(目的) 一側水腎作成後の水腎と対側腎, 片腎摘出後の残腎の prostaglandin E
2 (PGE
2) と throm-boxane B
2 (TxB
2) の腎内局在の変化を検討した.
(方法) 約3週齢の雄S-Dラットを水腎, 腎摘, コントロールの3群に分け, 1, 3, 6, 12, 24時間, 2, 3, 5, 7, 9日後に屠殺, PGE
2とTxB
2の腎内局在を免疫組織学的に観察した.
(結果) PGE
2: 水腎では6時間後糸球体 (G) と皮質間質 (CI) に, 3日と5日後CIに発現が増加した. 髄質間質 (M) では1~6時間後と2~9日後に発現の増加が観察された. 水腎対側腎では, 5日と7日後Gに, 3日と5日後Mに増加した. 腎摘後残腎では, Mに3時間後と3~7日後, GとCIには5日と7日後に増加した.
TxB
2: 水腎では6時間後GとCIに, 3~12時間後にMに増加し, 3時間後のMではPGE
2より強い発現をみた. その後, 3日と5日後CIに, 2~7日後Mに再び増加した. 水腎対側腎では, Mのみに3時間後と3日後に増加した. 腎摘後残腎では, 3時間後にGとMに, 7日後G, 3~7日後Mに増加した.
(結論) 水腎でのPGE
2とTxA
2の不均衡な発現が腎障害進展に寄与すると考えられた. 水腎対側腎と腎摘後残腎では, いずれも一側腎機能喪失を伴うにもかかわらずPGE
2あるいはTxA
2の発現パターンが異なっており, 水腎の対側腎には腎摘後残腎とは違う他の因子が関与している可能性が示唆された.
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