(目的) International Prostate Symptom Score (IPSS) と BPH Impact Index (BII) の日本語訳の計量心理学的妥当性を検討すること.
(方法) IPSSとBIIの日本語質問表について, 103例の前立腺肥大症患者と23例の主観的には無症状の男性より回答を得た. 82例の患者については2週間後に再度調査し, 再現性を検討した. このうち21例の患者では, 更に2週間後に「この1か月」を「この1週間」とした質問紙にも回答を求めた. 反応性を検討するために, 22例の患者で治療後にも再調査した. あわせて, 内的一貫性, 構成的妥当性, 判別的妥当性も検討した.
(結果) 再現性は, 全ての項目で重み付きκ係数が0.62以上と, 良好であった. 年齢, 症状重症度, 施設類型, 質問の対象期間が「この1か月」か「この1週間」かで, 再現性は有意な影響を受けなかった. Cronbach's αは0.83以上で, 内的一貫性も高かった. 主成分分析ではIPSSには2つ, BIIでは1つの主成分を検出し, 第一主成分にはどの項目も関与しており, ある程度の一次元性が確認された. ほとんどの項目は他の項目や外的基準 (最大尿流率, 残尿量, 前立腺体積) と有意な相関を示した. 全ての項目でスコアは無症状の男性に比べて患者で明かに高値で, 治療により減少した.
(結論) IPSSとBIIの日本語訳は, 日本人において信頼性, 妥当性, 一次元性が示された. これらの日本語訳は原文に相当すると考えられる.
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