尿管10例, 膀胱11例で, 両者の合併は3例であった. 薬剤は, CDDP 30mg/m
2 (4, 5日目), VCR (Oncovin
®) 0.6mg/m
2 (1, 2日目), MTX 5mg/m
2 (2, 3日目), PER 5mg/m
2 (1, 2, 3日目), ADM20mg/m
2 (4日目) を1コースとし, 3週毎に投与した.
24例を術後再発予防投与群 (A群15例), 初発時有転移群 (B群6例), 術後再発群 (C群3例) に分けて検討した. A群では術後IV-COMPA療法を2~3コース施行し, 観察期間8~57ヵ月において14例が生存中であり, 1, 3年累積生存率は, 100, 90.9%であった. B, C群では, 3~7コース施行し, CR 1例, PR 5例, NC 1例, PD 2例で, 奏効率は66.7%であつた. 全身倦怠感・食欲不振 (100%), 悪心・嘔吐 (87.5%), 白血球減少 (83.3%), 脱毛 (79.%) などが高頻度にみられたがいずれも一過性であり, 1コースの薬剤投与量を減じた例はなかった.
IV-COMPA療法は, 術後再発予防投与群の予後改善に寄与し, かつ評価可能病変のある症例に対する治療効果も高いことから臨床的に有用と考えられる. また副作用も少なく安全に施行できる1レジメンである.
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