(目的) 尿管結石に対するESWL治療後も水腎症が改善せず, 尿管狭窄が残存していると思われることがあるが, これら原因に関する報告は少ない. そこでESWL治療後も残存した尿管狭窄の危険因子について検討を加えた.
(対象・方法) 当院では1991年よりESWLの治療を開始し, 1996年までの間に16例の尿管狭窄を経験している. 尿管狭窄の危険因子を検討するため, 1994年から1996年に初回治療としてESWLを行なった556例のうち, 尿管狭窄を合併せず治療し得た549例を非狭窄群とし, 尿管狭窄群と比較した. 検討を加えた項目は, 年齢, 性別, 主訴, 結石の位置, 大きさ, 成分, 尿潜血, 水腎症の程度, 尿路感染症の有無, ESWLの砕石回数, 結石の嵌頓期間, ESWL後の治療で, これらに関し多重ロジステッィク回帰分析にて検討を加えた. (結果) 尿管狭窄は術前に尿路感染症のある症例や検診等で偶然発見された症例 (偶発例) に多く認められる傾向を示したが, 多重ロジスティック回帰分析の結果, 明らかに有意差の認められたものは術前の水腎症の grade と砕石回数とESWL後の治療の内TULであった. 特に1994年から1996年の間に限定すると, grade 4と5の症例では29例中5例に尿管狭窄の合併をみた.
(結論) 水腎症の grade の高い症例では, 尿管狭窄の可能性を考慮し慎重に治療を進める必要がある. 特に grade 4と5の症例に関しては, 早期にESWL以外の治療法も考えるべきである. またTULでの追加治療も尿管狭窄に注意する必要がある.
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